バドミントンのダブルスの試合で、スコアシートの記入に戸惑った経験はありませんか?一見複雑に見えるスコアシートですが、実はルールさえ理解すれば誰でも簡単に書くことができます。
しかし、いざ主審を任されると、「サーバーは誰?」「次はどっちのサイドから?」と混乱してしまうことも少なくありません。この記事では、バドミントンのダブルスにおけるスコアシートの基本的な書き方から、試合の流れに沿った具体的な記入例、さらにはスコアシートを分析して上達に繋げる方法まで、初心者にもわかりやすく解説します。
スコアシートを正しく記録することは、正確な試合運営だけでなく、自身のプレーを客観的に振り返るための重要なツールにもなります。この記事を読んで、スコアシートを味方につけ、さらなるレベルアップを目指しましょう。
バドミントン スコアシート(ダブルス)の基本的な書き方と準備

試合をスムーズに進行し、正確に記録するためには、事前の準備とスコアシートの基本項目の理解が不可欠です。まずは、試合開始前にスコアシートに記入すべき情報と、確認しておくべきポイントを押さえましょう。
スコアシートに記載する基本情報
スコアシートには、試合の得点以外にも記録すべき基本情報がたくさんあります。これらを正確に記入することが、公式な記録としての第一歩です。
まず、大会名、試合日、コート番号、試合番号などを所定の欄に記入します。 次に、対戦する両ペアの選手名と所属をフルネームで正確に書き入れます。 名前を間違えそうな場合は、選手本人に確認したり、ユニフォームなどで特徴をメモしておくと安心です。 そして、主審を務めるあなた自身の名前も忘れずに主審署名欄に記入しておきましょう。 これらの情報は、試合が始まる前に落ち着いて記入しておくことで、試合開始後の慌ただしさを軽減できます。特に、選手名は勝者・敗者を明確にするための最も重要な情報ですので、丁寧に確認してください。
必要な用具(筆記用具、クリップボードなど)
スコアシートを記入するためには、いくつかの用具を準備しておくと便利です。最低限、黒または青のボールペン(消せるタイプは公式記録として不適切な場合があります)と、予備のペンを1本用意しておきましょう。
さらに、スコアシートを挟むためのクリップボードがあると、非常に記入しやすくなります。膝の上で書いたり、不安定な場所で書いたりすると、字が乱れたり、シートが風で飛んでしまったりする可能性があるためです。また、試合によっては開始時刻と終了時刻を記入する必要があるため、時計も手元にあるとスムーズです。 大会によっては、これらの用具が審判台に用意されていることもありますが、自分で使い慣れたものを持参すると、より落ち着いて審判に臨むことができるでしょう。
試合開始前の重要な確認事項
全選手の準備が整ったら、試合開始前にトスを行います。トスに勝ったペアは、以下の3つの選択肢の中から1つを選ぶ権利があります。
- 最初にサーブをする
- 最初にレシーブをする
- コート(エンド)を選ぶ
例えば、トスに勝ったA/Bペアが「サーブ」を選んだ場合、負けたC/Dペアは残りの選択肢である「レシーブ」か「コート」を選びます。ここではC/Dペアが「コート」を選んだとします。この結果をスコアシートに記録します。
具体的には、A/Bペアの欄に「S(サーバー)」、C/Dペアの欄に「R(レシーバー)」と記入します。 また、主審から見て右側のコートに入ったペアに「R(Right)」、左側に入ったペアに「L(Left)」を記録します。 これで試合開始の準備が整いました。
これで迷わない!ダブルスのスコアシート記入の流れ

ダブルスのスコアシートが複雑に感じられる一番の理由は、サーバーとレシーバーが頻繁に代わり、それに伴ってスコアを記入する場所も変わる点にあります。しかし、基本的なルールさえ覚えてしまえば、機械的に記入を進めることができます。
サーバーとレシーバーの記入方法
試合開始時、最初のサーバーとレシーバーをスコアシートに記録します。 例えば、A/Bペアがサーブ権を取り、A選手が最初のサーバーだとします。C/Dペアがレシーブ権を取り、C選手が最初のレシーバーだとします。この場合、スコアシートのA選手の名前の横のボックスに最初の得点「0」を記入します。 同様に、レシーブ側のC/Dペアのボックスにも「0」を記入します。
