バドミントンのダブルスは、一人で行うシングルスとは異なり、パートナーとの連携が勝敗を大きく左右する魅力的な種目です。しかし、コート内を二人でどのように動けば良いのか、どんなショットを打てば得点に繋がるのか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
特にバドミントンを始めたばかりの方にとっては、パートナーの動きも考えながらプレーすることに難しさを感じるかもしれません。
この記事では、そんなバドミントンダブルスのコツを知りたいと考えているあなたのために、基本的なフォーメーションから、状況に応じた戦術、さらには具体的なショットの打ち分け方まで、やさしく解説していきます。この記事を読めば、ダブルス特有の動き方や考えるべきポイントがわかり、パートナーと協力して勝利を目指す楽しさがきっと見つかるはずです。
バドミントンダブルスの基本的なコツ

バドミントンのダブルスで勝利を目指すには、まず基本的な考え方や動き方を理解することが非常に重要です。ここでは、ダブルスをプレーする上での土台となる3つの基本的なコツをご紹介します。
パートナーとのコミュニケーション
試合中は常に状況が変化するため、声を出してお互いの意思を確認し合うことがミスを防ぎ、スムーズな連携プレーに繋がります。
例えば、「オーライ!」「まかせた!」「前!」「後ろ!」といった簡単な声かけでも、どちらがシャトルを打つのかが明確になり、お見合い(二人同時にシャトルを追いかけてぶつかってしまったり、譲り合って落としてしまったりすること)を防ぐことができます。
また、プレー中だけでなく、インターバルの間にも積極的にコミュニケーションを取りましょう。「次は相手のバック側を狙っていこう」「サーブは短めを意識しよう」など、二人で戦術を確認し合うことで、より効果的な攻撃を展開できます。 普段の練習から、ペアで話し合う習慣をつけておくことが、試合での勝利への近道となるでしょう。
基本的なフォーメーション(トップアンドバック、サイドバイサイド)
ダブルスには、状況に応じて使い分けるべき2つの基本的なフォーメーション(陣形)があります。それが「トップアンドバック」と「サイドバイサイド」です。
トップアンドバック
これは、ペアがコートの前後に並ぶ攻撃的なフォーメーションです。 前方に位置する選手を「前衛(ぜんえい)」、後方に位置する選手を「後衛(こうえい)」と呼びます。 前衛はネット際で相手の甘い返球をプッシュ(ネット際でシャトルを叩くショット)などで決める役割を、後衛はスマッシュやドロップで攻撃の起点を作る役割を担います。 自分たちが攻めている時に、このフォーメーションを組むのが基本です。
サイドバイサイド
こちらは、ペアがコートの左右に並ぶ守備的なフォーメーションです。 相手からスマッシュなどの速い攻撃を受ける際に、二人でコートを半分ずつ守ります。 この陣形を取ることで、相手の強打に対して備えることができます。
試合中は、この2つのフォーメーションをスムーズに入れ替える「ローテーション」が非常に重要になります。 攻撃から守備へ、守備から攻撃へと、ラリーの状況に合わせて素早く最適な陣形を作ることが、ダブルスで勝つためのコツです。
サーブ&レシーブの重要性
スピーディーな展開が魅力のダブルスでは、ラリーの始まりであるサーブと、その返球であるレシーブ(サーブレシーブ)が非常に重要です。 ここでの1球、2球目でラリーの主導権が決まってしまうことも少なくありません。
特に、短いサーブ(ショートサーブ)の精度は、試合を有利に進める上で欠かせません。サーブがネットから浮いてしまうと、相手の前衛に叩き込まれ、一発で失点してしまう可能性があります。 相手にプレッシャーをかけられるような、低く、ネットすれすれの質の高いショートサーブを打てるように練習しましょう。
また、レシーブ側は、相手のサーブに対して積極的に攻撃を仕掛ける意識が大切です。 相手のサーブが少しでも甘ければ、ネット前に沈めたり、相手サーバーのいない場所を狙ったりすることで、自分たちの攻撃チャンスを作り出すことができます。サーブとレシーブの攻防を制することが、試合の流れを引き寄せる第一歩となります。
ポジショニングとローテーションのコツ

