バドミントンをプレーしていて、多くの人がぶつかる壁のひとつがバックハンドクリアです。フォアハンドに比べて力が入りにくく、シャトルが思うように奥まで飛ばないという悩みを抱えている方は少なくありません。実は、バックハンドクリアが飛ばない最大の理由は筋力不足ではなく、シャトルを捉える打点にあります。
適切な打点を理解し、正しいフォームでインパクトできるようになると、驚くほど軽い力でシャトルを飛ばせるようになります。本記事では、バックハンドクリアの飛距離を伸ばすために必要な打点の位置や、スイングのポイント、練習方法などを詳しく解説します。
この記事を通じて、バックハンドへの苦手意識を克服し、コートを広く使った戦略的なプレーを身につけましょう。正しい知識を持って練習に取り組めば、バックハンドはあなたの強力な武器に変わるはずです。
バドミントンのバックハンドクリアが飛ばない原因は打点にある?

バックハンドクリアが苦手な方の多くは、シャトルを捉える位置、つまり打点が自分に近すぎたり、逆に後ろに下がりすぎたりしています。まずは、なぜ打点が飛距離に直結するのか、その理由を深く掘り下げていきましょう。
シャトルの重さを効率よく伝えるためのスイートスポット
ラケットには「スイートスポット」と呼ばれる、最も効率よくシャトルに力を伝えられる場所があります。このスポットでシャトルを捉えるためには、ラケットの面がシャトルに対して垂直に当たる瞬間に、打点が適切な位置にあることが不可欠です。
バックハンドの場合、腕の可動域がフォアハンドよりも狭いため、スイートスポットで捉えられる範囲が限定されます。打点が少しでも前後や上下にズレてしまうと、スイングのエネルギーが分散してしまい、結果として飛距離が落ちてしまうのです。
打点が自分の体よりも前すぎると、ラケット面が下を向いてしまいネットにかかりやすくなります。逆に、打点が後ろに回り込んでしまうと、腕の振りが詰まってしまい、シャトルを押し出す力が伝わりません。
打点が低くなることで起こるスイングのロス
バックハンドクリアにおいて、打点の高さは飛距離だけでなくシャトルの軌道にも大きな影響を与えます。理想的な打点は肩よりも高い位置ですが、落下してくるシャトルを待ちすぎて打点が低くなってしまうケースが非常に多いです。
打点が低くなると、シャトルを「飛ばす」のではなく「上に上げる」動作が強くなってしまいます。これにより、軌道が高くなりすぎて相手にチャンスを与えてしまったり、空気抵抗を受けて失速したりする原因となります。
また、低い打点で打とうとすると、手首の角度が不自然になり、回外(かいがい)運動というバドミントン特有の回転動作が十分に使えません。高い打点を保つことは、スイングの力を効率よくシャトルに乗せるための絶対条件といえます。
打点と体の向きが一致していない場合の影響
バックハンドクリアを打つ際、足の踏み込みや体の向きが打点と噛み合っていないと、パワーロスが生じます。シャトルを遠くに飛ばそうとして力むあまり、体が正面を向いたまま打とうとすると、肩の可動域が制限されて打点が不安定になります。
正しい打点を確保するためには、背中を相手に向けるくらいしっかりと半身の姿勢を作ることが重要です。この姿勢が取れていないと、腕だけの力で振ることになり、打点が体の横側に逃げてしまいます。
腕だけで打とうとすると、インパクトの瞬間に力が逃げてしまい、シャトルに重みが乗りません。体全体を使って、正しい打点へラケットを運ぶ意識を持つことが、安定したクリアを打つための第一歩となります。
理想的なバックハンドクリアの打点と正しい捉え方

では、具体的にどの位置でシャトルを捉えるのが理想的なのでしょうか。バックハンドクリアをマスターするために意識すべき、空間的な打点の位置と体のバランスについて詳しく見ていきましょう。
自分の斜め前でシャトルを捉える意識
