バドミントンを始めたばかりの頃は、何から練習すれば効率よく上達できるのか迷ってしまうものです。自己流で練習を続けて変な癖がついてしまうと、後から修正するのが大変になってしまいます。
この記事では、バドミントン初心者が最初の1ヶ月の練習メニューとして取り組むべき基礎を、週ごとのステップに分けてご紹介します。ラケットの握り方から基本的なフットワーク、シャトルを打つ感覚の養い方まで、未経験の方でも迷わず進められる内容です。
楽しみながら基礎を固め、コートで自由に動ける自分を目指しましょう。この1ヶ月で土台をしっかり築くことが、将来的に試合で勝てるようになるための大きな一歩となります。まずは基本を丁寧に確認することから始めてみてください。
バドミントン初心者が最初の1ヶ月の練習メニューで重視すべき基礎知識

練習メニューに入る前に、まずはバドミントンの大前提となる知識を身につけることが大切です。正しい知識があれば、練習の質が飛躍的に高まります。
ラケットの正しい持ち方(イースタングリップ)をマスターする
バドミントンにおいて最も重要と言っても過言ではないのが、ラケットの握り方です。初心者に推奨されるのは、「イースタングリップ」と呼ばれる握り方です。
これは、ラケットの面を床に対して垂直にし、握手をするように軽く握る方法です。この握り方をすることで、手首の可動域が広がり、フォアハンドとバックハンドの両方をスムーズに切り替えられるようになります。
多くの初心者が、フライパンを持つように握る「ウエスタングリップ」になりがちですが、これでは力強いショットや繊細な操作が難しくなります。最初のうちは違和感があるかもしれませんが、必ずイースタングリップで練習を始めましょう。
握る強さは、卵を優しく持つくらいのイメージで、インパクト(シャトルを打つ瞬間)のときだけギュッと力を入れるのがコツです。常に力んでいると、素早い動きができなくなるので注意してください。
練習前後のストレッチと怪我防止のポイント
バドミントンは全身を激しく使うスポーツです。特に肩、肘、手首、そして足首や膝への負担が大きいため、入念な準備運動が欠かせません。
練習前には、ラジオ体操のような動的ストレッチを行い、筋肉を温めて関節の可動域を広げましょう。特に肩甲骨周りを柔らかくしておくと、スイングがスムーズになり、クリアなどの遠くに飛ばすショットが打ちやすくなります。
一方で、練習後には静的ストレッチを行い、酷使した筋肉をゆっくりと伸ばして疲労回復を促します。アキレス腱やふくらはぎのケアを怠ると、肉離れなどの怪我につながる恐れがあるため注意が必要です。
初心者のうちは、慣れない動きで特定の部位に痛みを感じることがあります。痛みがあるときは無理をせず、アイシングや休息を挟みながら、自分のペースで練習を進めるようにしてください。
シャトルを正確に捉えるための視線の安定
シャトルは野球やテニスのボールとは異なり、空中で急激に失速するという特殊な動きをします。そのため、初心者のうちは空振りをしてしまうことも少なくありません。
大切なのは、シャトルがラケットに当たる瞬間まで目を離さないことです。打つ方向に意識がいきすぎると、視線が先に動いてしまい、打点がズレてしまいます。
また、構えるときは姿勢を低く保ち、視線の上下動を少なくすることも重要です。頭が上下に揺れると、シャトルとの距離感がつかみにくくなるため、膝を軽く曲げて安定したフォームを意識しましょう。
最初のうちはシャトルを目で追う練習として、誰かに手で投げてもらったシャトルをキャッチするトレーニングも有効です。落下地点を素早く予測する能力が、後の上達に大きく関わってきます。
【第1週】ラケットとシャトルに慣れて「打つ感覚」を養うメニュー

最初の1週間は、ラケットを自分の手の一部のように扱えるようになることが目標です。コートに入る前に、自宅や公園でもできるメニューを中心に行います。
シャトルリフティングで面感覚を鍛える
