バドミントンの試合で、自分が打ったサーブがネットの白い部分に「カシャッ」と当たって、相手コートにポトリと落ちる。誰もが一度は経験したことがある「ネットイン」の瞬間ではないでしょうか。レシーバーは全く反応できず、サービスエースになることも多いこのプレー。
一方で、「これってルール上OKなの?」「マナーとして謝るべき?」と疑問に思う方も少なくないでしょう。また、あわよくば「あのラッキーなネットインを狙って打てないものか…」と考えたことがある人もいるかもしれません。
この記事では、そんなバドミントンのサーブにおけるネットインについて、基本的なルールから、意図的に狙うための考え方、そしてネットインを誘発するような質の高いサーブを打つための具体的なコツまで、バドミントン上達を目指すあなたのために、やさしくわかりやすく解説していきます。ネットインを正しく理解し、自分のプレーの幅を広げていきましょう。
バドミントンのサーブでネットイン!これって有効?基本ルールを再確認

試合の始まりを告げるサーブ。その一打がネットに触れて相手コートに入った場合、プレーはどうなるのでしょうか。まずは、最も基本的なルールから確認していきましょう。
ネットインの定義とは?
そもそも「ネットイン」とは、打ったシャトルがネットの上部に触れて、相手コートに入ることを指します。 バドミントンだけでなく、テニスや卓球、バレーボールなど、ネットを挟んで行う多くのスポーツで使われる用語です。 シャトルがネットの白帯に当たって軌道が変わり、相手の予測を裏切る形でコートに落ちることが多いため、サービスエースやラッキーなポイントにつながりやすいプレーの一つです。
サーブでのネットインは有効なプレー
結論から言うと、バドミントンのサーブにおいてネットインは完全に有効なプレーです。 ネットに当たったとしても、最終的にシャトルが相手の正しいサービスコート内に入れば、プレーはそのまま続行され、相手が返せなければサーバーの得点となります。 もし相手コートに入らなければ、それは通常のサーブミス(フォルト)と同じ扱いです。
サーブがネットに当たり、相手の正しいサービスコートに入った場合 → インプレー(有効)
サーブがネットに当たり、相手のサービスコート外に落ちた場合 → フォルト(失点)
ラリー中においても同様で、ネットインしたシャトルが相手コートに入ればプレーは中断されずに続行されます。
テニスや卓球とのルールの違い
ここで注意したいのが、他のネット系スポーツとのルールの違いです。例えば、テニスや卓球では、サーブがネットインして相手のサービスコートに入った場合、「レット」となり、サーブのやり直しになります。しかし、バドミントンにはこの「レット」のルールは適用されません。
この違いを知らないと、相手のサーブがネットインした際にプレーを止めてしまい、失点につながる可能性があります。バドミントンではサーブのネットインは「ラッキー」な有効打であり、やり直しにはならないことをしっかりと覚えておきましょう。
ネットインした場合、謝る必要はある?
ネットインで得点すると、偶然性が高いことから、相手に対して会釈をしたり、軽く手を挙げて「ごめん」という意思表示をしたりする光景を見かけることがあります。これはマナーとして広く浸透していますが、ルール上、謝罪が義務付けられているわけではありません。
むしろ、高いレベルの試合では、ネットインは「ネットギリギリを狙った質の高いショットの結果」と捉えられることもあります。 相手への敬意を示す意味で会釈することは良いことですが、「悪いことをした」と考える必要はないでしょう。
サーブのネットインは狙って打てる?確率を上げるための考え方