バックハンドクリアの理想的な打点は、踏み込んだ右足(右利きの場合)よりも少し前の位置です。時計の文字盤で例えると、自分の正面を12時とした場合、バックハンド側であれば10時から11時の方向が目安となります。
この位置で捉えることで、腕が最も自然に伸び、ラケットの遠心力を最大限に利用できます。多くの人が「体の横」で捉えようとしますが、実際にはそれよりも少し前に打点を設定したほうが、シャトルを押し出す力が伝わりやすくなります。
打点が前にあることで、シャトルの軌道をコントロールしやすくなるというメリットもあります。しっかりと前方の打点で捉える意識を持つことで、詰まったスイングにならず、リラックスした状態でインパクトを迎えられるようになります。
打点の高さは耳の横から少し上がベスト
高さに関しては、腕を伸ばした状態で、ラケットの面が自分の耳の高さから少し上に来る位置が理想的です。高すぎると力が入りにくく、低すぎるとクリアとしての十分な飛距離が出せません。
この高さをキープするためには、シャトルが落ちてくるのを待つのではなく、自分からシャトルの下へ入り込む感覚が必要です。打点を高く保つことで、シャトルを上から叩くような要素が加わり、鋭い軌道のクリアを打つことが可能になります。
また、高い打点で打つことは、相手に「クリアなのかドロップなのか」を判断させにくくするメリットもあります。常に同じ高い打点で構えることで、ショットのバリエーションを隠すことができるのです。
打点の高さを安定させるには、シャトルの落下予測を早めに行うことが重要です。落下地点を素早く察知し、腕を一番高く伸ばせる位置に体を移動させる練習を繰り返しましょう。
インパクトの瞬間のラケット面の向き
打点において最も重要なのは、インパクトの瞬間にラケット面がどこを向いているかです。バックハンドクリアの場合、ラケット面はわずかに上を向きつつ、基本的には相手のコートの奥(エンドライン)を向いている必要があります。
面が寝すぎていると、シャトルは高く上がりすぎてしまい、逆に立ちすぎているとドライブ気味の低い弾道になってしまいます。適切な打点で捉えることができれば、手首の角度を微調整するだけで、理想的なクリアの軌道を描くことができます。
シャトルがガットに当たる瞬間、しっかりと面を意識して押し出す感覚を掴んでください。このとき、ラケットがシャトルの後ろ側を正確に捉えているかどうかが、飛距離を決定づけるポイントとなります。
打点を安定させて飛距離を伸ばすスイングの秘訣

正しい打点を理解したら、次はそこにラケットを正確に運ぶためのスイングを学びましょう。バックハンド特有の体の使い方が、安定した打点と爆発的な飛距離を生み出します。
サムアップで握り込みの力を最大化する
バックハンドクリアを打つ際のグリップは、親指をグリップの広い面に添える「サムアップ」が基本です。これにより、インパクトの瞬間に親指でラケットを押し出す力を利用できるようになります。
しかし、最初から強く握り込みすぎてはいけません。スイングの開始時はリラックスして軽く握り、シャトルを打点へ引きつける過程で力を溜め、インパクトの瞬間にグッと親指を押し込むように握り込むのがコツです。
この瞬発的な握り込みが、ラケットヘッドの加速を生み出し、打点でのインパクトを強固なものにします。親指の位置がずれていると、打点が安定せず面もブレやすくなるため、常に正しいグリップを確認しましょう。
【正しいサムアップのポイント】
・親指をグリップの平らな部分(広い面)に当てる
・第一関節を少し曲げて、親指の腹でしっかりと押せるようにする
・インパクト直前までは指を軽く添える程度のリラックス状態を保つ
回外運動を活用したヘッドスピードの向上
バックハンドにおいて、飛距離を出すために不可欠なのが「回外(かいがい)運動」です。これは、腕を外側にひねる動作のことで、この回転が加わることでラケットヘッドが鋭く回転し、打点でのパワーが増大します。
