バドミントンのプレーにおいて、シャトルと直接触れる唯一の道具がガット(ストリング)です。しかし、ガットは消耗品であり、使っているうちに徐々に性能が落ちてしまいます。バドミントン ガット 伸びた サインを正しく理解し、適切な張り替え時を見極めることは、上達への近道でもあります。
多くのプレーヤーが「切れるまで使う」と考えがちですが、実は切れていなくてもガットの寿命が来ているケースは非常に多いものです。伸びきったガットを使い続けると、コントロールが定まらなくなるだけでなく、手首や肘の怪我につながる恐れもあります。
この記事では、ガットが伸びたサインを具体的に解説し、理想的な張り替え頻度や選び方について詳しく紹介します。自分のラケットの状態をチェックして、常にベストなコンディションでコートに立てるように準備していきましょう。
バドミントン ガット 伸びた サインと張り替え時を判断する5つの基準

ガットが伸びるというのは、専門用語で「テンション(張力の強さ)が落ちる」ことを指します。新品の状態で張られたガットはピンと張り詰めていますが、時間が経つにつれてその弾力性が失われていくのです。ここでは、初心者の方でも気づきやすい具体的なサインを紹介します。
打球音の変化(音が低くなる、こもる)
ガットが伸びた際、最も分かりやすい変化の一つが「打球音」です。張りたてのガットは、シャトルを打った瞬間に「パチーン」という高くて鋭い音が響きます。これはガットが高いテンションを維持しており、エネルギーを効率よくシャトルに伝えている証拠です。
一方で、ガットが伸びてくると、この音が「ボフッ」という鈍い音や、低くこもった音に変わっていきます。金属的な響きが消え、重たい打球音になったら、それはガットの寿命が近づいている重要なサインです。日頃から自分の打球音を意識して聞く習慣をつけておくと、変化にすぐ気づけます。
特に寒い時期はガットが硬くなりやすく、音が変化しやすい傾向にあります。音の変化を感じたら、一度ラケットの面を指で軽く叩いてみてください。張りたての頃よりも振動が長く残るような感覚があれば、テンションが大幅に低下している可能性が高いでしょう。
シャトルの飛びが悪くなる(弾きが弱まる)
ガットの役割は、飛んできたシャトルの勢いを受け止め、反発力によって弾き返すことです。しかし、ガットが伸びてしまうとこの反発力が弱まり、いわゆる「トランポリン効果」が過剰になってしまいます。シャトルがガットに食い込みすぎてしまい、素早く離れなくなるのです。
その結果、自分では力一杯打っているつもりでも、シャトルの初速が出なかったり、コートの奥まで飛ばなくなったりします。クリアが飛ばない、スマッシュの威力が落ちたと感じたら、自分の筋力不足ではなくガットの伸びを疑ってみるべきです。
また、反発力が落ちると、細かいネット前での操作(ヘアピンなど)も難しくなります。弾きが悪い分、自分でコントロールを補わなければならず、繊細なタッチが狂いやすくなります。技術的な不調を感じた時こそ、ガットの状態をチェックしてみてください。
ガットの目がずれやすくなる
プレー中にガットの縦糸と横糸がずれて、指で直す光景をよく目にするでしょう。実は、この「ガットのずれやすさ」も伸びているかどうかの指標になります。張りたての時期は、強い打球を打ってもガット同士の摩擦とテンションによって、元の位置を保とうとします。
ガットが伸びてテンションが下がってくると、糸の保持力が弱まり、軽いショットでも目がすぐに斜めにずれてしまいます。打つたびにガットを直す必要がある場合は、かなり伸びが進んでいる状態と言えるでしょう。見た目にもガットが波打っているように見えることがあります。
ガットの目がずれたまま打つと、シャトルの飛び方が不規則になり、思わぬ方向に飛んでしまうミスが増えます。安定したプレーを維持するためには、糸がしっかりと噛み合い、適正な位置で固定されていることが欠かせません。
振動が手に残りやすくなる
ガットが伸びると、インパクトの瞬間に発生する不快な振動が吸収されにくくなります。張りたてのガットは衝撃を上手に分散してくれますが、伸びきったガットは「ベチャッ」とした重い感触とともに、振動をダイレクトに腕に伝えてしまいます。
打った後に手がしびれるような感覚があったり、以前よりも肘や肩に疲れを感じやすくなったりした場合は注意が必要です。これは、ガットが本来持っている衝撃吸収機能が失われている証拠です。そのまま使い続けると、スポーツ障害の原因にもなりかねません。
