バドミントンのプレーにおいて、ラケットと同じくらい重要なのが「ガット(ストリング)」です。シャトルを打つ唯一の部分であり、ガットの状態がショットの質を大きく左右します。しかし、「いつ張り替えたらいいの?」「どんなガットを選べばいいの?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
特に上達を目指している方にとって、ガットの選択はパフォーマンス向上に直結する大切な要素です。この記事では、バドミントンのガット張り替えに関するあらゆる疑問に、やさしくわかりやすくお答えします。最適な張り替え時期や頻度、自分のプレースタイルに合ったガットの選び方、そして打球感を決めるテンション(張りの強さ)について詳しく解説します。
この記事を読めば、あなたにぴったりのガットが見つかり、プレーがもっと楽しく、そして上達へとつながるはずです。
バドミントンのガット張り替え、なぜ重要?最適な時期と頻度

ガットはラケットに張られた瞬間から、プレーをしていなくても少しずつ劣化が始まります。 適切なタイミングでガットを張り替えることは、ラケットの性能を最大限に引き出し、パフォーマンスを向上させるために非常に重要です。
パフォーマンスが落ちる?張り替えのサインを見逃さないで
ガットが劣化してくると、さまざまなサインが現れます。 これらはプレーの質に直接影響するため、見逃さないようにしましょう。
シャトルの飛びが悪くなる:ガットの反発力が失われ、同じようにスイングしてもシャトルが飛ばなくなります。
打球音が鈍くなる:「カーン」という甲高い音が「ポーン」という鈍い音に変わります。
打球感が硬く感じる:ガットの弾力性がなくなり、シャトルを打った時の衝撃が腕に伝わりやすくなります。
ガットが毛羽立つ・ささくれる:ガット表面のコーティングが剥がれ、繊維が毛羽立ってきます。
*ガットの交差点にくぼみができる:シャトルを打つ衝撃で、縦糸と横糸が擦れてくぼみが深くなります。
これらのサインに気づいたら、ガットが切れていなくても張り替えを検討する時期です。劣化したガットを使い続けると、ショットの精度が落ちるだけでなく、手首や肘を痛める原因にもなりかねません。
上達を目指すなら知っておきたい!適切な張り替え頻度の目安
ガットの寿命は、練習頻度やガットの太さ、プレースタイルによって大きく異なります。 一般的な張り替え頻度の目安は以下の通りです。
- 頻繁にプレーする人(週3回以上など):1〜2ヶ月に1回
- 一般的なプレーヤー(週1回程度など):3ヶ月に1回
たとえプレー頻度が低くても、ガットは張ってから約3ヶ月で本来の性能が失われてしまうと言われています。 そのため、ガットが切れなくても最長で3ヶ月を目安に張り替えることが推奨されています。 また、ナイロン製のガットは気温や湿度の影響を受けやすいため、季節の変わり目に合わせて張り替えるのも良いタイミングです。
大会前はいつ張り替える?ベストなタイミング
大事な大会前には、最高のコンディションで臨みたいものです。しかし、張り替えたばかりのガットは性能が安定せず、普段通りのプレーができないことがあります。
大会前にガットを張り替える場合は、試合の1週間〜3日前がおすすめです。これにより、ガットがラケットに馴染み、性能が安定するまでの「ならし期間」を確保できます。何度か練習で実際に打ってみて、ガットの感覚を確かめてから試合に臨むのが理想的です。直前の張り替えは避け、余裕を持ったスケジュールで準備しましょう。
自分に合うガットの選び方!種類と特徴を理解しよう

ガットには様々な種類があり、それぞれに特徴があります。 自分に合ったガットを選ぶことで、プレーの質は格段に向上します。 ここでは、ガットを選ぶ上で重要な「太さ(ゲージ)」「構造」「素材」の3つのポイントについて解説します。
ガットの太さ(ゲージ)で何が変わる?
