バドミントンを始めたばかりの方や、少し上達して道具にこだわり始めた方にとって、「ガットのテンション(張りの強さ)」は非常に悩ましい問題です。ショップの店員さんに「何ポンドで張りますか?」と聞かれても、自分に合った数値がわからず困ってしまうこともあるでしょう。
一般的に選ばれることが多いバドミントン ガット 20ポンド 25ポンドの飛距離の違いは、単に数字の差だけでなく、シャトルを打った瞬間の感触やコントロール性にも大きな影響を与えます。自分に合わないテンションでプレーを続けると、思うように飛距離が出ないだけでなく、手首や肘を痛めてしまう原因にもなりかねません。
この記事では、20ポンドと25ポンドという2つの基準を中心に、テンションが飛距離や打球感にどのような変化をもたらすのかをわかりやすく解説します。自分のプレースタイルや筋力にぴったりの設定を見つけて、より楽しく、効率的に上達するためのヒントにしてください。
バドミントン ガット 20ポンド 25ポンドの飛距離の違いと仕組み

バドミントンのガットにおけるテンションとは、ガットをどれくらいの強さで引っ張って張るかを示す数値です。この数値が飛距離にどのような影響を及ぼすのか、まずは基本的なメカニズムを理解することが大切です。ここでは、テンションによる反発力の違いや打球感の変化について解説します。
「トランポリン効果」が飛距離を左右する理由
ガットのテンションを理解する上で欠かせないのが「トランポリン効果」という考え方です。20ポンドのように低めのテンションで張られたガットは、シャトルが当たった瞬間にガットが大きくたわみ、その復元力でシャトルを遠くへ飛ばします。これは、柔らかいトランポリンで跳ねると高く上がれるのと似た仕組みです。
一方で、25ポンドのように高めのテンションで張ると、ガットのたわみが少なくなります。板のように硬い面で打つ感覚に近くなるため、ガット自体の反発力を利用して飛ばすことが難しくなります。そのため、低テンションの方が、少ない力でも飛距離を出しやすいという特性があります。特に筋力が未発達なジュニア選手や初心者の方は、この効果を味方につけるのが賢明です。
逆に言えば、高テンションで飛距離を出すためには、ガットを一瞬でたわませるだけの「スイングスピード」と「強い筋力」が必要になります。自分の力がガットに伝わらなければ、どんなに良いラケットを使っていても飛距離は伸び悩んでしまいます。
20ポンドと25ポンドの打球感と音の差
打球感、つまりシャトルを打った時の感触も、20ポンドと25ポンドでは劇的に異なります。20ポンドで張った場合、打球感は「柔らかく、ホールド感がある」と表現されることが多いです。シャトルがガットに乗っている時間が長いため、運ぶように打つ感覚が得られます。打球音はやや低めで、「ポーン」という控えめな音になるのが一般的です。
対して25ポンドの場合は、打球感が「硬く、弾きが良い」と感じられます。接触時間が短いため、当てた瞬間にシャトルが離れていくクイックな反応が特徴です。打球音は高く鋭い「キンッ」という金属的な音になり、打っていて非常に爽快感があります。この音の良さに惹かれて高テンションにする人も多いですが、音の良さと飛距離が必ずしも比例しない点には注意が必要です。
初心者の方は、まず20ポンド付近の柔らかい打球感で「シャトルをしっかりと奥まで飛ばす感覚」を養うことが上達への近道となります。高い音に憧れて無理にテンションを上げると、打感の硬さに負けてフォームを崩してしまうリスクもあります。
スイングスピードとテンションの関係性
飛距離を最大限に伸ばすためには、自分のスイングスピードに合ったテンションを選ぶことが不可欠です。スイングがゆっくりな人が25ポンドのような硬いガットを使うと、ガットを十分にたわませることができず、シャトルが失速してしまいます。これは、硬いバネを押し縮める力が足りない状態と同じです。
スイングスピードが速い上級者の場合、20ポンドのような柔らかいガットでは、ガットの復元スピードがスイングの速さに追いつかなくなります。これを「球持ちが良すぎてエネルギーがロスする」と表現することもあります。上級者が高テンションを好むのは、速いスイングで瞬時にガットをたわませ、鋭く弾き返すことができるからです。
したがって、「25ポンドの方が飛ぶ」というのは、あくまで十分なスイングスピードがある人に限った話です。自分の現状のスイングスピードを見極め、楽にクリア(コートの奥まで飛ばすショット)が飛ぶテンションを探ることが、結果として飛距離の安定につながります。
初心者におすすめの20ポンド!飛距離を稼ぎやすい理由

バドミントンを始めたばかりの方や、力に自信がない女性、ジュニア選手にとって、20ポンド前後の低めのテンションは非常に強力な味方になります。なぜ初心者にとって20ポンドが扱いやすく、飛距離を出しやすいのか、その具体的なメリットを深掘りしていきましょう。