特に細いガットを使っている場合、伸びるのが早い傾向にあります。手が疲れる、打球感が重いと感じるのは、体からのSOSでもあります。道具を新しくすることで、体の負担を大幅に軽減できる可能性があることを覚えておきましょう。
ガットの状態をセルフチェックする方法
1. ラケットの面を手のひらで叩いてみて、音が低くなっていないか確認する
2. ガットの中央部分を指で押し、以前より柔らかく感じないか確かめる
3. 縦糸と横糸の交差部分に深い溝(ノッチング)ができていないか見る
伸びたガットを使い続けることのデメリット

「まだ切れていないから大丈夫」と、伸びたガットを数ヶ月以上使い続けるプレーヤーは少なくありません。しかし、劣化したガットを使い続けることには多くの弊害があります。パフォーマンスの低下だけでなく、上達を妨げる要因にもなるため、注意が必要です。
コントロール性能の大幅な低下
バドミントンにおいて、シャトルを狙った場所に正確に運ぶコントロールは非常に重要です。しかし、ガットが伸びるとシャトルを捉えた瞬間にガットが余計にたわんでしまい、発射角度が不安定になります。これにより、サイドアウトやネットミスが増えてしまいます。
また、テンションが落ちると「ホールド感(球持ち)」が変わりすぎてしまいます。自分の感覚ではサイドラインぎりぎりを狙ったつもりが、ガットの緩みのせいで外側に流れてしまうといったことが頻発します。これでは、どんなに練習しても狙い通りのショットが身につきません。
正確なショットを打つためには、ガットが一定の反発力を保っていることが不可欠です。思い通りのコースにシャトルがいかないストレスを感じる前に、定期的なメンテナンスとして張り替えを検討するのが賢明です。
怪我のリスク(手首や肘への負担)
伸びきったガットを使い続ける最大のリスクは、体への悪影響です。反発力が落ちたガットでシャトルを飛ばそうとすると、無意識のうちに力んで打つようになります。過度な力みは、手首の腱鞘炎や「テニス肘(ゴルフ肘)」のような痛みを引き起こす原因となります。
特にスマッシュなどの強打を打つ際、伸びたガットではシャトルが沈み込まず、衝撃が逃げ場を失ってラケットを持つ腕へと逆流します。この繰り返される微細な衝撃が蓄積されることで、関節や筋肉を痛めてしまうのです。スポーツを楽しむ上で、怪我は何よりも避けたい事態です。
「最近、練習の後に腕がだるいな」と感じる原因が、実はラケットのガットにあったというケースは意外と多いものです。道具を常にベストな状態に保つことは、自分自身の体を守るための防衛策でもあるといえます。
打球感の悪化によるプレー中のストレス
バドミントンはメンタルが大きく影響するスポーツです。自分が思い描いた「パチーン」という快音とともにシャトルが飛んでいく爽快感がないと、プレーの質自体も下がってしまいます。打球感が悪いと、「何かおかしい」という違和感が常に頭の片隅に残ります。
伸びたガット独特の重たく、湿ったような打球感は、リズムを崩す要因になります。思い切り振っているのにスピードが出ないことで焦りが生じ、さらに力んでミスを重ねるという悪循環に陥りやすくなります。これを防ぐには、常にクリアな打球感を感じられる状態を維持すべきです。
試合中にガットの異変に気づいても、その場ですぐに張り替えることはできません。大切な試合の前には、必ずガットの状態を確認し、必要であれば新品に張り替えておくことが、心の余裕と自信につながります。
ガットが伸びていると、シャトルを打つたびに違和感を感じ、集中力が削がれてしまいます。技術の向上を目指すなら、道具のせいでフォームを崩さないよう注意しましょう。
物理的な劣化で見る張り替えのタイミング

感覚的な変化だけでなく、目で見える「物理的な劣化」も張り替えの大きな基準になります。ラケットをじっくり観察することで、切れかかっている場所や、素材の限界を知ることができます。以下のポイントに当てはまる場合は、すぐに張り替えを依頼しましょう。
ガットの表面がささくれている
ガットを横から見たり、指で触ったりしたときに、毛羽立ったような「ささくれ」が見られることがあります。これは、シャトルを打った時の摩擦や、ガット同士が擦れ合うことによって、外側のコーティングや芯線が削れてしまっている状態です。
ささくれができている箇所は、他の部分に比べて極端に強度が落ちています。そのまま使い続けると、次のインパクトの瞬間にあっけなく切れてしまうでしょう。特にスイートスポット(面の中心付近)にささくれが多い場合は、練習中に切れる可能性が非常に高いです。
練習中にガットが切れると、その日の練習が中断されてしまうだけでなく、ラケットのフレームに偏った負荷がかかり、最悪の場合はフレームが変形したり折れたりすることもあります。ささくれを見つけたら「もうすぐ寿命」というサインだと捉えてください。