ダブルスでは、個々の技術力だけでなく、2人がいかに効率よくコートをカバーし、スムーズに攻守を切り替えるかが勝敗を分けます。その中心となるのが「ポジショニング」と「ローテーション」です。
攻撃時のフォーメーション「トップアンドバック」
「トップアンドバック」は、ペアがコートの前後に縦に並ぶ、最も攻撃的なフォーメーションです。 自分たちが攻撃の主導権を握っている時にこの形を作るのが理想です。
前衛の役割
前衛の主な役割は、ネット前で相手の返球を待ち構え、甘くなったシャトルをプッシュやヘアピン(ネット際にそっと落とすショット)で決めることです。 常にラケットを体の前に構え、ネットより高い位置でシャトルに触ることを意識しましょう。 相手にプレッシャーを与え、後衛が打ちやすい状況を作るチャンスメーカーとしての役割も担います。
後衛の役割
後衛は、コートの後方からスマッシュやドロップ、クリアといった多彩なショットを打ち分け、攻撃の起点を作ります。 前衛が決めることができるように、相手を揺さぶり、甘い返球を引き出すことが主な仕事です。 常にコート全体を見渡し、相手ペアの位置や体勢を把握しながら、最も効果的なショットを選択する判断力が求められます。
このトップアンドバックの形を維持し続けることが、得点を重ねるための重要なコツです。
守備時のフォーメーション「サイドバイサイド」
「サイドバイサイド」は、ペアがコートの左右に横並びになる守備に特化したフォーメーションです。 自分たちがクリアーやロブを上げてしまい、相手からスマッシュなどの攻撃を受けると予測される場面で、この陣形に素早く切り替える必要があります。
二人が横に並ぶことで、コートの左右をそれぞれ分担して守ることができます。 これにより、相手のスマッシュに対して、一人で広い範囲を守る必要がなくなり、レシーブがしやすくなります。
守備の際は、重心を低く落とし、いつでも動き出せるように準備しておくことが大切です。 相手の強打をしっかりとレシーブし、守備から攻撃へと転じるチャンスをうかがいます。甘い返球が来たら、ドライブ(ネットに対して水平に速く飛ぶショット)などで反撃し、再び攻撃の形であるトップアンドバックへの移行を目指しましょう。
スムーズなローテーションの秘訣
ローテーションとは、攻撃型の「トップアンドバック」と守備型の「サイドバイサイド」を、試合の状況に応じてスムーズに入れ替える動きのことです。 このローテーションがうまくできないと、コートに穴ができてしまい、相手にそこを狙われて失点に繋がります。
攻撃から守備への切り替え
後衛がスマッシュを打てず、苦し紛れにクリアーを上げた場合、相手からの攻撃が予測されます。この時が守備へ切り替わるタイミングです。 クリアーを上げた後衛の動きを見て、前衛は素早く後衛のいない方のサイドに下がり、サイドバイサイドの形を作ります。 前衛からは後衛の動きが見えにくいため、後衛が前衛の動きに合わせてポジションを取ることが重要です。
守備から攻撃への切り替え
サイドバイサイドで守っている時に、相手のスマッシュをネット前に短くレシーブできた場合、攻撃に転じるチャンスです。レシーブした選手が前に詰めて前衛となり、もう一方の選手がその後ろに回り込んで後衛のポジションにつくことで、トップアンドバックの形を作ります。
ローテーションは決まった動きがあるわけではなく、状況判断の連続です。パートナーがどこに動いたのか、次にどこにシャトルが返ってきそうかを常に予測しながら動くことが、スムーズなローテーションのコツと言えるでしょう。
各ショットの使い分けとコツ

ダブルスで勝つためには、基本的なフォーメーションやローテーションに加えて、様々なショットを状況に応じて的確に使い分ける技術が不可欠です。ここでは、各ポジションでの役割と、そこで有効なショットのコツについて解説します。
攻めの起点を作るサーブ
ダブルスのラリーはサーブから始まります。特に、試合展開の速いダブルスでは、サーブの質がその後のラリーを大きく左右します。
基本となるのは、低く、ネットをすれすれに越えるショートサーブです。相手にラケットを上げさせず、攻撃的なレシーブをさせないことが目的です。サーブを打つ際は、力まずリラックスし、安定して同じコースに打てるように繰り返し練習することが重要です。