広いスイートスポットでミスショットが減る
テンションを低めに設定する最大のメリットの一つは、「スイートスポット」が広くなることです。スイートスポットとは、ラケットの面の中で最も効率よくシャトルを飛ばせる中心エリアのことです。20ポンドのようにガットを緩めに張ると、この有効エリアが周囲に広がり、多少中心から外れてもシャトルがそれなりに飛んでくれます。
初心者のうちは、シャトルを常に面の中心で捉えるのは難しいものです。25ポンドのような高テンションでは、中心を少し外しただけで極端に飛距離が落ち、不快な振動が手に伝わってきます。しかし、20ポンドであればガット全体のたわみがミスをカバーしてくれるため、安定してクリアを奥まで飛ばせるようになります。
この「ミスへの寛容さ」は、精神的な余裕にもつながります。ミスショットを怖がらずに大きく振ることができるため、正しいフォームを身につける上でも低テンションは非常に有利に働きます。
腕や肩への負担が少なく怪我を予防できる
低テンションは、体への優しさという点でも非常に優れています。25ポンド以上の高テンションでシャトルを打つと、打撃時の衝撃がダイレクトに手首、肘、肩へと伝わります。十分な筋肉や正しいインパクトの形ができていない人が高テンションを使い続けると、いわゆる「テニス肘(バドミントン肘)」などの故障を招く恐れがあります。
20ポンドの設定であれば、ガットがクッションのような役割を果たし、体への衝撃を和らげてくれます。長時間練習しても疲れにくく、怪我のリスクを最小限に抑えながらプレーを楽しむことが可能です。特に成長期のジュニア選手にとって、関節への過度な負担を避けることは、選手寿命を延ばすためにも極めて重要です。
もし、プレー中に肘や肩に違和感や痛みを感じているのであれば、一度テンションを20ポンド程度まで落としてみることをおすすめします。道具の調整だけで、驚くほど体が楽になるケースは少なくありません。
少ない力でもシャトルが遠くまで飛ぶ
前述の「トランポリン効果」により、20ポンドは小さな力でも効率よく飛距離を出すことができます。バドミントンの基本であるクリアというショットにおいて、コートの端から端までしっかり飛ばすことは、試合を有利に進めるために欠かせません。しかし、初心者が硬いガットでこれを実現しようとすると、無理に力んでしまいがちです。
20ポンドであれば、リラックスした状態からコンパクトに振るだけでも、ガットの反発力でシャトルが飛んでいきます。「力を入れなくても飛ぶ」という感覚を覚えることは、バドミントンにおける脱力のコツを掴むきっかけにもなります。力みが取れればフォームがスムーズになり、さらに飛距離が伸びるという好循環が生まれます。
まずは20ポンド付近で「楽に飛ばす楽しさ」を体験してください。コートの奥までしっかりシャトルをコントロールできるようになってから、少しずつテンションを上げて自分の好みを調整していくのが理想的なステップです。
中上級者が好む25ポンド!高い操作性と引き換えに必要な技術

バドミントンの中上級者や、競技志向のプレーヤーになると、25ポンド以上の高テンションを選択する人が増えてきます。25ポンドという設定は、飛距離性能というよりも「球筋の鋭さ」や「精度の高いコントロール」を求めるプレーヤーに適しています。ここでは、高テンションの魅力と、それを使いこなすために必要な条件について詳しく見ていきます。
圧倒的なコントロール性とシャトルのホールド感の少なさ
25ポンドで張られたガットは、シャトルがガットに触れている時間が極めて短くなります。これを「球離れが速い」と言います。球離れが速いと、自分のスイングの意図がダイレクトにシャトルに伝わるため、繊細なコントロールが可能になります。例えば、ネット際の細かいカットや、相手のボディを突く鋭いドライブなど、ミリ単位の精度が求められるショットで威力を発揮します。
低テンションではガットがたわむ分、意図しない方向にシャトルが飛んでしまう「ブレ」が生じることがありますが、高テンションではその誤差が少なくなります。自分の技術が向上し、狙った場所へ正確に打ち込みたいと感じ始めた時、25ポンドの設定は強力な武器となるでしょう。
ただし、この「遊びのなさ」は諸刃の剣でもあります。少しの面のズレがそのままミスショットに直結するため、非常に高い集中力と正確なラケットワークが要求されます。
スピード感のある高速ラリーへの対応力
現代のバドミントンは、ダブルスを中心に非常に速いラリー展開が主流となっています。25ポンドの高テンションは、こうした高速ラリーにおいて大きなメリットをもたらします。シャトルを当てた瞬間に弾き返せるため、相手の強打に対しても遅れることなく、コンパクトな振りで鋭くリターンすることが可能です。