ノッチング(溝)が深くなっている
ガットの縦糸と横糸が交差している部分をよく見てみてください。縦糸が横糸に食い込んで、溝ができているのが分かるはずです。この溝を専門用語で「ノッチング」と呼びます。バドミントンをプレーしていれば必ず発生するものですが、この深さが問題です。
ノッチングが深くなればなるほど、ガットは自由に動けなくなり、反発力が著しく低下します。また、溝の底から亀裂が入って切れる原因にもなります。特にテンションを高く張っている場合、この溝からの破断が起こりやすいため注意が必要です。
溝の深さをチェックするには、ガットの目を少しずらしてみるのが分かりやすいでしょう。半分以上の厚みまで溝が入り込んでいるなら、それは張り替えの絶好のタイミングです。見た目の新鮮さが失われ、ガットが食い込んでいるように見えたら交換を検討しましょう。
テンションが大幅に落ちている
目に見える傷がなくても、ガットの「張り」そのものが失われていることがあります。ラケットの面を親指で強く押してみたときに、以前よりも簡単にガットが沈み込むようなら、テンションが落ちています。これはガットの素材であるナイロンなどが、熱や経年劣化で伸びきってしまった状態です。
ガットは張った瞬間から、たとえ一度も使っていなくても少しずつ伸びていきます。これを「初期伸び」と言いますが、その後も使用に伴い徐々に緩くなっていきます。数ヶ月間張りっぱなしにしているラケットは、たとえ見た目が綺麗でも、本来の性能は発揮できていません。
プロの現場では、1日で数ポンドもテンションが落ちることを嫌い、頻繁に張り替えます。一般のプレーヤーでも、張ってから3ヶ月以上経過している場合は、物理的な劣化が目立たなくても張り替えをおすすめします。
プレイスタイルや環境による推奨頻度

ガットの張り替え頻度は、人それぞれ異なります。毎日激しい練習をする学生と、週に一度趣味で楽しむ社会人では、ガットにかかる負荷が全く違うからです。自分のライフスタイルに合わせた適切な交換時期を知っておくことが大切です。
練習頻度から考える張り替え周期
一般的に、バドミントンのガットの寿命は「3ヶ月」が一つの目安とされています。しかし、これは週に1〜2回程度プレーする人を想定したものです。毎日部活動で練習している学生であれば、たとえ切れなくても1ヶ月に一度は張り替えるのが理想的です。
逆に、月に数回しかラケットを握らない人であっても、半年に一度は張り替えましょう。ガットは空気中の水分を吸ったり、乾燥したりすることでも劣化するからです。長く放置されたガットは弾力性がなくなり、打った瞬間にパキッと切れてしまうこともあります。
自分の練習頻度を振り返り、カレンダーに「前回の張り替え日」を記録しておくと管理がしやすくなります。「まだ使える」ではなく「ベストな状態で打てる期間」を基準に周期を決めるのが、上達へのコツです。
季節や気温がガットに与える影響
意外と知られていないのが、気温や湿度がガットの状態に与える影響です。ガットの主成分であるナイロンは、温度変化に非常に敏感です。夏場は気温が高いためガットが柔らかくなり、伸びやすく(緩く)感じる傾向があります。
一方、冬場は寒さでガットが硬く収縮するため、テンションが上がったように感じます。しかし、寒さで柔軟性が失われているため、冬は非常にガットが切れやすい季節でもあります。冬場に外から体育館に入った直後、冷え切った状態で強打すると一発で切れることもあるほどです。
季節の変わり目には、あえてテンションを1〜2ポンド調整して張り替えるプレーヤーも多いです。環境の変化に合わせてガットの状態を最適化することで、1年を通して安定したパフォーマンスを発揮できるようになります。
初心者と上級者の交換頻度の違い
初心者の方は、まだシャトルを面の中心(スイートスポット)で捉えるのが難しく、ガットの端に当ててしまう「フレームショット」が多い傾向にあります。端に当たるとガットに不自然な負荷がかかり、切れやすくなるため、意外と初心者のほうが張り替え頻度が高くなることもあります。
上級者の場合は、スイングスピードが速く、シャトルとの摩擦が激しいため、ガットが摩耗して切れるのが早いです。また、微妙な感覚のズレを嫌うため、切れる前に定期的に張り替えるのが一般的です。上級者ほど「性能の維持」を目的に張り替えを行います。
どちらのレベルであっても、共通して言えるのは「違和感を感じたらすぐに張り替える」という柔軟さを持つべきだということです。道具へのこだわりを持つことが、バドミントンという繊細なスポーツを楽しむための第一歩となります。
