日本バドミントン界の次世代を担うスターとして注目を集めているのが、BIPROGY(旧日本ユニシス)所属の杉山薫選手です。2023年の全日本総合選手権で女子シングルス初優勝を飾るなど、その実力は折り紙付きです。彼女のプレースタイルを支えているのが、卓越したスピードと粘り強いレシーブ力、そしてそれらを最大限に引き出すこだわりのギアです。
この記事では、杉山薫選手が愛用するラケットの特徴や、彼女のプレースタイルとの相性について詳しく解説します。トップ選手がなぜそのモデルを選ぶのか、その理由を知ることで、皆さんのラケット選びやレベルアップのヒントが見つかるはずです。杉山薫選手のファンはもちろん、スピードを武器にしたいプレーヤーもぜひ参考にしてください。
杉山薫選手が使用するラケット「ナノフレア800プロ」の驚きの特徴

杉山薫選手が現在メインで使用しているラケットは、ヨネックスの「NANOFLARE 800 PRO(ナノフレア800プロ)」です。このモデルは、ナノフレアシリーズの中でも特に「振り抜き」と「弾き」に特化したプロ仕様のラケットとして知られています。杉山選手の俊敏なフットワークと、ネット前での素早い反応を支える強力な相棒といえるでしょう。
極限まで空気抵抗を減らした「極細カミソリフレーム」
ナノフレア800プロの最大の特徴は、フレームの断面形状が非常に鋭利に設計されている点にあります。これは「極細カミソリフレーム(Razor Frame)」と呼ばれ、スイング時の空気抵抗を大幅に削減する効果があります。バドミントンにおいて、ラケットの振り抜き速度はショットの威力や反応速度に直結します。
杉山選手のように、相手の強打を瞬時にコースへ打ち分けたり、ドライブ合戦で優位に立ったりするプレーヤーにとって、この振り抜きの良さは大きな武器となります。空気の壁を感じさせないような鋭いスイングが可能になるため、体力の消耗を抑えつつ、最後までスピードを維持したプレーを支えてくれるのです。
高次元の弾きを実現する「ソニックフレアシステム」
ナノフレアシリーズの核となる技術が、フレームの上下に高弾性カーボンを配置した「ソニックフレアシステム」です。フレームトップには強靭な「高弾性カーボン」を、ボトム部分には面安定性と反発性を高める「M40X」という特殊な素材を採用しています。これにより、シャトルを捉えた瞬間の弾きが非常に鋭くなっています。
杉山選手のプレースタイルは、ただ速いだけでなく、相手の意表を突くような鋭い弾きが特徴です。ナノフレア800プロは、少ない力でもシャトルを遠くまで飛ばし、かつスピード感のあるショットを繰り出すことができます。この弾きの良さが、彼女の攻撃的なレシーブや、テンポの速いラリーを可能にしているのです。
ヘッドライト設計による圧倒的な操作性
このラケットは「ヘッドライト」という、ラケットの重心が手元に近い設計になっています。ヘッドが軽いということは、それだけ操作性が高いことを意味します。シングルスでもダブルスでも、ラケットの取り回しがスムーズであることは、特に前衛でのプレーや守備の場面で決定的な差を生みます。
杉山選手は非常に広い守備範囲を誇りますが、そのディフェンスを支えているのがこの高い操作性です。相手のスマッシュがボディ付近に来た際も、素早くラケットを出し、コースを狙って切り返すことができます。重いラケットでは難しいような細かいラケットワークも、この重心設定だからこそ実現できているといえるでしょう。
中上級者が求める「面安定性」の向上
ナノフレア800プロは、前作の800と比較して面安定性が大幅に向上しています。フレームの中に銅や高密度な素材を配置することで、スイング中のフレームのねじれを抑制しているのです。これにより、高速ラリーの中でもショットの精度が安定し、ミスショットを減らすことができます。
トップレベルの試合では、わずかなコントロールの狂いが失点につながります。杉山選手が厳しいコースを突き続けられるのは、自身の技術に加え、ラケットが持つこの「ブレの少なさ」があるからです。速いスイングスピードを維持しながらも、狙った場所へ正確にシャトルを運ぶための、まさにプロ仕様の安定感を備えています。
スピードで圧倒する杉山薫選手のプレースタイルとラケットの関係性