ガットの太さは「ゲージ」と呼ばれ、mm(ミリメートル)で表記されます。 ゲージの違いによって、反発力や耐久性が大きく変わります。
| ゲージ | 特徴 | メリット | デメリット | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|---|
| 細い(〜0.66mm) | 反発力が高い | シャトルが楽に飛ぶ、打球音が高い | 耐久性が低く、切れやすい | パワーに自信のない初心者、クリアが飛ばない人、女性プレーヤー |
| 太い(0.68mm〜) | 耐久性が高い | 切れにくい、コントロールしやすい | 反発力が低く、飛ばすのにパワーが必要 | パワーヒッター、ガットが切れやすい中〜上級者 |
初心者のうちは、シャトルが楽に飛ぶ感覚を掴みやすい細めのゲージから試してみるのがおすすめです。 そして、プレーに慣れてきてパワーがついてきたり、もっとコントロールを重視したくなったりしたら、少し太めのゲージを試してみるのも良いでしょう。
構造の違いを比較!マルチフィラメントとモノフィラメント
ガットの内部構造は、主に「マルチフィラメント」と「モノフィラメント」の2種類に分けられます。 この構造の違いが、打球感や性能に大きく影響します。
- マルチフィラメント
たくさんの細い繊維を束ねて作られた構造です。 現在のバドミントンガットの多くがこのタイプです。- 特徴:柔らかい打球感、球持ちが良い(ホールド性が高い)
- メリット:シャトルをコントロールしやすく、腕への負担も少ない。
- デメリット:耐久性がやや低く、切れやすい傾向がある。
- おすすめな人:コントロールを重視するプレーヤー、初心者
- モノフィラメント
1本の太い芯(コア)の周りに細い繊維を巻き付けた構造です。- 特徴:硬い打球感、反発力が高い
- メリット:耐久性に優れ、力強いショットが打ちやすい。
- デメリット:球離れが早いため、コントロールが難しい。
- おすすめな人:パワーを重視するハードヒッター、中〜上級者
コーティングで変わる打球感!プレースタイル別おすすめガット
ガットの表面には、性能を高めるための様々なコーティングが施されています。 例えば、反発性を高める「ハイドロチタン複合コーティング」などがあり、これが打球感やショットの質に変化をもたらします。 自分のプレースタイルに合わせて選んでみましょう。
- 攻撃型・パワーヒッター
スマッシュの速さを追求するなら、高反発系のガットがおすすめです。ゲージは細めのものを選ぶと、より高い反発力と鋭い打球音が得られます。 耐久性が気になる場合は、少し太めのゲージで反発性能が高いモデルを選ぶと良いでしょう。 - 守備型・コントロール重視
レシーブやヘアピンなど、繊細なコントロールを求めるなら、球持ちの良い(ホールド性が高い)ガットが適しています。 マルチフィラメント構造で、打球感が柔らかいものがおすすめです。シャトルをガットの上で一瞬掴むような感覚で、狙ったコースに打ちやすくなります。 - オールラウンド
攻撃も守備もバランス良くこなしたい場合は、反発性、耐久性、コントロール性のバランスが取れたモデルを選びましょう。 ゲージは標準的な太さ(0.68mm前後)が扱いやすいです。 まずはこのようなバランスタイプのガットから始めて、自分の好みを探していくのも一つの方法です。
打球感を決める!テンション(ポンド)の決め方

ガットの張り替えで、ガットの種類と同じくらい重要なのが「テンション」です。 テンションとはガットを張る強さのことで、単位は「ポンド(lbs)」で表されます。 この数値が1違うだけでも、打球感は大きく変わります。
初心者・中級者・上級者別!テンションの目安
自分に合ったテンションを見つけることが上達への近道ですが、まずは一般的な目安を知っておくと良いでしょう。
| レベル | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 初心者 | 16~20ポンド | 16~19ポンド |