| プレーヤー層 | 推奨される張り替え頻度 | 理由 |
|---|---|---|
| 競技志向(毎日) | 2週間〜1ヶ月 | 摩耗が激しく、テンション維持が必要なため |
| 一般プレーヤー(週2〜3) | 1ヶ月〜2ヶ月 | 打球感の低下やささくれが出始める時期のため |
| レジャー・趣味(週1以下) | 3ヶ月 | 使用頻度が低くても素材自体が劣化するため |
ガット選びとテンション設定の基礎知識

「バドミントン ガット 伸びた サイン」に気づいて張り替えを決めたら、次はどんなガットを何ポンドで張るかを決める必要があります。自分にぴったりの組み合わせを見つけることで、プレーのしやすさは劇的に変わります。
細ゲージと太ゲージの特徴
ガットの太さを「ゲージ」と呼びます。一般的に、0.65mm前後のものを「細ゲージ」、0.70mm前後のものを「太ゲージ」と分類します。細いガットは空気抵抗が少なく、反発力が非常に高いため、スマッシュの初速が出やすく鋭い打球が打てます。
しかし、細いガットは耐久性が低く、伸びるのも早いというデメリットがあります。頻繁に張り替えが必要になるため、コストパフォーマンスを重視する場合は太めのガットが選択肢に入ります。太いガットは打球感がマイルドになり、耐久性に優れています。
どちらが良いかは完全に好みによりますが、最近のトレンドとしては細いガットが人気です。まずは標準的な0.66〜0.68mmあたりのガットを試してみて、自分の好みの弾き具合を探ってみるのが良いでしょう。
テンション(ポンド数)の決め方
テンションとはガットを引っ張る強さのことで、「ポンド(lbs)」という単位で表します。この数値が高ければ高いほどガットは硬くなり、コントロール性が増します。しかし、高いテンションを使いこなすには相応のスイングスピードと筋力が求められます。
逆にテンションを低く(緩く)張ると、ガットのたわみが大きくなり、少ない力でシャトルを遠くまで飛ばすことができます。初心者や力に自信がない方は、まずは18〜22ポンド程度の低めの設定から始めるのが一般的です。男性の経験者であれば24〜26ポンド前後がボリュームゾーンとなります。
注意したいのは、「高く張れば良いというわけではない」という点です。自分のレベルに合わない高いテンションは、手首を痛める原因になるだけでなく、シャトルが飛ばなくなる原因にもなります。自分の飛び方に合った最適な数値を見つけることが大切です。
種類別の耐久性と打球感
ガットには「高反発タイプ」「コントロールタイプ」「耐久タイプ」など、メーカーによって様々な特性が持たされています。高反発タイプは弾きが良く、打球音が心地よいのが特徴です。コントロールタイプは表面にコーティングが施され、シャトルが食いつくような感覚があります。
耐久タイプは芯線が太く、摩擦に強い素材が使われています。学校の部活動などで「すぐに切れてしまうと困る」という学生に人気があります。素材もナイロンだけでなく、最近ではカーボンを配合したものなど、多種多様な進化を遂げています。
今の自分に何が足りないのかを考えてガットを選んでみましょう。「もっとスマッシュを速くしたいなら高反発系」「ミスを減らしたいならコントロール系」というように、目的に合わせて選ぶのが楽しみの一つでもあります。
ガット選びのヒント
・クリアが飛ばない:テンションを2ポンド下げてみる
・打球音が物足りない:細いゲージのガットに変更する
・すぐに切れてしまう:太いゲージ、または耐久重視のモデルを選ぶ
バドミントン ガット 伸びた サインを見逃さず最適なタイミングで張り替えよう
バドミントンのガットが伸びたサインを正しく理解することは、上達と怪我防止の両面で非常に重要です。たとえガットが切れていなくても、打球音が低くなったり、シャトルの飛びが悪くなったり、ガットの目が頻繁にずれたりする場合は、性能が限界を迎えている証拠です。
物理的な劣化であるささくれや深い溝(ノッチング)を見つけた際も、放置せずに早めに張り替えを依頼しましょう。定期的な交換は、コントロール性を高めるだけでなく、腕や関節への負担を減らし、長く健康にプレーを続けることにもつながります。
ガットの張り替えは、自分のプレーをアップデートする素晴らしい機会です。季節や練習量に合わせて最適なテンションや種類を選び、常にベストなコンディションを保つように心がけてください。新しく張り替えたラケットで打つ一打は、あなたのプレーをより楽しく、鋭いものに変えてくれるはずです。