杉山薫選手のプレーを象徴する言葉は、間違いなく「スピード」と「機動力」です。彼女は小柄ながらも、コートを縦横無尽に駆け回るフットワークと、早いタッチで相手を追い詰める攻撃的な姿勢を持っています。ここでは、彼女のプレースタイルと愛用ラケットがどのように噛み合っているのかを分析します。
ネット前での高速タッチを可能にする軽快さ
杉山選手の強みの一つは、ネット前での仕事の速さです。相手のドロップに対して素早く反応し、ネットすれすれの高さでシャトルを捉える「ヘアピン」や、そこから一気に押し込む「プッシュ」のキレが抜群です。これには、ラケットの「軽さ」と「振り抜きの良さ」が不可欠です。
ナノフレア800プロのヘッドライト設計は、ネット際での繊細かつ素早いラケット操作を完璧にサポートします。腕への負担が少なく、短いテイクバックで鋭いショットが打てるため、相手に次の動作を予測させる時間を与えません。この「時間」を奪うプレーこそが、杉山選手の勝利の方程式の一つといえます。
ドライブ合戦で打ち負けない「反発力」
現代のバドミントン、特に杉山選手が活躍する女子シングルスやダブルスでは、ドライブ(床と平行な鋭いショット)の攻防が非常に重要です。杉山選手は、相手との距離が近い場面でも怯まず、鋭いドライブでラリーの主導権を握りに行きます。ここで求められるのは、シャトルを瞬時に弾き返す力です。
ラケットの「弾き」が弱いと、ドライブの応酬で次第に押し込まれてしまいますが、ナノフレア800プロはその心配がありません。シャトルがストリング(ガット)に触れている時間を極限まで短くし、パン!と弾き出す感触は、彼女のドライブの鋭さを一層引き立てています。力で押すのではなく、スピードとタイミングで打ち勝つスタイルに最適な性能です。
粘り強いディフェンスからカウンターへの転換
杉山選手は、全日本総合選手権で強豪選手たちを破った際も、その「粘り強さ」が光りました。相手の連続スマッシュを何度も拾い続け、甘くなった球を逃さず攻撃に転じる姿は多くのファンを魅了しています。このディフェンス能力は、ラケットの機動力によって底上げされています。
守備の際、重いラケットでは反応が遅れてしまいがちですが、ヘッドライトなナノフレア800プロなら、バックハンド側への急なアタックにも瞬時に対応できます。また、単に返すだけでなく、低い弾道でクロスへ運び、守備から一気に攻守を逆転させる「カウンター」ショットも、このラケットなら思いのままにコントロールできるのです。
長時間ラリーでも疲れないスイング重量の絶妙さ
シングルスの試合は1時間を超えることも珍しくありません。杉山選手のようなスピードタイプの選手にとって、疲労によるスイング速度の低下は致命傷になります。ナノフレア800プロは、高い剛性を保ちながらも、体感的な重さ(スイングウェイト)が軽く感じられるよう設計されています。
そのため、フルセットの最終盤であっても、第一セットと変わらないシャープなスイングを維持することが可能です。杉山選手のタフな精神力とスタミナを、ギアが技術的に支えているという側面は無視できません。最後までスピードが落ちないという信頼感が、彼女の果敢なフットワークを支える精神的な支柱にもなっています。
ナノフレア800プロがもたらす技術的メリットと愛用者の声

杉山薫選手だけでなく、世界中のスピードプレーヤーがこのラケットを手に取るには明確な理由があります。ヨネックスが長年培ってきた技術の結晶であるこのモデルが、具体的にどのようなメリットをプレーヤーにもたらすのか、技術的な側面からさらに深掘りしてみましょう。
広いスイートスポットを実現する「アイソメトリック」
ヨネックス独自の形状である「アイソメトリック」は、縦横のストリングの長さを等しく近づけることで、スイートスポット(最適打球点)を拡大させています。ナノフレア800プロでもこの形状が採用されており、オフセンター(芯を外した)ヒット時でも、パワーロスが少なく安定したショットが打てます。
杉山選手のような激しい動きを伴うプレーでは、常に完璧な打点で捉えるのは困難です。しかし、この広いスイートスポットがあるおかげで、多少のズレがあってもシャトルをしっかりとコントロールでき、致命的なミスを防ぐことができます。これは、守備の場面で特に大きな恩恵となります。