特にスマッシュの速度においては、しっかり芯で捉えることができれば、高テンションの方が初速の速いショットを打ち出しやすくなります。パチンと弾けるような鋭いスマッシュは、相手のレシーブを弾き飛ばす力を持っています。このスピード感と爽快な打球音こそが、多くの上級者が高テンションを使い続ける理由の一つです。
しかし、これも「芯で捉える技術」があることが前提です。芯を外すと振動だけが手に残り、シャトルは弱々しく失速してしまいます。スピードを求めるあまり、基本の飛距離であるクリアが飛ばなくなっては本末転倒です。
25ポンドを使いこなすために必要なフィジカルと技術
25ポンドの設定を活かすためには、鋭いリストスタンド(手首の溜め)と、インパクトの瞬間に力を集中させる技術が必要です。低テンションのように大きく振って飛ばすのではなく、インパクトの瞬間だけ「ギュッ」と握り込むような感覚が求められます。この瞬発的なパワーがないと、25ポンドのガットは単なる「硬い壁」になってしまいます。
また、基礎的な筋力、特に前腕の筋肉や体幹の強さも重要です。硬いガットからの衝撃を支え、自らのスイングスピードで跳ね返すだけのフィジカルがなければ、飛距離は出ず、肘などの怪我のリスクだけが高まってしまいます。
「25ポンドに上げたから上手くなる」のではなく、「技術と筋力がついたから25ポンドを使いこなせるようになる」という順序が正しい考え方です。今の自分のレベルでコートの端から端まで余裕を持って飛ばせるか、スマッシュが力まずに打てているかを冷静に判断しましょう。
25ポンド以上で張る場合は、ラケット自体の耐久性にも注意が必要です。ラケットにはそれぞれ「推奨テンション」が設定されており、それを大幅に超えて張るとフレームが破損する危険があります。
飛距離に影響するポンド数以外の重要な要素

バドミントンの飛距離はガットのテンションだけで決まるわけではありません。テンションの数値にこだわりすぎる前に、他にも飛距離を大きく左右する要因があることを知っておきましょう。これらを組み合わせることで、同じ20ポンドや25ポンドでも、全く異なる飛びを実現できます。
ガットの太さ(ゲージ)による変化
ガットの太さは「ゲージ」と呼ばれ、飛距離に直結する重要な要素です。一般的に、細いガット(0.65mm前後)ほど反発力が高く、シャトルがよく飛びます。空気抵抗が少なく、ガット一本一本が鋭く食い込むため、軽い力でも鋭い弾きが得られます。一方で、太いガット(0.70mm前後)は耐久性に優れますが、反発力は細いものに比べて控えめになります。
例えば、「20ポンドだと飛びすぎるけれど、25ポンドは硬すぎる」という場合、22ポンド程度に設定した上で、少し細めのガットを選ぶといった調整が可能です。テンションの数値だけでなく、ガットの種類そのものを変えることで、理想の飛距離と打球感に近づけることができます。
初心者はまず、標準的な太さのガットで基本を学び、自分の好みに合わせて細ゲージに挑戦してみるのが良いでしょう。細いガットは切れやすいという欠点もありますが、飛距離を助けてくれる大きなメリットがあります。
ラケットのシャフトの硬さとバランス
ガットを張る土台となるラケット自体の特性も無視できません。ラケットの「シャフト(棒の部分)」が柔らかいモデルは、ラケット全体がしなることでシャトルを遠くへ運んでくれます。これは低テンションのガットと相性が良く、非力な方でも大きな飛距離を出すことができます。
逆にシャフトが硬いラケットは、上級者のような速いスイングでしならせることを想定しています。硬いラケットに硬いガット(高テンション)を組み合わせると、究極のコントロール性が得られますが、飛距離を出す難易度は一気に跳ね上がります。
また、ラケットの先端が重い「ヘッドヘビー型」は遠心力を使いやすく飛距離が出やすいのに対し、手元が重い「ヘッドライト型」は操作性は良いものの飛距離を出すには自分の力が必要になります。自分のラケットがどのような特性を持っているかを知ることは、最適なテンション選びの第一歩です。
気温や湿度がガットに与える影響
意外と忘れがちなのが、環境による変化です。ガットはナイロンなどの素材でできているため、温度によって性質が変わります。冬の寒い時期はガットが収縮して硬くなり、夏場は膨張して柔らかくなる傾向があります。そのため、同じ25ポンドでも、冬場はより硬く感じて飛距離が落ちることがあります。
季節の変わり目に「なんだか最近シャトルが飛ばないな」と感じたら、それは技術のせいではなく、気温によるガットの変化かもしれません。ベテランプレーヤーの中には、冬は夏よりも1〜2ポンド落として張り、一年中同じ打球感を保つように工夫している人もいます。