相手の意表を突くネットイン。もしこれを意図的に狙って打てるとしたら、強力な武器になることは間違いありません。しかし、それは現実的に可能なのでしょうか。
意図的に狙うのは至難の業
結論から言うと、サーブでネットの白帯(幅約7.5cm)に意図的に当てて相手コートに入れる、というのは極めて困難です。トッププロ選手であっても、毎回のようにネットインを狙って成功させることはできません。
むしろ、「ネットインさせてやろう」と意識しすぎると、フォームが崩れたり、力みが生じたりして、ネットに引っかけるだけのサーブミス(フォルト)を連発してしまうリスクの方が高くなります。
ネットインは「結果」として生まれるもの
では、ネットインは単なる偶然の産物なのでしょうか。そうとも言い切れません。考え方を変えてみましょう。ネットインを直接狙うのではなく、「ネットすれすれの、極めて低い軌道のサーブを打った結果として、ネットインが起こる可能性が高まる」と捉えるのが正解です。
つまり、質の高いサーブを追求していく先に、副産物としてネットインが生まれるのです。 相手から見れば、ネットをギリギリで越えてくる低いサーブは非常に返しにくく、それだけで十分にプレッシャーがかかります。その過程でネットインが生まれれば、それは練習の成果と言えるでしょう。
確率を高めるサーブの質とは
ネットインの確率を高める「質の高いサーブ」とは、具体的にどのようなサーブでしょうか。主に以下の要素が挙げられます。
| 要素 | 説明 |
|---|---|
| 軌道の低さ | ネットの白帯の上をギリギリで通過するような低い軌道であること。 |
| 軌道の安定性 | 毎回、同じような低い軌道でサーブを打てるコントロールがあること。 |
| シャトルの回転 | シャトルの回転が安定していると、軌道も安定しやすくなる。 |
| スピード | ある程度のスピードがあることで、相手の反応時間を奪うことができる。 |
これらの要素を高いレベルで満たしたサーブこそが、相手を崩し、結果的にネットインという幸運を引き寄せるのです。
ネットインを誘発する?質の高いショートサーブの打ち方

ネットインが起こりやすいのは、主にネット際を狙うショートサーブです。ここでは、ネットインの確率を高める、質の高いショートサーブを打つための具体的なコツを解説します。
正確な打点とインパクトの重要性
ショートサーブの質を最も左右するのが打点です。バドミントンのルールでは、サーブはシャトル全体がサーバーの腰より下で打たれなければならない、というルールがありましたが、現在ではシャトル全体が床から115cm以下の高さで打たれなければならない、というルールに変更されています。
このルールの範囲内で、できるだけ高い位置でシャトルを捉えることが重要です。 高い打点で打つことで、ネットとの高低差が少なくなり、シャトルを水平に近い軌道で打ち出しやすくなります。 これにより、シャトルが浮き上がってしまうのを防ぎ、ネットギリギリを狙うことが可能になります。
インパクトの瞬間は、シャトルを「弾く」のではなく「押し出す」イメージを持つことが大切です。 親指でラケットを支え、シャトルのコルク部分をそっと押し出して運ぶような感覚で打つと、コントロールが安定しやすくなります。
低く、ギリギリを狙う軌道の作り方
ネットギリギリの低い軌道を作るためには、シャトルの頂点が自陣コート側に来るように意識してサーブを打つことがポイントです。 シャトルの軌道の頂点がネットを越えてから相手コート側にあると、シャトルは上昇しながらネットを越えるため、軌道が高くなりやすく、相手に強打される隙を与えてしまいます。
頂点が自分のコート側にあるサーブは、ネットを越えるときには落下軌道に入っているため、低く鋭いサーブになり、相手は下からすくい上げるようなレシーブしかできなくなります。 これが、結果的にネットインを誘発することにも繋がるのです。
脱力とコンパクトなスイングフォーム
質の高いショートサーブを打つためには、力みは禁物です。 肩や腕に力が入っていると、スイングが硬くなり、繊細なコントロールが難しくなります。グリップは強く握りしめず、ラケットを軽く支える程度にしましょう。
スイングは、ラケットを大きく後ろに引く(テイクバック)のではなく、最小限の動きでコンパクトに振ることを意識してください。 テイクバックが大きいと、シャトルを打つタイミングがずれやすく、軌道が不安定になる原因となります。 肘を支点にして、手首と指先の感覚を大事にしながら、シャトルを狙った場所にそっと送り届けるようなイメージで練習してみましょう。
ネットインだけじゃない!サーブで優位に立つための戦略