腕への衝撃を和らげる素材の工夫
高弾性なラケットは、往々にして打球時の衝撃が腕に響きやすいというデメリットがあります。しかし、ナノフレア800プロでは「ソリッドフィールコア」という内部構造により、打球時の不快な振動をカットしています。これにより、硬い打球感ながらもしなやかさを感じさせる使い心地を実現しています。
この衝撃吸収性能は、ケガの予防だけでなく、タッチの感覚を磨く上でも重要です。繊細なヘアピンや、力を抜いて打つカットショットなど、指先の感覚が重要になる場面で、余計な振動がないことは大きなアドバンテージになります。杉山選手のテクニカルなショットの数々も、こうした「心地よい打球感」によって支えられています。
愛用するプレーヤーたちのリアルな評価
実際にナノフレア800プロを使用している一般の競技者からは、「とにかくレシーブが楽になった」「ドライブのスピードが一段階上がった」という声が多く聞かれます。特に、力がそれほど強くないジュニア選手や女性プレーヤーからも、振り抜きやすさによってスピードが出せるという点が絶賛されています。
また、ダブルスを主戦場とするプレーヤーからは、「前衛での反応速度が劇的に変わる」という評価も目立ちます。杉山選手がシングルスで見せるスピード感は、ダブルスの前衛に必要な要素そのものであり、その性能が証明されているといえるでしょう。操作性を最優先に考えるプレーヤーにとって、これ以上の選択肢はなかなかありません。
ナノフレア800プロが向いている人の特徴:
・力で押すよりもスピードとタイミングで勝負したい人
・ダブルスの前衛や、シングルスの速いラリーが得意な人
・ラケットの振り抜きを重視し、スイングスピードを上げたい人
・守備範囲を広げ、レシーブからのカウンターを武器にしたい人
杉山薫選手のような鋭いショットを打つためのガット・シューズ設定

ラケットの性能を最大限に引き出すためには、ストリング(ガット)の種類やテンション、そして足元を支えるシューズの選択も非常に重要です。杉山薫選手がどのような設定で戦っているのか、また彼女に近づくためのおすすめの設定についてご紹介します。
反発力をさらに高める「エクスボルト」シリーズ
杉山選手が好んで使用しているのが、ヨネックスの「EXBOLT(エクスボルト)」シリーズです。このガットは、細いゲージでありながら高い耐久性と、驚異的な反発力を兼ね備えています。ナノフレア800プロの弾きの良さをさらに増幅させてくれる、まさにベストマッチなストリングです。
エクスボルト63ならよりシャープな弾きを、エクスボルト65なら少しホールド感が増したコントロール重視の打球感を味わえます。杉山選手のような鋭いドライブを打ちたいのであれば、細ゲージのエクスボルトを選び、ラケットの反発性能をフルに活用するのが近道といえるでしょう。
プロ仕様の高テンション設定とその影響
トップ選手の多くがそうであるように、杉山選手もガットの張り(テンション)は高めに設定されています。推測されますが、28〜30ポンド程度のかなり硬い設定で打っていると考えられます。テンションを高くすると、シャトルの離れが速くなり、よりスピード感のあるショットが打てるようになります。
ただし、一般のプレーヤーが真似をして高すぎるテンションにすると、腕や肘を痛める原因になります。まずは22〜24ポンド程度から始め、自分のスイングスピードに合わせて調整することをおすすめします。ラケット自体の弾きが強いため、無理に高テンションにしなくても、十分に鋭い球は打つことが可能です。
俊敏な動きを支えるシューズ「パワークッション 65 Z」
杉山選手のフットワークを支えるシューズは、多くのトッププレーヤーに愛用されている「パワークッション 65 Z」シリーズです。このシューズは、クッション性、安定性、フィット感のバランスが極めて高く、激しいストップ&ゴーを繰り返すバドミントンの動きに最適化されています。
杉山選手はコートの端から端まで素早く移動し、着地した瞬間に次の動作へと移ります。パワークッションの優れた衝撃吸収と反発力は、膝や腰への負担を軽減しつつ、次の一歩を強く踏み出す助けとなります。彼女のような軽やかな動きを目指すなら、足元からプロと同じ環境を整えるのも一つの手です。