| 中級者 | 20~24ポンド | 18~22ポンド |
| 上級者 | 22~26ポンド以上 | 20~24ポンド以上 |
初心者の方は、まず低めのテンションから始めることを強くお勧めします。 最初から高く張りすぎると、シャトルが飛ばないだけでなく、腕や肩を痛める原因にもなります。
高テンションのメリット・デメリット
テンションを高く張ると、ガット面が硬くなります。
- メリット
- 速いショットが打てる:スイングスピードが速いプレーヤーがスイートスポット(ラケットの中心にある、最も効率よくシャトルを飛ばせる部分)で捉えると、球離れが速く、鋭いスマッシュが打てます。
- コントロール性が高い:シャトルの飛びすぎが抑えられるため、短い距離のショットコントロールがしやすくなります。
- 打球音が高い:「カーン」という金属音のような高い音が鳴り、気持ちよくプレーできます。
- デメリット
- シャトルが飛ばない:ガットのたわみが少ないため、自分の力でシャトルを飛ばす必要があり、パワーがないとクリアが飛びません。
- スイートスポットが狭い:スイートスポットが狭くなるため、芯を外すと全く飛ばなくなります。
- 腕への負担が大きい:打球時の衝撃が腕や肩に直接伝わりやすく、怪我のリスクが高まります。
- ガットが切れやすい・ラケットが破損しやすい:ガットに常に強い力がかかっているため、耐久性が低くなります。
低テンションのメリット・デメリット
テンションを低く張ると、ガット面が柔らかくなります。
- メリット
- シャトルが楽に飛ぶ:ガットがたわんでトランポリンのようになるため、弱い力でもシャトルを遠くに飛ばすことができます。
- スイートスポットが広い:スイートスポットが広くなるため、多少芯を外してもシャトルが飛んでくれます。
- 腕への負担が少ない:ガットのたわみが衝撃を吸収してくれるため、体への負担が軽減されます。
- デメリット
- スマッシュに威力が出にくい:シャトルとガットの接触時間が長くなるため、スピードのあるショットが打ちにくいです。
- コントロールが難しい:ガットのたわみでシャトルが飛びすぎてしまい、細かいコントロールがしにくい場合があります。
ガット張り替えはどこでできる?お店選びのポイントと料金相場

ガットの張り替えは、専門的な知識と技術が必要です。主にスポーツ用品店やバドミントン専門店に依頼するのが一般的です。
スポーツ用品店や専門店に依頼するメリット
自分でガットを張ることも不可能ではありませんが、専用の機械(ストリングマシン)が必要ですし、正しい知識がないとラケットを傷めたり、ガットの性能を十分に引き出せなかったりします。 そのため、プロに任せるのが安心です。
- 大手スポーツ用品店(アルペン、ゼビオなど)
全国に店舗があり、気軽に立ち寄れるのが魅力です。セールや会員割引などを利用すると、お得に張り替えられる場合があります。 - バドミントン専門店・個人の工房
知識と経験が豊富なスタッフがいることが多く、ガット選びやテンションについて専門的なアドバイスをもらえます。 こだわりのある張り方(プレストレッチなど)に対応してくれるお店もあります。
お店を選ぶ際は、ガット張りの資格を持った「張人」がいるかどうかも一つの基準になります。 知識豊富なスタッフに相談しながら、自分に合ったガットやテンションを決めることができます。
依頼する時の流れと注意点
お店にラケットを持ち込んでガット張り替えを依頼する際の、一般的な流れは以下の通りです。
- ラケットを店舗に持っていく
- ガットを選ぶ:お店にあるガットから選ぶか、自分で購入したガットを持ち込みます(持ち込み料金が別途かかる場合があります)。
- テンション(ポンド数)を伝える:希望のテンションを伝えます。決まっていなければ、スタッフに相談しましょう。
- 料金を支払い、ラケットを預ける
- 指定された日時に受け取りに行く