まずはラケットの真ん中(スイートスポット)でシャトルを捉える練習をしましょう。その場に立って、シャトルを真上にポンポンと打ち上げ続けます。
最初はフォアハンド(手のひら側)だけで10回、20回と回数を増やしていきます。慣れてきたら、バックハンド(手の甲側)だけで行い、最終的には交互に入れ替えてリフティングしてみましょう。
この練習のポイントは、手首だけで打とうとせず、肘を柔らかく使うことです。ラケットの面が常に上を向くように意識すると、シャトルが安定して真上に上がります。
リフティングが100回以上続くようになると、シャトルとラケットの距離感がしっかり身についた証拠です。これができれば、コート内でのラリーも格段にスムーズになります。
基本の素振りで正しいフォームを体に覚えさせる
バドミントンのショットの基本となる「オーバーヘッドストローク」の素振りを行いましょう。これは頭より高い位置でシャトルを打つための動作です。
足を肩幅に開き、半身の姿勢(利き手と逆の足を前に出す)で構えます。ラケットを振り上げる際、利き手ではない方の手でシャトルを指さすように上げると、バランスが取りやすくなります。
スイングの際は、耳の横を腕が通るように振り抜き、フォロースルー(打った後の動き)までしっかり行います。「パン!」と風を切る音が鳴るように、リラックスした状態からインパクトの瞬間だけ力を集中させましょう。
鏡の前で自分のフォームをチェックしながら、毎日10回を3セット程度行うだけでも効果があります。正しいフォームが身につけば、小さな力で遠くまで飛ばせるようになります。
初心者が陥りやすいミスとして、腕全体を棒のように振ってしまう「手打ち」があります。肘を高く上げ、肘を支点にして前腕(肘から先)を回転させる「回内・回外」の動きを意識しましょう。
壁打ちで反応速度と手首の強さを磨く
壁打ちは、一人でできる最も効率的な練習メニューの一つです。壁に向かってシャトルを打ち、跳ね返ってきたシャトルを再び打ち返します。
最初はゆっくりと、同じ場所に返ってくるようにコントロールしましょう。慣れてきたら少しずつ強く打ち、速いテンポで打ち返せるように挑戦してみてください。
この練習では、フォアとバックのグリップの切り替えが自然に行えるようになります。また、至近距離でシャトルを追い続けるため、動体視力や反射神経の向上にも繋がります。
最初は5分続けるだけでもかなり疲れますが、手首の使い方を覚えるには最適です。シャトルを床に落とさないように、集中して取り組みましょう。
【第2週】コートを自在に動くための「フットワーク」の基礎メニュー

2週目は、足の動きに焦点を当てます。バドミントンは「足のスポーツ」と言われるほど、フットワークが重要です。シャトルの場所までいかに早く到達できるかが鍵となります。
ホームポジションの概念と「戻り」の意識を徹底する
バドミントンのコート内には「ホームポジション」と呼ばれる基本の位置があります。シングルスの場合は、コートのちょうど中央付近です。
シャトルを打った後、その場に留まってしまう初心者が多いですが、これでは次にどこに打たれても対応できません。「打ったら戻る」という動作を一連の流れとして覚えましょう。
まずは中央に立ち、前や後ろに1歩動いてから、すぐに元の位置に戻る練習を繰り返します。この際、常に重心を少し前に置き、いつでも動ける準備をしておくことが大切です。
戻るスピードが速ければ速いほど、相手の返球に対して余裕を持って対応できるようになります。最初はゆっくりで構わないので、戻る位置を常に意識するようにしてください。
前後左右への基本ステップ(送り足・ツーステップ)を学ぶ
バドミントンの移動は、全力疾走ではなく独自の「ステップ」を使います。代表的なのが、足を交互に出さずに寄せるように動く「送り足(シャッフルステップ)」です。
前に動くときは、利き足を大きく踏み込み、後ろに下がるときは小刻みなステップで素早く移動します。この際、かかとから着地せず、親指の付け根(母指球)で床を捉えるのがポイントです。