成長を続ける杉山薫選手の輝かしい経歴とラケット選びのこだわり

杉山薫選手は、ジュニア時代からその才能を嘱望されてきたエリート選手の一人です。しかし、彼女の強さは単なる才能だけでなく、日々の努力と、自分のプレースタイルに合わせた最適な道具選びに裏打ちされています。これまでの歩みと、彼女がなぜ現在のギアに辿り着いたのかを紐解きます。
ジュニア時代から国内トップへ駆け上がった軌跡
茨城県出身の杉山選手は、小学生時代から全国大会で活躍し、名門のふたば未来学園中学校・高校へと進みました。高校時代には全国高校総体(インターハイ)で上位入賞を果たすなど、着実にステップアップを重ねてきました。卒業後は名門BIPROGYに入社し、実業団の世界でもその存在感を発揮しています。
彼女の経歴の中で最大の転換点となったのは、2023年の全日本総合選手権です。強豪がひしめく中で、粘り強いレシーブとスピード感あふれる攻撃を武器に、見事女子シングルスの頂点に立ちました。この勝利は、彼女のスタイルが日本の、そして世界のトップで通用することを証明した瞬間でした。
BIPROGYチームでの切磋琢磨と機材への信頼
BIPROGYバドミントン部は、渡辺勇大選手や東野有紗選手など、多くのオリンピアンを輩出している国内屈指の強豪チームです。高い志を持つチームメイトに囲まれ、日々高いレベルで練習に励んでいることが、杉山選手の成長を加速させています。チームとしての機材サポートも手厚く、常に最先端のラケットを使用できる環境にあります。
杉山選手は自分の感覚を大切にする選手であり、ラケット選びにおいても「振り抜きの違和感がないか」「自分の思った通りに弾いてくれるか」を重視しているといいます。ナノフレア800プロとの出会いは、彼女の理想とする「相手をスピードで翻弄するプレー」を高い次元で具現化させるための必然だったのかもしれません。
今後の展望と世界に挑むための戦略
全日本女王となった杉山選手の次なる目標は、国際大会での活躍です。世界ランキングを上げ、オリンピックなどの大きな舞台でメダルを争うことが期待されています。世界のトップ選手は、パワーとスピードを兼ね備えた強敵ばかりですが、杉山選手は自身の持ち味である機動力をさらに磨くことで対抗しようとしています。
そのためには、ラケットもさらなる「相棒」としての精度が求められます。現在のナノフレア800プロを使いこなし、相手のパワーをスピードに変えて利用するような老獪なプレーも、これからの彼女には期待されます。ギアの進化と共に歩む杉山薫選手の挑戦から、今後も目が離せません。
杉山薫選手の主な実績:
・2023年 全日本総合選手権大会 女子シングルス 優勝
・2023年 日本ランキングサーキット大会 女子シングルス 優勝
・世界ジュニア選手権 団体銀メダル・銅メダル獲得など
杉山薫選手のラケットの特徴を活かしてレベルアップを目指そう
ここまで杉山薫選手の愛用ラケット「ナノフレア800プロ」の特徴と、彼女の魅力的なプレースタイルについて詳しく解説してきました。この記事の要点を改めて振り返ってみましょう。
まず、杉山薫選手のプレースタイルの核心は「圧倒的なスピード」と「鉄壁の守備」にあります。そして、それを支えるナノフレア800プロは、空気抵抗を極限まで減らした振り抜きの良さと、瞬時にシャトルを弾き出す高い反発性能が最大の特徴です。このラケットがあるからこそ、彼女の素早いネット前でのタッチや、鋭いドライブ、粘り強いレシーブが可能になっているといえます。
皆さんが杉山選手のようなプレーを目指すのであれば、道具選びにおいて「操作性」を重視することは非常に賢い選択です。特にパワーに自信がない方や、スピードで相手を圧倒したい方は、ヘッドライト設計で振り抜きやすいモデルを選ぶことで、バドミントンの楽しさと実力を一段階引き上げることができるでしょう。
杉山薫選手は、これからもそのスピードと技術で、日本のバドミントン界を明るく照らしてくれるはずです。彼女の使用するラケットの特徴を理解し、自分のプレーに取り入れることで、皆さんのバドミントンライフがより充実したものになることを願っています。これからの杉山選手のさらなる飛躍を一緒に応援していきましょう!


