バドミントンバックハンド持ち方の教科書:基本から応用・飛ばすコツまで

技術・戦術と練習方法

「フォアハンドは打てるのに、バックハンドになると急に飛ばなくなる」「とっさにラケットを持ち替えるのが間に合わない」……そんな悩みを持っていませんか?

バドミントンにおいて、バックハンドは多くのプレーヤーが壁にぶつかる技術です。しかし、実は「筋力がないから」ではなく、単に「正しいバドミントンバックハンド持ち方」を知らないだけ、というケースが非常に多いのです。グリップの握り方を少し変えるだけで、見違えるほどシャトルが飛ぶようになります。この記事では、基本のサムアップから、クリアを飛ばすための応用グリップ、そしてスムーズに持ち替えるための練習法まで、やさしく解説していきます。

バドミントンバックハンド持ち方の基本「サムアップ」をマスターしよう

まずは、バックハンドの最も基礎となる握り方「サムアップ」について解説します。この握り方は、体の前でシャトルをさばく時や、素早いドライブを打つ時に必須となります。

親指を置く正しい位置(広い面)

「サムアップ」とは、英語で「親指を立てる」という意味です。バドミントンのラケットのグリップ(持ち手)は、正八角形の形をしています。よく見ると、一番広い平らな面があることに気づくはずです。

基本のサムアップでは、この「一番広い平らな面」に親指の腹をしっかり当てます。親指以外の4本の指は軽く添えるように握りましょう。この時、親指がグリップの上の方に突き出しすぎないよう注意してください。親指の腹全体で、面を後ろから支えるようなイメージを持つと、ラケット面が安定しやすくなります。

「握手」のような隙間を作る重要性

グリップを握る強さは、バドミントンにおいて非常に重要です。初心者の多くは、親指を立てようとするあまり、力んでガチガチに握りしめてしまいがちです。しかし、これでは手首が固まり、鋭いショットが打てません。

理想は「誰かと握手をするくらいの優しさ」で握ることです。手のひらとグリップの間には、指一本分くらいの隙間(空間)を空けておきましょう。この「遊び」の空間があることで、シャトルが当たる瞬間にだけ「キュッ」と握り込むことができ、その反動で強いパワーが生まれます。

サムアップが適しているショット

この基本のサムアップは、主に体の前や横でシャトルを捉えるショットに適しています。

【サムアップで打つ主なショット】

・ドライブ(床と平行に速く打つ球)

・プッシュ(ネット前から押し込む球)

・サーブプッシュ(ショートサーブのレシーブ)

・ヘアピン(ネット前の繊細な球)

これらのショットは、ラケット面を相手に向けて真っ直ぐ押し出す力が求められます。親指が裏側から支えになることで、ブレずに鋭い球を打ち返すことができるのです。

遠くまで飛ばない人必見!クリアやスマッシュの握り方は違う

「サムアップをしているのに、コートの奥までクリアが飛ばない」という悩みは非常に多いです。実は、遠くへ飛ばす時や強いスマッシュを打つ時は、基本のサムアップとは少し違う握り方が必要になります。

なぜ基本のサムアップではクリアが飛ばないのか

基本のサムアップ(広い面に親指を当てる持ち方)は、面が安定する一方で、手首の可動域が制限されるというデメリットがあります。

遠くへ飛ばすクリアやスマッシュ(ハイバック)を打つためには、腕を内側にひねってから外側に回す「回外運動(プロネーション)」という動作が必要です。しかし、親指を広い面にべったり当ててしまうと、この腕の回転運動がロックされてしまい、ラケットを強く振ることができません。これが「一生懸命振っているのに飛ばない」最大の原因です。

飛ばすための「斜め持ち(コーナー持ち)」

では、どう握れば良いのでしょうか。答えは「親指をずらす」ことです。グリップの広い面ではなく、その隣にある「斜めの細い面(角の部分)」に親指を当ててみてください。これを「コーナー持ち」や「斜め持ち」と呼びます。

親指を角の稜線(りょうせん)に引っ掛けるように持つことで、手首の制限が解除され、腕をムチのようにしならせることができるようになります。フォアハンドの握り(イースタングリップ)から、少しだけバック側に回した程度、と覚えると分かりやすいかもしれません。

手首と前腕の回転を活かすコツ

この「斜め持ち」ができたら、打つ瞬間の動きを意識しましょう。シャトルを捉えるまではリラックスして握り、インパクトの瞬間に親指と小指・薬指でグリップを挟み込むように力を入れます。

補足:回外運動(プロネーション)とは

うちわで自分を仰ぐような手首の動きのことです。バックハンドで強い球を打つには、肘を支点にして、この「仰ぐ動き」を瞬間的に行う必要があります。

斜め持ちにすることで、ラケットヘッドが下から上へ、そして外側へとスムーズに回転し、驚くほど楽にシャトルが奥まで飛ぶようになります。

状況別で使い分ける!ネット前とレシーブの持ち方

バドミントンはスピードのスポーツです。全ての球を同じ持ち方で処理するのではなく、状況に応じて握り方を微調整することが上級者への近道です。

ネット前の繊細なタッチ(短く持つ)

ネット前でのヘアピンや、ダブルスの前衛で速い球に反応する場合、グリップを「短く持つ」ことが有効です。グリップのキャップ(一番下の太い部分)から離し、シャフト(棒)に近い部分を握ります。

短く持つことでラケットの操作性が高まり、小さな力でコントロールしやすくなります。特にヘアピンのような繊細なショットでは、親指の感覚がシャトルに伝わりやすくなり、スピンをかけたり高さを調整したりといった微調整が容易になります。