張り替えにかかる時間は、お店の混雑状況によって異なります。早いところでは30分〜1時間程度で仕上げてくれる「即張り」サービスもありますが、数日かかるのが一般的です。 大会前などは混み合う可能性があるので、余裕を持って依頼しましょう。
気になる料金相場は?ガット代と張り工賃
ガット張り替えにかかる費用は、「ガット代」+「張り工賃(加工費)」で決まります。
- ガット代:選ぶガットの種類によって大きく異なり、安いもので1,000円前後から、高機能なものだと2,000円以上します。
- 張り工賃:お店によって異なりますが、1,100円〜2,000円程度が相場です。
例えば、1,500円のガットを選び、工賃が1,500円のお店で張り替える場合、合計で3,000円程度かかります。ガットを持ち込む場合は、通常よりも工賃が高くなることが多いので、事前に確認しておきましょう。
ガットを長持ちさせるための豆知識

せっかく張り替えたガット、できるだけ良い状態で長く使いたいですよね。日頃のちょっとした心がけで、ガットの寿命を延ばすことができます。
保管方法で寿命が変わる?ラケットの適切な管理
ガットは非常にデリケートです。特にナイロン製のガットは温度や湿度の影響を受けやすいです。
- 高温多湿を避ける:直射日光が当たる場所や、夏場の車内などに長時間放置するのは絶対にやめましょう。 ガットが伸びて性能が劣化する原因になります。
- ラケットケースに入れる:保管時や移動時は、必ずラケットケースに入れましょう。衝撃や不要な湿気からガットを守ってくれます。 ケースに乾燥剤を入れておくと、さらに効果的です。
- 風通しの良い場所で保管:湿気がこもらないよう、風通しの良い場所で保管するのが理想です。
意外と知らない?ガットが傷むNG行動
プレー中やその前後で、無意識にガットを傷つけてしまっていることがあります。
- ガットでシャトルを拾う:コートに落ちたシャトルをガット面ですくい上げるのは、ガットを傷つけ、摩耗させる原因になります。
- ラケットを地面に置く・叩きつける:ガットが直接地面に触れると傷がつきやすくなります。もちろん、ラケットを叩きつけるのはフレームにもガットにも最悪です。
- グロメットの損傷を放置する:グロメットとは、ガットがフレームの穴を通る部分についているプラスチックの部品です。 これが割れたり潰れたりしていると、鋭利な部分でガットが切れやすくなります。 張り替えの際に、お店の人にチェックしてもらい、必要であれば交換しましょう。
張り替え後のならし期間は必要?
前述の通り、張り替えた直後のガットはまだ性能が安定していません。ガットとラケットのフレームが馴染むまでには、少し時間がかかります。そのため、張り替えてすぐに全力でプレーするのではなく、基礎打ちなどで軽く打つ時間を設けることをお勧めします。これにより、ガットの性能を最大限に引き出すことができ、急なガット切れのリスクも減らせます。
まとめ:バドミントンのガット張り替えで、ワンランク上のプレーを目指そう

この記事では、バドミントン上達を目指す方に向けて、ガット張り替えの重要性から、ガットの選び方、テンションの決め方、お店選びのポイントまで、幅広く解説しました。
ガットは、プレーヤーとシャトルをつなぐ唯一の接点であり、その状態や選択がパフォーマンスに大きく影響します。ガットが切れてから交換するのではなく、3ヶ月に一度を目安に定期的に張り替えることで、常に良いコンディションでプレーすることができます。
また、数多くの種類があるガットの中から、自分のレベルやプレースタイルに合った太さ(ゲージ)や構造のガットを選び、適切なテンション(ポンド)で張ることが、上達への近道です。
最初はどれを選べば良いか迷うかもしれませんが、この記事を参考に、スポーツ用品店のスタッフに相談しながら、色々なガットやテンションを試してみてください。 あなたにぴったりのセッティングを見つけて、バドミントンをさらに楽しみ、ワンランク上のプレーを目指しましょう。