また、常にショートサーブだけだと相手に読まれてしまうため、時には相手の意表を突くロングサーブ(コート後方を狙う長いサーブ)も有効です。相手レシーバーが前に詰めている時など、タイミングを見計らって使うと効果的です。ただし、多用すると狙われやすくなるため、あくまで奇襲として使うのが良いでしょう。
相手を崩すレシーブ
相手のサーブに対する返球、つまりサーブレシーブは、守りから一気に攻撃のチャンスを作り出すための重要なショットです。
相手のショートサーブに対しては、以下のようなコースを狙うのが効果的です。
| 狙うコース | ショットの種類 | 目的 |
|---|---|---|
| ネット際 | ヘアピン、プッシュ | 相手サーバーの足元に沈め、次の攻撃に繋げる |
| サーバーのボディ | プッシュ | 相手を詰まらせ、甘い返球を誘う |
| コート中盤(ハーフ) | ドライブ、ハーフショット | 相手前衛と後衛の間を狙い、陣形を崩す |
レシーブでは、ただ返すだけでなく、「相手に上げさせる」ことを意識するのがコツです。 相手にシャトルを上げさせることができれば、自分たちが攻撃の形(トップアンドバック)を作り、ラリーの主導権を握ることができます。
前衛の役割とショット(プッシュ、ヘアピン)
トップアンドバックのフォーメーションにおける前衛は、得点源となる非常に重要なポジションです。
前衛の選手は、常にネット前に詰め、ラケットを体の前に高く構えて準備します。 相手の返球が少しでも甘く浮いてきたら、すかさずプッシュで叩き込みます。プッシュを打つ際は、大振りせず、コンパクトなスイングでシャトルを捉えるのがコツです。
また、相手のドロップショットやヘアピンに対しては、こちらもヘアピンで応戦します。ネット際に低く、優しく返すことで、相手にシャトルを上げさせ、後衛の攻撃チャンスを作り出します。前衛は、後衛がスマッシュを打った後に相手が返球してくるコースを予測し、先回りして待ち構える「ヤマを張る」動きも重要になります。
後衛の役割とショット(スマッシュ、クリア、ドロップ)
後衛は、攻撃の司令塔ともいえるポジションです。コート後方から強力なショットを打ち込み、ラリーの主導権を握ります。
後衛の最も代表的な攻撃ショットはスマッシュです。高い打点から相手コートに鋭く叩き込むことで、一気に得点を狙います。ただし、闇雲にスマッシュを打ち続けるだけでは、体力を消耗する上に相手に読まれやすくなります。
そこで重要になるのが、クリア(コート奥深くに高く打ち上げるショット)やドロップ(ネット際に緩やかに落とすショット)を織り交ぜ、相手を揺さぶることです。スマッシュと同じフォームからドロップを打つことで、相手のタイミングをずらし、体勢を崩すことができます。
ダブルスで勝つための戦術

基本的な動きやショットのコツを覚えたら、次は試合で勝つための戦術を学びましょう。相手を分析し、より戦略的にプレーすることで、勝率は格段に上がります。
相手の弱点を狙う配球
ダブルスで勝つための最も基本的な戦術は、相手ペアの弱点を見つけて、そこを徹底的に攻めることです。 試合の序盤で、相手ペアのどちらがレシーブが苦手か、バックハンド側が弱いか、動きが遅いかなどを見極めましょう。
例えば、片方の選手が明らかにレシーブが苦手そうであれば、サーブやスマッシュをその選手に集中させます。 そうすることで、相手のミスを誘ったり、甘い返球を引き出して攻撃のチャンスを増やしたりすることができます。
また、相手が右利き同士のペアであれば、2人の間、つまりセンターを狙う攻撃も非常に有効です。どちらが取るか迷わせることで、お見合いや中途半端な返球に繋がることが多くあります。
センター攻撃の有効性
ダブルスでは、コートの真ん中、つまりセンターへの攻撃が非常に効果的な戦術となります。 なぜなら、センターにシャトルが飛んでくると、相手ペアはどちらが打つべきか一瞬迷ってしまうことがあるからです。
特に、相手がサイドバイサイドで守っている時にセンターへスマッシュを打つと、お互いが譲り合ってしまったり(お見合い)、ラケット同士がぶつかってしまったりするミスを誘発できます。
また、トップアンドバックで攻めている時も、後衛がセンターへスマッシュを打ち、その返球を前衛が狙うという連携は、基本的な得点パターンの一つです。 常にサイドライン際だけを狙うのではなく、戦術的にセンターを使うことで、攻撃の幅が大きく広がります。