ダブルスのルールでは、サーバー側のスコアが偶数(0を含む)の場合は右側のサービスコートから、奇数の場合は左側のサービスコートからサーブを打ちます。 最初のスコアは0-0なので、サーバーであるA選手は右側のサービスコートから、対角にいるレシーバーのC選手に向かってサーブを打ちます。 このサーバーとレシーバーの関係は、サービスオーバー(サーブ権が相手に移ること)が起こるまで変わりません。
得点が入った時のスコアの付け方
ラリーに勝った方に1点が入ります(ラリーポイント制)。 スコアの記入方法は、どちらのサイドが得点したかによって異なります。
- サービングサイド(サーブを打った側)が得点した場合:
同じサーバーが続けてサーブを打ちます。 スコアシートには、サーブを打った選手の行に、次の得点を記入します。 例えば、A選手がサーブを打って得点し、スコアが1-0になった場合、A選手の行の「0」の隣に「1」と記入します。A選手のスコアが1(奇数)になったので、A選手はパートナーのB選手とサイドを交代し、左側のサービスコートからサーブを打ちます。 - レシービングサイド(レシーブした側)が得点した場合:
レシービングサイドに1点が入り、サーブ権も移動します(サービスオーバー)。 スコアシートには、新たにサービングサイドとなったペアの、次にサーブを打つ選手の行に得点を記入します。 例えば、1-0でB選手がサーブを打ったラリーでC/Dペアが勝った場合、スコアは1-1となり、サーブ権がC/Dペアに移ります。スコアが1(奇数)なので、その時点で左側にいた選手(この場合はD選手)が次のサーバーとなります。スコアシートにはD選手の行に「1」と記入します。
サービスオーバー(サーブ権の移動)の記録
サービスオーバーは、ダブルスのスコアシートを記入する上で最も重要なポイントです。サービスオーバーが起こると、スコアを記入する行が相手ペアの選手の行に移動します。
重要なのは、サービスオーバーの度に、記入する行が相手サイドに移るということです。 そして、同じペア内でサーブ権が移動するときも、記入する行がパートナーの行に移ります。
例えば、A/Bペアがサーブ権を持っている間はA選手かB選手の行にスコアを記入し、C/Dペアがラリーに勝ってサービスオーバーになったら、今度はC選手かD選手の行にスコアを記入していく、という流れになります。 この「サーブ権の移動=記入する行の移動」というルールを意識することが、ミスなく記入するコツです。
チェンジエンドの際の記入
各ゲームでどちらかのペアが11点に達すると、1分間のインターバルがあります。 この際、選手たちはコートを交代(チェンジエンド)します。ファイナルゲーム(3ゲーム目)でも、どちらかが11点に達した際にチェンジエンドが行われます。スコアシート上では、特にチェンジエンドを記録する欄はありませんが、主審は選手のコート移動を確認し、試合を再開させます。
試合が再開されると、主審から見て左右の選手が入れ替わりますが、スコアシートの書き方はこれまでと全く同じです。選手の位置は変わっても、スコアシート上の選手名(サーバーの順番)は変わりませんので、混乱しないようにしましょう。
具体例で見る!スコアシート記入シミュレーション

ルールの説明だけでは分かりにくい部分も、具体的な試合の流れに沿って見ていくと理解が深まります。ここでは、A/Bペア対C/Dペアの試合を例に、スコアシートの記入方法をシミュレーションしてみましょう。
ゲーム序盤の記入例(0-0から5-5あたりまで)
ここでは、試合開始からスコアが5-5になるまでの流れを、表形式で分かりやすく解説します。
【設定】
- トスの結果、A/Bペアがサーブ権を選択。C/Dペアはレシーブを選択。
- 最初のサーバーはA選手、最初のレシーバーはC選手。
- スコアシート上では、A/Bペアの行とC/Dペアの行が交互になっています。
| スコア | サーバー | レシーバー | ラリーの勝者 | スコアシートへの記入 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 0-0 | A (右) | C | A/B | Aの行に「1」を記入 | Aのスコアが奇数になり、次は左からサーブ |
| 1-0 | A (左) | D | A/B | Aの行に「2」を記入 | Aのスコアが偶数になり、次は右からサーブ |
| 2-0 | A (右) | C | C/D | Cの行に「1」を記入 | サービスオーバー。C/Dペアのスコアは奇数なので左のCがサーブ |
