軽いバドミントンラケットは、振り抜きやすく操作性が良いため、特にバドミントンを始めたばかりの方や力の弱い女性、ジュニア選手に人気があります。 実際に、素早いラリー展開が求められるダブルスなどでは、その操作性の高さが大きな武器となることも少なくありません。
しかし、「軽い」という特徴は、必ずしもすべての人にとってメリットとなるわけではありません。むしろ上達を目指す過程で、その軽さが思わぬ「壁」となってしまうことがあるのです。
この記事では、軽いバドミントンラケットが持つデメリットに焦点を当て、その理由と克服法を詳しく解説していきます。ラケット選びで悩んでいる方、今のラケットに疑問を感じている方は、ぜひ最後まで読んで、自分に最適な一本を見つけるためのヒントにしてください。
バドミントンラケットが軽いことによるデメリット

軽いラケットは初心者にとって扱いやすい一方で、あるレベルから上達を目指す際にはいくつかのデメリットが目立ってきます。ここでは、軽いラケットがプレーに与える具体的なデメリットを3つのポイントに分けて詳しく見ていきましょう。
スマッシュやクリアが軽くなりやすい
軽いラケットの最も代表的なデメリットは、スマッシュやクリアといったパワーショットが「軽い球」になりがちな点です。重いラケットの場合、スイングの際に生まれる遠心力とラケット自体の重さがシャトルに伝わり、相手を押し込むような重いショットを打つことができます。 しかし、軽いラケットではラケット自体の重さをショットに乗せにくいため、同じようにスイングしてもシャトルが失速しやすくなります。
特に筋力のあるプレーヤーが軽いラケットを使うと、その傾向は顕著に現れます。 スイングスピードは速くても、シャトルに十分な重さが加わらないため、威力のあるスマッシュを打ったつもりでも、相手にとっては比較的簡単にレシーブできる「軽いスマッシュ」になってしまうのです。クリアにおいても同様で、楽に飛ばせる感覚はあっても、相手コートの奥深くまで押し込むような伸びのあるクリアを打つのは難しくなります。
ラケットのヘッドがブレてコントロールが安定しない
軽いラケットは操作性に優れる反面、相手の強いショットに対して打ち負けやすいというデメリットがあります。相手が打った強力なスマッシュをレシーブする際、シャトルがラケットに当たるインパクトの衝撃は非常に大きいものです。重いラケットであれば、その重さで衝撃をある程度吸収し、ラケット面を安定させることができます。
しかし、軽いラケットはラケット自体が軽いため、シャトルの衝撃にヘッド部分が負けてしまい、面がブレやすくなります。 この面のブレが、意図しない方向にシャトルが飛んでしまう原因となり、コントロールを難しくさせます。 特に速いドライブの応酬や、スマッシュレシーブのような場面では、この面のブレが顕著に現れ、相手にチャンスボールを与えてしまうことにも繋がりかねません。安定したレシーブや正確なコントロールを求めるプレーヤーにとっては、このデメリットは大きな課題となるでしょう。
手打ちになりやすく怪我のリスクがある
軽いラケットは、腕の力だけでも比較的簡単に振れてしまうため、知らず知らずのうちに「手打ち」のフォームが身についてしまう危険性があります。本来、バドミントンの強いショットは、下半身からの力の連動(運動連鎖)を利用し、体全体の力を使って打つものです。 しかし、軽いラケットはその操作性の良さから、手先だけでシャトルをコントロールできてしまう感覚に陥りやすいのです。
手打ちのフォームが癖になると、体全体を使った正しい打ち方が習得しにくくなるだけでなく、肘や手首、肩といった特定の部位に負担が集中しやすくなります。重いラケットであれば、自然と体全体を使わないと振り切れないため、正しいフォームが身につきやすい側面もあります。 その点、軽いラケットは楽に扱える分、フォームが崩れやすく、結果としてバドミントン肘(テニス肘)などの怪我に繋がるリスクを高めてしまう可能性があることを覚えておく必要があります。
デメリットだけじゃない!軽いラケットのメリット