腕を単に後ろから前へ振るだけでは、十分なスピードは得られません。肘を起点にして、前腕をドアノブを回すように外側へ回転させながら、打点に向かってラケットを振り抜きます。
この動作により、打点でのインパクトが点ではなく線のように安定し、シャトルをしっかりと捉えることができます。回外運動を正しく使うことで、小さな力でもシャトルをコートの奥深くまで飛ばすことが可能になります。
コンパクトな振りとフォロースルー
バックハンドクリアでは、大振りは禁物です。大きく振ろうとすると打点が遅れやすくなり、コントロールを失う原因になります。肘を高い位置にセットし、コンパクトな振り幅で打点にコンタクトさせることを意識しましょう。
インパクト後は、ラケットを大きく振り抜くのではなく、ピタッと止めるくらいのフォロースルーが理想です。打点で力を爆発させ、その瞬間にスイングを完結させるイメージを持つことで、打点が安定しやすくなります。
フォロースルーが大きすぎると、次にやってくる相手の返球に対する準備が遅れてしまいます。コンパクトに振って、打点に全てのエネルギーを集中させることが、飛距離とスピードを両立させる秘訣です。
足の運びと体幹がバックハンドクリアの打点を決める

手先の動きだけでは、安定した打点は作れません。バックハンドクリアは全身運動です。シャトルに効率よく力を伝えるためには、下半身の安定と正しいフットワークが欠かせません。
シャトルの落下地点に早く入るステップ
バックハンドクリアを成功させるために最も重要な準備は、シャトルの落下地点の「横」にいち早く入ることです。シャトルを追いかけるのが遅れると、打点が体の後ろになり、苦しい姿勢で打たざるを得なくなります。
まず、相手が打った瞬間にリアクションステップを行い、素早くバック奥へ移動します。この際、シャトルの真下ではなく、シャトルを自分の体の右側(右利きの場合)に置けるような位置取りを目指します。
早く移動することで、心に余裕が生まれ、理想的な打点で捉えるための準備が整います。足運びが遅いと、どうしても打点が低くなってしまうため、常に足を動かし続ける意識を持ちましょう。
右足の踏み込みと打点の連動
インパクトの瞬間には、右足(利き足)をしっかりとシャトルの方へ踏み込みます。この踏み込みの勢いが、そのままシャトルを飛ばすパワーに変換されます。足が地面に着くタイミングと、シャトルを打点で捉えるタイミングを一致させることが重要です。
踏み込んだ足のつま先は、打点の方を向いている必要があります。膝を柔らかく使い、クッションのように衝撃を吸収しながら力を伝えることで、打点が上下にブレるのを防ぐことができます。
足の踏み込みが甘いと、上半身だけで打つことになり、ショットが安定しません。しっかりと床を蹴り、右足に体重を乗せた瞬間にインパクトを迎えるリズムを体に叩き込みましょう。
背中を向けて打つことでパワーを溜める
バックハンドクリアを打つ際、体はネットに対して正面ではなく、背中を向けるくらい深く入れるのが理想です。これを「背中で打つ」と表現することもあります。この捻り(ひねり)の動作が、打点でのパワーを最大化させます。
体を深く入れることで、肩甲骨が広がり、腕を振るための大きな助走距離が確保できます。そこから体を戻す回転の力を使って、一気にラケットを打点へと運びます。このとき、体幹がしっかりしていないと軸がブレ、打点が不安定になります。
背中を向けることは、相手に打つ方向を予測させないという戦術的な意味もあります。正しい姿勢から繰り出されるバックハンドクリアは、打点が一定になりやすく、ミスショットを減らす効果があります。
練習で身につける!バックハンドクリアの打点修正ドリル

知識として打点を理解しても、実際にコートで再現するには反復練習が必要です。ここでは、効率よくバックハンドクリアの打点を安定させるための、具体的でやさしい練習メニューを紹介します。