ネットインはあくまで結果の一つ。バドミントンで試合を有利に進めるためには、サーブ全体で相手をどう崩すかという戦略的な視点が不可欠です。
ショートサーブとロングサーブの使い分け
試合で最も多く使われるのは、相手に強打されにくいショートサーブです。 しかし、ショートサーブばかりを使っていると、相手は前に詰めて待つようになり、レシーブの準備がしやすくなります。
そこで重要になるのが、ロングサーブとの使い分けです。 相手が前に意識を集中させているタイミングで、意表を突いてコートの奥深くにロングサーブを打つことで、相手の体勢を崩し、甘い返球を誘うことができます。
「ショートサーブが9割、ロングサーブが1割」など、自分なりの配球の割合を持ちつつ、相手の立ち位置や試合の流れを読んで使い分けることが、サーブで主導権を握るポイントです。
ショートサーブ主体: 相手の攻撃的なレシーブを防ぎ、試合を落ち着かせる。
ロングサーブを混ぜる: 相手のレシーブの的を絞らせず、体勢を崩させる。
相手の意表を突くコースの狙い方
同じショートサーブでも、毎回同じコースに打っていては効果が半減します。相手のフォア側、バック側、そしてボディ(体)を狙うなど、コースを打ち分けることが重要です。
| 狙うコース | 相手への効果 |
|---|---|
| フォア側(利き手側) | 相手をコートの外に動かし、オープンコート(空いたスペース)を作りやすい。 |
| バック側(利き手と反対側) | バックハンドでの処理を強いることで、甘い返球を誘いやすい。 |
| センター(ボディ) | 相手を窮屈にさせ、ラケットワークを制限することができる。 |
特にダブルスでは、センターへのサーブは相手ペアのどちらが取るかをお見合いさせる可能性もあり、非常に効果的です。
レシーバーの構えや癖を読む
サーブを打つ直前、相手レシーバーの動きを観察することも大切な戦略の一つです。
- 構えの位置: 前に詰めてきているか、後ろに下がっているか。
- 足の動き: どちらかの足に体重が多くかかっているか(=動き出しの方向を予測するヒント)。
- ラケットの準備: ラケットを高く上げてプッシュを狙っているか、低く構えているか。
相手の構えや癖を読み取り、「相手が一番嫌がるであろうサーブは何か」を瞬時に判断して選択することで、サービスエースにつながる確率を格段に高めることができます。
相手のサーブがネットイン!レシーブ側の心構えと対処法

自分がネットインの恩恵を受けることもあれば、もちろん相手のサーブがネットインして失点することもあります。ここでは、レシーブ側としてネットインにどう対処すべきか、その心構えと技術について解説します。
まずは冷静にシャトルを見極める
相手のサーブがネットに当たった瞬間、「あっ」と思って焦ってしまうのが一番よくありません。まずは最後までシャトルから目を離さず、その軌道を冷静に見極めることが大切です。
ネットに当たったシャトルは、勢いが死んでネット際にポトリと落ちる場合もあれば、意外に勢いを保ったままサービスライン近くまで飛んでくる場合もあります。軌道を見極める前に動き出してしまうと、逆を突かれて触ることすらできなくなってしまいます。
前への素早い一歩とラケットワーク
ネット際に落ちると判断したら、素早く前へ一歩踏み込むフットワークが重要です。この最初の一歩が遅れると、シャトルを低い位置で触ることになり、相手に攻撃のチャンスを与えてしまいます。
前に入りながら、ラケットを体の前にすっと出し、シャトルをできるだけネットより高い位置で捉えることを目指しましょう。ネット際での繊細なラケットワークは、相手コートにヘアピン(ネット際にそっと落とすショット)で返したり、相手の後衛がいないスペースにプッシュ(軽く押し込むように打つショット)したりと、逆にこちらからチャンスを作り出すことも可能です。
「ネットインは起こりうる」という予測と準備
最も大切な心構えは、「サーブのネットインは、試合中にいつでも起こりうるプレーだ」と常に予測しておくことです。
「まさかネットインしてくるなんて」と考えていると、いざ起こった時に全く反応できません。「相手のサーブが低く、質が高いほど、ネットインの可能性もある」と頭の片隅で準備しておくだけで、いざという時の反応が格段に速くなります。
不運な失点を引きずらず、「仕方ない」と気持ちをすぐに切り替えるメンタルの強さも、バドミントン上達には欠かせない要素です。
まとめ:バドミントンのサーブにおけるネットインを理解して、プレーの幅を広げよう

この記事では、バドミントンのサーブにおけるネットインについて、ルールから実践的なコツまでを解説しました。
この記事のポイント
- バドミントンのサーブでのネットインは、ルール上まったく問題のない有効なプレーです。
- テニスや卓球とは違い、サーブをやり直す「レット」にはなりません。
- ネットインを意図的に狙うのは非常に困難。ネットギリギリを狙った質の高いサーブの結果として起こるものと捉えましょう。
- 質の高いショートサーブのコツは、「高い打点」「押し出すインパクト」「コンパクトなスイング」です。
- ネットインされた場合に備え、「ネットインは起こりうる」と予測し、冷静に対応することが重要です。
サーブのネットインは、単なるラッキーではありません。質の高いサーブを追求する過程で生まれる、いわば「練習の勲章」とも言えるプレーです。ネットインのルールを正しく理解し、その確率を高めるためのサーブ練習に励むことで、あなたのプレーはさらにレベルアップするはずです。