スマッシュレシーブの待機姿勢

相手のスマッシュを待つレシーブの場面では、フォアにもバックにも対応できる「ニュートラル」な持ち方が推奨されますが、実際はバックハンドで待つことが一般的です。

この時は、基本のサムアップよりも少しだけ緩めに握り、親指を広く構えます。強烈なスマッシュに対しては、ラケットを振るというよりも「壁を作る」イメージでブロックします。親指で衝撃を受け止められるよう、しっかりと広い面に指をセットし、体の正面からバック側全体をカバーできるように準備しておきましょう。

威力重視と操作性重視の使い分け

ここまでの話を整理すると、グリップの「長さ」も使い分けることがポイントになります。

  • 長く持つ(グリップの端): 遠心力を使いたい時。クリア、スマッシュ、ロングサーブなど、パワーが必要な場面。
  • 短く持つ(シャフト側): 操作性を上げたい時。ネットプレー、ドライブ合戦、レシーブで振りが遅れそうな場面。

上手な選手は、ラリーの中で無意識にラケットの握る位置を上下させています。まずは練習で極端に短く持ったり長く持ったりして、感覚の違いを体験してみてください。

バックハンドが上手く打てない時の「あるある」原因と改善策

「理屈はわかったけど、どうしても上手くいかない」という方へ。初心者が陥りやすい間違いと、その直し方をまとめました。

フライパン持ち(ウエスタングリップ)になっていない?

もっとも多い原因が「フライパン持ち」です。ラケット面が最初から相手の方を向いている状態で、まるでフライパンを握るようにガシッと持ってしまっていませんか?

この持ち方は、真正面のシャトルには当てやすいですが、可動域が極端に狭くなります。その結果、体の横や後ろに来たシャトルを打つ時に手首がロックされ、窮屈なスイングしかできなくなります。「ラケットを立てて、包丁のように持つ(イースタングリップ)」ところからスタートし、そこから親指を添える手順を徹底しましょう。

改善策: ラケットのフレームで床の線をなぞるように構え、そこから握り直す癖をつけましょう。

打つ前から力が入りすぎている

「飛ばしたい!」という気持ちが強いと、構えた段階からグリップを強く握りしめてしまいます。これでは筋肉が硬直し、スイングスピードが上がりません。

インパクトの瞬間を「10」の力とすると、構えている時は「2〜3」くらいの力加減がベストです。脱力した状態から、打つ瞬間にだけ力を爆発させるイメージを持ちましょう。特に小指と薬指の締め込みが、ラケットを止めてパワーを伝える鍵になります。

「猫手」や手首の角度不良

バックハンドを打つ時、手首が手のひら側に折れ曲がった「猫手」や、逆に反りすぎた状態になっていると、力がうまく伝わりません。

手首は自然な角度を保ち、肘から先を一つのユニットとして使う感覚が大切です。特にハイバック(頭上のバックハンド)を打つ時は、肘を先行させて高く上げ、その後にラケットがついてくるような動きを意識すると、手首の負担が減り、自然な鞭(ムチ)のようなスイングが可能になります。

自宅でもできる!スムーズなグリップチェンジを習得する練習メニュー

バックハンドの持ち方を頭で理解しても、試合中に瞬時にできなければ意味がありません。無意識レベルで持ち替えができるようになるための練習法を紹介します。

テレビを見ながら「クルクル」練習

これはラケットさえあれば家の中でできる、最も効果的な練習です。

  1. リラックスしてソファなどに座ります。
  2. ラケットを持ち、手の中で「フォアハンド」と「バックハンド」の持ち替えを交互に行います。
  3. 指先だけでラケットを回すように、カチャカチャとリズムよく繰り返します。

テレビを見ながら、手元を見ずにできるようになるまで行いましょう。指の感覚だけで、グリップの角や平らな面を探り当てられるようになれば合格です。

壁打ちでバックハンドのみを続ける

壁打ちは、一人でできる最強の実践練習です。最初はバックハンドだけで壁打ちを続けてみましょう。

ポイントは、足を使うことです。手だけで打とうとせず、利き足を踏み込みながら、タイミングを合わせて親指で押し出します。慣れてきたら、「フォア、バック、フォア、バック」と交互に打ち、グリップチェンジのスピードを鍛えましょう。壁との距離を近くすればするほど、素早い持ち替えが必要になり、良いトレーニングになります。

素振りで「目視確認」を行う

実際にシャトルを打たずに、素振り(シャドースイング)を行う際、グリップの確認を取り入れます。

「フォアの構え」→「バック側にターン」→「打つ前にラケットを止めてグリップを見る」という手順を行います。この時、親指が正しい位置(広い面や斜めの面)にあるかを目で見て確認してください。自分の感覚と実際の握りにズレがないかを修正していく地味ですが確実な作業です。

まとめ

バドミントンバックハンド持ち方は、決して一つではありません。打ちたいショットや状況に合わせて、最適な握り方を使い分けることが上達への近道です。

【記事のポイント振り返り】

・基本は「広い面」に親指を当てるサムアップ(ドライブ・ネット前用)

・遠くへ飛ばす時は「斜めの面」に親指をずらす(クリア・スマッシュ用)

・グリップは強く握りすぎず、インパクトの瞬間だけ握り込む

・指先でグリップの面を感じ取る感覚を養う

最初は持ち替えに戸惑うかもしれませんが、毎日のちょっとした練習で指は必ず形を覚えます。正しい持ち方をマスターして、バックハンドを苦点から「武器」に変えていきましょう。

タイトルとURLをコピーしました