| 2-1 | C (左) | B | A/B | Bの行に「3」を記入 | サービスオーバー。A/Bペアのスコアは奇数なので左のBがサーブ |
| 3-1 | B (左) | D | A/B | Bの行に「4」を記入 | Bのスコアが偶数になり、次は右からサーブ |
| 4-1 | B (右) | C | C/D | Dの行に「2」を記入 | サービスオーバー。C/Dペアのスコアは偶数なので右のDがサーブ |
| 4-2 | D (右) | A | C/D | Dの行に「3」を記入 | Dのスコアが奇数になり、次は左からサーブ |
| 4-3 | D (左) | B | C/D | Dの行に「4」を記入 | Dのスコアが偶数になり、次は右からサーブ |
| 4-4 | D (右) | A | A/B | Aの行に「5」を記入 | サービスオーバー。A/Bペアのスコアは奇数なので左のAがサーブ |
| 5-4 | A (左) | D | C/D | Cの行に「5」を記入 | サービスオーバー。C/Dペアのスコアは奇数なので左のCがサーブ |
このように、誰がサーブを打ったラリーだったかを常に意識し、ラリーの勝敗に応じて適切な選手の行にスコアを記入していきます。
インターバル(11点)の記入
試合が進行し、どちらかのペアが先に11点に到達すると、主審は「11点、インターバル」とコールします。この時、スコアシートには特別な記入は必要ありませんが、主審は1分間のインターバルを計測し、選手にコートチェンジを促します。インターバル終了後、試合を再開させます。この際、サーバーは11点目を取ったラリーのサーバーが、正しいサイドからサーブを打ちます。例えば、11-8でA/Bペアがリードしてインターバルに入った場合、11点目を取ったのがB選手であれば、スコアは奇数なので、B選手が左サイドからサーブを打って再開します。
ゲーム終盤とゲームセットの記入例
ゲーム終盤、20-20になった場合は延長戦(セッティング)となり、2点差がつくか、先に30点を取った方がそのゲームの勝者となります。 20点に達した時点で、主審は「20、ゲームポイント」などとコールします。
ゲームが終了したら、最終スコアをスラッシュ(/)で区切り、丸で囲みます。 例えば、A/Bペアが21-18で勝利した場合、「㉑/18」のように記入します。そして、スコアシート上部にあるスコア欄にも、第1ゲームの結果として「21-18」と記入します。
全てのゲームが終了し、マッチ(試合)の勝者が決まったら、勝者ペアの名前を大きく丸で囲みます。 最後に、勝者ペアに署名をもらい、主審自身も署名をします。 開始時刻と終了時刻を記入する欄があれば、それらも忘れずに記入し、大会本部にスコアシートを提出します。
スコアシート記入で間違いやすいポイントと対処法

丁寧に記入していても、試合の熱気や複雑なルールのせいで、ミスをしてしまうことは誰にでもあります。大切なのは、ミスに気づいたときに慌てず、正しく対処することです。ここでは、よくある間違いとその対処法について解説します。
サーバー・レシーバーを間違えた場合
ダブルスで最も起こりやすいミスの一つが、サーバーやレシーバーの順番を間違えることです。 例えば、本来サーブを打つべき選手ではないパートナーがサーブを打ってしまったり、レシーバーが違うサイドに立っていたりするケースです。
スコアシート上では、間違いが起こった時点のスコアの横に「C(CorrectionのC)」などと小さくメモしておくと、後から見返したときに状況を把握しやすくなります。 主審は、常に現在のスコアと、そのスコアに対応する正しいサーバー、正しいサイドを頭に入れておくことが重要です。
スコアを書き間違えた時の訂正方法
スコアの記入ミスもよくある間違いです。例えば、得点を二重に書いてしまったり、違う選手の欄に記入してしまったりした場合です。このような場合は、間違えた箇所を二重線で消し、その隣や下の余白に正しいスコアを記入します。修正液や修正テープの使用は、公式記録としては認められない場合が多いため、避けるのが無難です。
大切なのは、誰が見ても分かるように、はっきりと訂正することです。訂正箇所に主審が小さくサイン(イニシャルなど)を添えておくと、より丁寧な記録となります。ミスに気づいたら、すぐにプレーを止めて選手に確認し、両ペアの合意のもとでスコアを訂正しましょう。