ここまで軽いラケットのデメリットを解説してきましたが、もちろんメリットもたくさんあります。特に、特定のプレースタイルやレベルの選手にとっては、軽いラケットが強力な武器になることも事実です。ここでは、軽いラケットが持つ3つの大きなメリットについて見ていきましょう。
抜群の操作性で素早いラケットワークが可能
軽いラケットの最大のメリットは、何と言ってもその優れた操作性にあります。 ラケットが軽いため、少ない力で素早くラケットを振ることができ、手首や指先を使った繊細なコントロールがしやすくなります。 この特徴は、特に反応速度が求められる場面で大きなアドバンテージとなります。
例えば、相手のスマッシュをレシーブする場面や、ネット前でのプッシュ、ドライブの応酬といった速い展開では、ラケットの振り遅れが命取りになります。 軽いラケットは、こうした場面でも瞬時に反応してラケットを操作できるため、守備範囲が広がり、相手の速いショットにも対応しやすくなります。 また、コンパクトなスイングでもシャトルを弾きやすいため、体勢が崩れた状態からでも返球しやすくなるでしょう。
長時間のプレーでも疲れにくい
バドミントンの試合や練習は、長時間に及ぶことも少なくありません。重いラケットを使い続けると、試合の後半になるにつれて腕や肩に疲労が蓄積し、スイングスピードが落ちたり、ショットの精度が低下したりすることがあります。
その点、軽いラケットは筋肉への負担が少ないため、長時間のプレーでも疲れにくいというメリットがあります。 特に筋力に自信のない女性やジュニア選手、あるいは体力に不安のあるシニアプレーヤーにとっては、試合の最後まで高いパフォーマンスを維持するための大きな助けとなるでしょう。 疲れにくいということは、集中力を維持しやすいことにも繋がり、プレー全体の質を高める効果も期待できます。
ダブルスでの前衛プレーに有利
軽いラケットの操作性の高さは、ダブルスの前衛プレーにおいて特にその真価を発揮します。 ネット前では、相手のドライブやプッシュに対して瞬時に反応し、コンパクトかつ素早いラケットワークでシャトルを処理する必要があります。
軽いラケットは、このようなネット前での細かい操作や素早いタッチを容易にします。 ラケットヘッドが軽快に動くため、相手の動きに素早く反応してコースを変えたり、相手の足元に沈めたりといった繊細なプレーがしやすくなります。後衛のスマッシュを相手がレシーブした後の浮き球を素早く叩くなど、速い展開で主導権を握りたいダブルスプレーヤーにとって、軽いラケットは非常に有効な選択肢と言えるでしょう。
軽いラケットのデメリットを克服する3つのポイント

軽いラケットにはデメリットもありますが、打ち方やセッティングを工夫することで、その弱点を補い、メリットを最大限に活かすことが可能です。ここでは、軽いラケットのデメリットを克服するための具体的な3つのポイントをご紹介します。
正しいフォームで体全体を使って打つ
軽いラケットを使うと手打ちになりやすいというデメリットは、意識的に体全体を使うフォームを習得することで克服できます。手先だけで振るのではなく、足で床を蹴る力、腰の回転、そして上半身への力の伝達という一連の「運動連鎖」を意識することが重要です。
スイングスピードを意識して上げる練習
スマッシュやクリアが軽くなるというデメリットは、スイングスピードを上げることでカバーできます。ラケットの重さを威力に変えにくい分、スイングの速さでシャトルにエネルギーを与えるイメージです。ただし、やみくもに腕を速く振るだけではコントロールが乱れたり、体を痛めたりする原因になります。
ここでも重要になるのが、体全体を使った正しいフォームです。リラックスした状態から、インパクトの瞬間にだけ力を集中させる「鞭(むち)のようなしなやかなスイング」を心がけましょう。肘を高く上げて、そこから腕がしなやかに出てくるようなスイング軌道を意識すると、自然とヘッドスピードが上がります。 タオルや素振り用の練習器具を使って、風を切る音を速くするような練習も効果的です。
ガットのテンションや種類を調整する
ラケット本体だけでなく、ガット(ストリング)のセッティングを見直すこともデメリット克服の有効な手段です。 ガットの種類や張りの強さ(テンション)は、打球感やシャトルの飛びに大きく影響します。
一般的に、軽いラケットでパワー不足を感じる場合、ガットのテンションを少し下げてみるのがおすすめです。テンションを下げると、ガットのたわみが大きくなり、トランポリン効果でシャトルを楽に飛ばせるようになります。逆に、コントロールが安定しない場合は、テンションを少し上げることで打球感が硬くなり、インパクトが安定しやすくなります。また、ガットの種類を反発性の高いものに変えることでも、シャトルの飛びを向上させることができます。ラケットとの相性もあるため、ショップの専門スタッフに相談しながら、自分に合ったセッティングを見つけてみましょう。
自分に合うラケットの重さを見つける選び方