また、シャトル自体の飛びやすさも気温によって変わります。練習環境の温度を意識しながら、今のテンションが適切かどうかを判断する柔軟性を持つことが大切です。
自分にぴったりのテンションを選ぶためのステップ

ここまで20ポンドと25ポンドの違いを見てきましたが、最終的に自分に合うのはどの数値なのかを見極めるための実践的なステップをご紹介します。飛距離を犠牲にせず、最も心地よく打てるポイントを見つけるために、以下の手順を試してみてください。
現在のクリアの飛距離を客観的にチェックする
まずは、今の自分のテンションで「クリアがコートの奥まで楽に届いているか」を確認しましょう。全力で振らないと届かない、あるいは届かせるためにフォームが力んでしまっている場合は、テンションが高すぎるサインです。理想は、8割程度の力でリラックスして打った時に、相手コートのバックバウンダリーライン(一番奥の線)付近まで届く状態です。
もし、25ポンドで張っていて飛距離不足を感じているなら、勇気を持って22ポンドや20ポンドに下げてみてください。驚くほどスムーズにシャトルが飛ぶようになり、バドミントンのゲーム展開がぐっと楽になるはずです。飛距離に余裕ができると、次はコースを狙う余裕が生まれ、結果として上達が早まります。
逆に、軽く打ってもアウトになってしまうほど飛ぶ場合は、1〜2ポンドずつ上げていき、コントロールしやすいポイントを探ります。この「飛距離とコントロールのバランス」が取れる数値こそが、あなたの適正テンションです。
2ポンド刻みで変化を試してみる
テンションを変えるときは、一気に5ポンドも変えるのではなく、2ポンド程度の幅で刻んでいくのがおすすめです。例えば現在20ポンドで、もう少し弾きが欲しいと感じたら22ポンドにする、といった具合です。人間の感覚は非常に繊細なので、2ポンドの違いでも打球感や飛距離の変化をはっきりと感じ取ることができます。
一気に大きく変えてしまうと、感覚が変わりすぎてプレーが崩れてしまう恐れがあります。新しいテンションで1ヶ月ほど練習し、その数値に自分の感覚を馴染ませてから、さらに上げるか下げるかを判断しましょう。複数のラケットを持っている場合は、同じガットでポンド数だけを変えて張り、直接打ち比べてみるのが最もわかりやすい方法です。
この試行錯誤の過程自体も、バドミントンの道具への理解を深める貴重な経験になります。自分専用の「黄金のセッティング」を見つけるプロセスを楽しんでください。
迷った時の目安!レベル別テンション推奨表
自分に合う数値が全く予想できないという方のために、一般的なレベル別の目安を表にまとめました。もちろん個人差はありますが、最初の設定や、今の設定に疑問を感じた時の参考にしてください。
| プレーヤーのレベル | 推奨テンションの目安 | 重視すべきポイント |
|---|---|---|
| 初心者・ジュニア・女性 | 18 〜 20ポンド | 楽な飛距離・怪我の予防 |
| 中級者(部活・サークル) | 21 〜 24ポンド | 飛距離と弾きのバランス |
| 上級者・競技プレーヤー | 25 〜 28ポンド以上 | 鋭い弾き・精密なコントロール |
テンション選びのポイント:
・飛ばないと感じたら「下げる」
・飛びすぎたり、コントロールを重視したくなったら「上げる」
・迷ったら「低め」からスタートするのが安全です
まとめ:バドミントン ガット 20ポンド 25ポンドの飛距離の違いと選び方の秘訣
バドミントンのガットにおける20ポンドと25ポンドの飛距離の違いは、単なる好みの差ではなく、物理的な仕組みに基づいた明確な特性の差です。20ポンドはガットの「たわみ」を最大限に利用できるため、少ない力でも楽にシャトルを遠くまで飛ばすことができます。スイートスポットが広く、体への負担も少ないため、初心者や怪我を避けたいプレーヤーにとって最適な選択肢となります。
一方、25ポンドは打球の鋭さと精密なコントロール性を求める中上級者向けの設定です。高い反発力と引き換えに、飛距離を出すためには強い筋力と速いスイングスピードが必要になります。憧れだけで高テンションを選ぶのではなく、自分の現在の技術やパワーに見合っているかを冷静に見極めることが、プレーの質を向上させる近道です。
飛距離はガットのテンションだけでなく、ガットの太さ、ラケットの特性、さらには気温などの環境要因にも左右されます。もし今のプレーで飛距離に悩んでいるなら、まずはテンションを2ポンド下げてみることから始めてみてください。自分にとって「最も楽にシャトルが飛ぶテンション」を見つけ出すことができれば、バドミントンはもっと自由で楽しいものになるはずです。この記事を参考に、あなただけのベストなセッティングを見つけ出し、素晴らしいバドミントンライフを送りましょう。