ダブルスの複雑なローテーションとスコアの関係
ダブルスのローテーションは、「サーブ権を持っているペアだけが、得点したときに左右のポジションを交代する」という原則に基づいています。 レシーブ側で得点し、サーブ権が移ってきた場合は、ポジションは交代しません。
このルールとスコアの関係を常に意識することが、記入ミスを防ぐ最大のポイントです。
- 自チームのスコアが偶数(0, 2, 4…)の時:最初のサーバー(ゲーム開始時に右サイドにいた選手)は右サイドに、そのパートナーは左サイドにいるはずです。
- 自チームのスコアが奇数(1, 3, 5…)の時:最初のサーバーは左サイドに、そのパートナーは右サイドにいるはずです。
スコアシートを記入しながら、時々コート上の選手のポジションと、この原則が一致しているかを確認する癖をつけると、間違いを早期に発見しやすくなります。
スコアシートをバドミントンの上達に活かす方法

スコアシートは、単なる試合の記録ではありません。正しく記録されたスコアシートは、自分のプレーを客観的に分析し、今後の課題を見つけるための貴重なデータとなります。ここでは、スコアシートを上達に活かすための具体的な方法を紹介します。
試合のターニングポイントを分析する
試合後、スコアシートを見返してみましょう。連続得点が始まった時や、逆に連続失点が始まった時のスコアに注目してください。そこが試合のターニングポイントである可能性が高いです。
例えば、「5-8でリードされていたが、そこから5連続得点して10-8と逆転した」という記録があったとします。その時、誰がサーバーでしたか? 相手のどの選手がレシーバーでしたか? どのようなプレーで得点できていたかを思い出すことで、自分たちの得意なパターンや、相手の苦手なローテーションが見えてくるかもしれません。逆に、連続失点した場面では、「相手のA選手がサーブの時に、いつもレシーブを崩されて失点している」といった課題が浮かび上がってくるでしょう。
得点パターンと失点パターンを把握する
スコアシートには、誰がサーブを打った時に得点・失点したかが記録されています。 これを分析することで、自分とパートナー、それぞれのサーブ時の得点率を大まかに把握することができます。
例えば、自分のサーブの時に連続得点が多い場合、あなたのサーブが効果的であるか、あるいはサーブからの3球目の攻撃がうまく機能している可能性があります。 逆に、パートナーのサーブ時に失点が多い場合は、パートナーのサーブの質や、その後のローテーションに課題があるのかもしれません。このように、スコアシートと試合内容を照らし合わせることで、漠然とした反省ではなく、具体的な課題に基づいた練習に取り組むことができます。
自分のプレーの癖や課題を見つける
より詳細な分析をしたい場合は、スコアシートの余白に簡単なメモを加えておくのも有効です。 例えば、「スマッシュでエース」「ヘアピンでミス」「レシーブが浮いて失点」など、ラリーが終わった原因を簡潔に記録します。
これを続けることで、ただのスコアの羅列だったスコアシートが、プレー内容まで記録された詳細な分析シートに変わります。 試合後に見返せば、「ゲーム終盤になると、焦ってスマッシュのミスが増えているな」とか、「相手のバック奥を狙った時に得点できていることが多い」といった、自分のプレーの癖や、より効果的な戦術を発見するきっかけになります。このような分析を繰り返すことが、確実なレベルアップへと繋がっていくのです。
バドミントンのスコアシート(ダブルス)をマスターして試合に強くなろう

この記事では、バドミントンのダブルスにおけるスコアシートの書き方について、基本的な準備から具体的な記入例、さらには上達への活用法まで詳しく解説しました。
最初は複雑に感じるかもしれませんが、「サーブ権の移動とともに記入する行を移す」「サーブ側のスコアが偶数なら右、奇数なら左から」という基本ルールさえ押さえれば、誰でも正確に記入できるようになります。
スコアシートを正しく書けることは、スムーズな試合運営に貢献するだけでなく、試合の流れを客観的に把握し、自分たちの強みや弱みを分析するための強力なツールとなります。試合の記録をただの数字で終わらせず、次へのステップアップに繋げることで、あなたのバドミントンはさらに上達するはずです。ぜひ、この記事を参考にスコアシートの記入に挑戦し、試合で活用してみてください。