軽いラケットのデメリットとメリットを理解した上で、最終的に自分に合った一本を見つけるためには、いくつかの基準を知っておくことが大切です。ここでは、ラケットの重さを示す表記から、プレースタイルやレベルに応じた選び方まで、具体的なポイントを解説します。
ラケットの重さを示す「U」表記を理解しよう
バドミントンラケットの重さは、グリップエンドやシャフト部分に記載されている「U」という記号で示されます。 この「U」の前の数字が小さいほど重く、大きいほど軽くなります。 一般的な重量区分は以下の通りです。メーカーによって多少の差はありますが、基本的な目安として覚えておきましょう。
| 表示記号 | 重さ(ガットなし) | 特徴 |
|---|---|---|
| 2U | 90g~94.9g | 重い。パワーヒッター、上級者向け。 |
| 3U | 85g~89.9g | 標準的。最も一般的な重さで、幅広い層に使われる。 |
| 4U | 80g~84.9g | やや軽い。操作性を重視するプレーヤーに人気。 |
| 5U | 75g~79.9g | 軽い。女性やジュニア、ダブルスプレーヤーに多い。 |
| 6U / F | 70g~74.9g / 約73g | かなり軽い。超軽量モデル。 |
現在主流となっているのは3Uと4Uのモデルです。 初めてラケットを購入する場合は、操作しやすい4Uや5Uから試してみるのがおすすめです。
自分のプレースタイルから考える(攻撃型 vs. 防御型)
ラケットの重さは、自分の目指すプレースタイルとも密接に関係します。
- 攻撃型(スマッシュ主体)のプレーヤー
スマッシュでガンガン攻めたい攻撃型のプレーヤーは、やや重めのラケット(3Uなど)が適している傾向があります。 ラケットの重さを利用して、相手を押し込むような威力のあるショットを打ちやすくなるためです。 - 防御型・スピード型(ドライブやレシーブ主体)のプレーヤー
速い展開でのラリーや、粘り強いレシーブを得意とするプレーヤーには、軽めのラケット(4Uや5U)が向いています。 軽いラケットは操作性が高いため、素早いラケットワークで相手の攻撃に対応しやすくなります。 ダブルスをメインにする方も、速い展開に強い軽いラケットがおすすめです。
レベル別(初心者・中級者・上級者)のおすすめ重量
プレーヤーのレベルによっても、適したラケットの重さは変わってきます。
- 初心者
バドミントンを始めたばかりの初心者は、まず軽いラケット(4Uや5U)から始めるのが良いでしょう。 軽いラケットは操作しやすく、シャトルを楽に飛ばせるため、バドミントンの楽しさを感じやすいです。 また、正しいフォームが固まるまでは、体に負担の少ない軽いラケットの方が怪我のリスクを減らせます。 - 中級者
基本的なショットが一通り打てるようになった中級者は、自分のプレースタイルに合わせて重さを見直す時期です。パワーをつけたいなら3Uに挑戦してみる、より速い展開に対応したいなら4Uを使い続けるなど、自分の課題や目指す方向性に応じて選択しましょう。 - 上級者
上級者は、自分の筋力やプレースタイルを完全に理解しているため、それに合わせてラケットを選びます。重いスマッシュを武器にする選手は2Uや3Uを、スピードとテクニックで勝負する選手は4Uを選ぶなど、自分のプレーを最大限に引き出す重さを選択します。
実際に試打してフィーリングを確かめる重要性
カタログスペックや一般的なおすすめだけでラケットを決めるのではなく、最終的には実際にラケットを振ってみて、自分の感覚に合うかどうかを確かめることが非常に重要です。同じ「4U」のラケットでも、重心の位置(ヘッドヘビー、ヘッドライトなど)によって振ったときの感覚(スイングウェイト)は全く異なります。
まとめ:バドミントンラケットの軽さとデメリットを理解して、最適な一本を見つけよう

この記事では、軽いバドミントンラケットが持つデメリットを中心に、そのメリットや克服法、そして自分に合った重さの選び方について詳しく解説しました。
軽いラケットは操作性に優れ、疲れにくいという大きなメリットがある一方で、パワーショットが軽くなったり、コントロールが安定しにくかったりするといったデメリットも存在します。
大切なのは、これらの特性を正しく理解し、自分のレベルやプレースタイル、目指すバドミントンに合わせてラケットを選ぶことです。軽いラケットのデメリットは、正しいフォームの習得やセッティングの工夫によって十分に克服可能です。ぜひこの記事を参考に、様々なラケットを試しながら、あなたのバドミントン上達を後押ししてくれる最高の一本を見つけてください。