左右への移動では、サイドステップを活用します。腰の高さを変えずに平行移動するイメージで動くと、視線がブレず、次の動作に移りやすくなります。
コートの四隅に向かって、ラケットを持たずに移動するだけの練習も非常に効果的です。足運びがスムーズになれば、体力消耗を抑えつつ、広い範囲をカバーできるようになります。
フットワーク練習の目安時間
・前後ステップ:3分 × 2セット
・左右ステップ:3分 × 2セット
・四隅への移動(シャドーフットワーク):5分
リアクションステップを導入して初動を速くする
相手がシャトルを打つ瞬間に、その場で軽くジャンプする動作を「リアクションステップ」と呼びます。これは静止状態から動き出す際、筋肉の反発を利用して初動を速めるためのテクニックです。
ジャンプと言っても高く飛ぶ必要はなく、足の裏が地面からわずかに離れる程度で十分です。着地の瞬間に、シャトルが飛んできた方向へ強く床を蹴って踏み出します。
このステップを覚えると、自分が予測していなかった方向へシャトルが飛んできても、素早く反応できるようになります。初心者のうちからこのリズムを体に染み込ませておくことが上達への近道です。
慣れないうちはタイミングを合わせるのが難しいですが、テレビでプロの試合を見ながら、選手が打つ瞬間に合わせて自分も軽くステップを踏んでみるのも良い練習になります。
【第3週】主要なショットの種類と打ち方を身につけるメニュー

3週目からは、いよいよシャトルをコントロールして打ち分ける練習に入ります。バドミントンには多くのショットがありますが、まずは基本の3つを重点的に練習しましょう。
高く遠くへ飛ばす「ハイクリア」のコツ
バドミントンで最も多用されるのが、相手コートの後方へ高く飛ばす「クリア」です。これには、相手を後ろに下げさせて自分に余裕を作る役割があります。
遠くに飛ばすためには、力任せに振るのではなく、「高い打点」と「体重移動」が重要です。シャトルの真下に入り、高い位置でシャトルを捉えるように意識してください。
スイングの際、後ろにある足から前にある足へと体重を移しながら打つことで、腕の力だけでなく全身のパワーをシャトルに伝えることができます。
最初はコートの半分までしか飛ばないかもしれませんが、正しいフォームで当たれば女性や子供でも奥まで飛ばせるようになります。焦らず、綺麗な弧を描くように打つ練習を繰り返しましょう。
ネット際に落とす「ドロップ」と「ヘアピン」の感覚
遠くに飛ばすクリアとは対照的に、相手のネット際に優しく落とすショットが「ドロップ」と「ヘアピン」です。これらは相手を前へ揺さぶるために使います。
ドロップは、クリアと同じフォームから、インパクトの直前で力を抜いてネット際に落とします。フォームがクリアと似ているほど、相手はどちらが来るか判断できず、効果的な攻撃になります。
ヘアピンは、ネット際で受けたシャトルを、さらに相手のネット際ギリギリに返す繊細なショットです。ラケットの面を床と並行に近く保ち、シャトルの勢いを殺すように優しく触れます。
これらソフトなショットを習得することで、試合の組み立てが非常に楽になります。「強く打つ」ことと「弱く打つ」ことのメリハリを意識して練習してみましょう。
ネット前のショットを練習する際は、ネットにラケットをぶつけないよう注意してください。競技ルールでも、ネットに触れることは「タッチザネット」という反則になります。
低い弾道で直線的に攻める「ドライブ」の練習
ドライブは、床とほぼ平行に、ネットの上をなめるように鋭く打つショットです。ダブルスでよく使われ、スピーディーなラリーの主役となります。
ラケットを顔の高さ付近で構え、コンパクトなスイングで打ちます。大きな振りかぶりは不要で、手首の返し(回内・回外)をメインに使って弾くように打つのがコツです。
ドライブの練習では、相手と向かい合って交互に打ち合う「ドライブ練習」が一般的です。視線を低く保ち、飛んでくるシャトルに対してラケット面を的確に合わせていきましょう。