ミスの少ないプレーを心がける
ダブルスはシングルスに比べてラリーの展開が速く、攻撃的なプレーが多くなりがちです。しかし、派手なスマッシュでエースを狙うことだけが勝利への道ではありません。むしろ、いかに自分たちのミスを減らすかが、勝利のためには非常に重要です。
無理な体勢から強打しようとしてネットにかけたり、アウトにしてしまったりする「もったいない失点」をなくすことを意識しましょう。苦しい場面では、派手な攻撃を狙うのではなく、一度高くクリアーを上げて体勢を立て直す勇気も必要です。
特に試合の序盤や競った場面では、確実に相手コートに返すことを最優先に考えましょう。ミスの少ない堅実なプレーを続けることで、相手が先に焦ってミスをしてくれることも多くあります。粘り強くラリーを続けることが、結果的に勝利へと繋がるのです。
上達するためのおすすめ練習法

ダブルスの実力を向上させるためには、日々の練習が欠かせません。ここでは、パートナーとの連携を深め、より実戦的なスキルを身につけるためのおすすめの練習法をいくつかご紹介します。
パターン練習で連携を深める
パターン練習とは、あらかじめ打つコースや球種を決めておき、ラリーを続ける練習方法です。これにより、実戦でよくあるラリーの展開を体に覚え込ませ、スムーズなローテーションや連携を身につけることができます。
- アタック&レシーブ
片方のペアが攻撃側(トップアンドバック)、もう一方が守備側(サイドバイサイド)となり、ラリーを続けます。 攻撃側はスマッシュやドロップを打ち続け、守備側はそれをひたすらレシーブします。攻撃側は攻め切る力、守備側は粘り強いレシーブ力を養うことができます。 - ローテーション練習
コートの半面のみを使い、2対2で低い球(ドライブやハーフショット)を打ち合います。 シャトルを打った選手は必ず前後のポジションを入れ替わる、といったルールを決めることで、自然なローテーションの動きを習得できます。
基礎打ちでショットの精度を上げる
地味に思えるかもしれませんが、ショットの精度を高めるためには基礎打ちが最も重要です。パートナーと向き合って、クリアー、ドロップ、ドライブ、スマッシュなどの各ショットを丁寧に打ち合う時間を大切にしましょう。
特にダブルスでは、ネット際のプレーが重要になるため、プッシュ&レシーブの練習は欠かせません。 片方がネット前に立ち、もう片方がシャトルを出し、それをプッシュする練習を繰り返すことで、速いタッチと決定力を磨くことができます。 レシーブ側は、低い姿勢で構え、相手のプッシュに素早く反応する練習になります。
試合形式の練習で実戦感覚を養う
パターン練習や基礎打ちで個々の技術や連携の動きを身につけたら、最後は試合形式の練習でそれらを試すことが大切です。 練習のための練習で終わらせず、常に試合本番を意識してプレーしましょう。
練習試合では、勝ち負けだけにこだわるのではなく、今日練習したこと(例:センター攻撃を意識する、サーブレシーブから積極的に攻めるなど)を試す、といった具体的な目標を持って臨むと、より効果的です。
また、自分たちより格上の相手と試合をさせてもらうのも、上達への近道です。速いラリー展開や厳しいコースへの配球を体感することで、自分たちに足りないものが見えてくるでしょう。
まとめ:バドミントンダブルスのコツを掴んで勝利へ!

この記事では、バドミントンのダブルスで勝つための様々なコツを、基本的な考え方から具体的な戦術、練習法に至るまで幅広く解説してきました。
ダブルスは、個人の技術力だけでなく、パートナーとのコミュニケーションと連携が何よりも重要です。 まずは基本となる「トップアンドバック」と「サイドバイサイド」の2つのフォーメーションを理解し、状況に応じてスムーズに「ローテーション」できるようになることを目指しましょう。
サーブやレシーブといったラリーの序盤で主導権を握り、前衛と後衛がそれぞれの役割を果たすことで、得点のチャンスは大きく広がります。 そして、相手の弱点を突く戦略的な配球や、自分たちのミスを減らす堅実なプレーを心がけることが、勝利をぐっと引き寄せます。
今回ご紹介したコツを日々の練習で意識し、パートナーと話し合いながら実践してみてください。二人で力を合わせるダブルスの楽しさを感じながら、一歩ずつ上達していきましょう。