手投げシャトルによる打点確認練習
まずは動かずに、正しい打点の位置を確認することから始めましょう。練習パートナーに、バック側の高い位置にシャトルを優しく投げてもらいます。このとき、足を固定した状態で、最も力が入りやすい打点を探ります。
「ここだ!」と思える打点が見つかったら、何度も同じ位置で捉える練習を繰り返します。自分の目の高さ、腕の伸び具合、ラケット面の向きなどを一つひとつ丁寧にチェックしていきましょう。
この練習の目的は、飛距離を出すことではなく、正しい打点を体に覚え込ませることです。軽く当てるだけでシャトルが飛んでいく感覚を掴むことができれば、バックハンドクリアへの自信に繋がります。
壁打ちでインパクトのリズムを養う
一人でできる非常に効果的な練習が「壁打ち」です。バックハンド専用の壁打ちを行い、連続してシャトルを打ち返します。この練習では、打点が遅れると連続して打ち返すことができないため、強制的に正しい打点を意識させられます。
最初はゆっくりで構いません。壁から跳ね返ってくるシャトルに対して、常に自分の斜め前で捉えるよう意識してください。回外運動を使い、コンパクトな振りでテンポよく打つのがコツです。
壁打ちは反射神経と打点の修正能力を同時に高めてくれます。毎日5分でも続けることで、実際のゲーム中にシャトルがバックに来ても、自然と正しい打点へラケットが出るようになります。
壁打ちの際は、あまり壁に近づきすぎないように注意しましょう。適度な距離(2〜3メートル程度)を保つことで、実際のコートでのクリアに近いスイング軌道で練習することができます。
ノック練習で動きの中の打点を安定させる
ある程度打点が決まってきたら、次は移動を伴うノック練習に移ります。コートの中央からバック奥へ下がり、出されたシャトルをクリアで返す練習です。ここでは、フットワークとスイングの連動が課題となります。
ノッカーには、最初は同じ軌道のシャトルを出してもらい、徐々に高さを変えたり左右に振ったりしてもらいましょう。どんな状況でも、シャトルの落下地点を素早く察知し、理想の打点に自分の体を運べるようになることがゴールです。
疲れてくると、どうしても足が止まり打点が下がってしまいます。きつい時こそ、しっかりと足を一歩踏み出し、高い打点で捉える意識を強く持ちましょう。この実戦形式の練習が、上達への最短距離となります。
| 練習メニュー | 目的 | 意識するポイント |
|---|---|---|
| 手投げノック | 正確な打点の把握 | ラケット面の向きと力の入りやすさ |
| 壁打ち | インパクトの瞬発力向上 | コンパクトな振りと回外運動 |
| 移動ノック | 実戦的な打点の安定 | 素早いフットワークと高い打点の維持 |
バドミントンのバックハンドクリアと打点の重要性まとめ
バックハンドクリアをマスターするために最も大切なのは、腕の力ではなく「正しい打点」でシャトルを捉えることです。打点が自分の斜め前、かつ高い位置に保たれていれば、全身の力を効率よくシャトルに伝えることができます。
まずは、サムアップのグリップと回外運動を取り入れたスイングを意識し、コンパクトに振る練習から始めてみましょう。大きなスイングで誤魔化すのではなく、インパクトの瞬間に全エネルギーを集中させることが飛距離を伸ばす近道です。
また、足運びを疎かにせず、シャトルの落下地点に素早く入り込むフットワークも欠かせません。常に理想的な打点に自分の体を配置できるよう、リアクションステップを忘れずに練習に取り組んでください。
バックハンドクリアは、一朝一夕で身につく技術ではありません。しかし、今回解説した打点の位置やフォームのポイントを一つずつ確認しながら練習を重ねることで、必ず遠くへ飛ばせるようになります。焦らずに、自分の打点を洗練させていきましょう。