この練習を続けると、速い球に対する反応が良くなり、守備力も向上します。最初はゆっくりした球から始め、徐々にラリーのスピードを上げていくのがおすすめです。
【第4週】実践を意識した「サーブ」と「ゲーム形式」の練習メニュー

最後の1週間は、これまで練習してきたスキルを統合し、実際の試合で使えるように調整していきます。まずは試合を始めるためのサーブから始めましょう。
正確なロングサーブとショートサーブの打ち分け
バドミントンのサーブは、全てのラリーの起点となる重要なプレーです。シングルスでよく使われる「ロングサーブ」と、ダブルスで主流の「ショートサーブ」の両方を練習します。
ロングサーブは、相手コートの奥深くを狙って高く打ち上げます。腕を大きく振り、しっかり奥まで届かせる精度を磨きましょう。逆にショートサーブは、ネットギリギリを通ってサービスライン付近に落とします。
「腰より低い位置で打つ」というルール(サービスフォルト)に注意しながら、10球連続で狙ったエリアに入れる練習を行ってください。サーブミスは即失点に繋がるため、安定感が求められます。
また、サーブを打つ瞬間に足が浮いたり動いたりしないよう、しっかり地面に足をつけた状態で打つことを習慣づけましょう。落ち着いて一呼吸置いてから打つのが成功の秘訣です。
ノック練習で動きながら打つ感覚を養う
これまでは止まった状態で打つ練習が多かったですが、実際の試合では常に動きながら打つ必要があります。そこで有効なのが、ノッカー(球出し役)から投げられたシャトルを打ち返す「ノック練習」です。
まずは「前・後」や「左・右」の2点に交互に投げてもらい、フットワークを使って移動しながら打ち返します。この練習では、移動してから打つまでの一連の動作をスムーズに繋げることを意識します。
大切なのは、打ち終えた後に必ずホームポジションに戻る動作を入れることです。ただ打ち返すだけでなく、次の球に備える姿勢をセットで体に覚え込ませます。
体力的にきつい練習ですが、1ヶ月の集大成として15分程度、集中して取り組んでみてください。スタミナ向上と実戦的な判断力が同時に養われます。
ルールの確認とミニゲームへの挑戦
最後は、得点の数え方やコートの境界線などの基本ルールを確認し、ミニゲームを行ってみましょう。最初はコートを半分だけ使う「半面シングルス」が、初心者にはおすすめです。
21点3ゲームマッチが公式ルールですが、まずは11点先取などの短い形式で構いません。実際に相手と対峙することで、「どこを狙えば決まるのか」「自分の弱点はどこか」が明確になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 得点方式 | ラリーポイント制(打ち合って決まった方が点数を得る) |
| ゲーム数 | 基本は3ゲーム。2ゲーム先取で勝利 |
| イン・アウト | ラインの上にシャトルが乗った場合は「イン(有効)」 |
勝敗にこだわりすぎず、まずは1ヶ月間練習してきたショットやフットワークを試す場として楽しんでください。上手くいかない部分があっても、それが次からの練習の指針になります。
まとめ:バドミントン初心者が最初の1ヶ月の練習メニューで土台を作る
バドミントン初心者が最初の1ヶ月の練習メニューを完走できれば、コートを動き回り、ラリーを続けるための最低限の基礎は十分に身についているはずです。
この1ヶ月で学んだ「イースタングリップ」「フットワークの戻り」「インパクトの瞬間の脱力」といった基本事項は、中級者・上級者になっても変わらず重要な土台となります。もし上達の壁にぶつかった時は、もう一度この最初のステップに立ち返ってみてください。
バドミントンは、基礎が固まるほど自由なショットが打てるようになり、さらに楽しくなるスポーツです。今回紹介したメニューをベースに、自分の苦手な部分を重点的に補強したり、得意なプレーを伸ばしたりしながら、さらに高いステップを目指していきましょう。




