バドミントンの試合において、コートを入れ替える「チェンジエンズ」は非常に重要なルールの一つです。しかし、試合に集中しすぎていたり、接戦で熱くなっていたりすると、ついタイミングを忘れてそのままプレーを続けてしまうことがあります。気づいた瞬間に「どうすればいいの?」とパニックになってしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事では、バドミントンでチェンジエンズを忘れた時の対処法について、日本バドミントン協会の競技規則に基づき、初心者の方にも分かりやすく解説します。また、忘れないための工夫や、トラブルを防ぐためのマナーについても紹介します。この記事を読めば、もしもの時も冷静に対処できるようになり、プレーに集中できるはずです。
バドミントンでチェンジエンズを忘れた時の対処と公式ルール

試合中に「あ、コートを替えるのを忘れていた!」と気づいた時、まずは落ち着くことが大切です。競技規則では、このようなミスが起きた際の対応が明確に定められています。焦ってプレーを止めてしまったり、勝手にスコアを無効にしたりしないよう、正しいルールを確認しておきましょう。
気づいた時点で即座にコートを交代する
もしチェンジエンズを忘れてプレーを続けてしまった場合、その事実に気づいた瞬間に、即座にコートを交代するのが正解です。ラリーの途中で気づいた場合は、そのラリーが終わるのを待ってから速やかに移動しましょう。
「もう数点経過してしまったから、このまま最後までいこう」という判断はルール上認められません。公式な試合であっても練習試合であっても、間違いに気づいたタイミングで本来あるべきコートへと移動することが、競技規則(第12条第3項)によって義務付けられています。
交代する際は、相手選手や審判(いる場合)に対して「すみません、チェンジエンズを忘れていました」と一言添えるのがマナーです。無言で移動を始めると混乱を招くため、コミュニケーションを大切にしましょう。
忘れていた間のスコア(得点)はすべてそのまま有効
チェンジエンズを忘れたまま数ポイントが経過してしまった場合、その間の得点がどうなるのか不安に思うかもしれません。結論から言うと、それまでのスコアはすべて有効となります。たとえ間違ったコートでプレーしていたとしても、得点が取り消されることはありません。
例えば、ファイナルゲームで11点になった時に交代するのを忘れ、13点対12点になった時点で気づいたとします。この場合、13対12というスコアを維持したままコートを入れ替えます。遡ってやり直す必要はないため、安心してください。
このルールは、試合の進行を不必要に遅らせないために設定されています。たとえ有利・不利が生じる状況であったとしても、一度決まった得点は尊重されるのがバドミントンの基本的な考え方です。
公式競技規則(第12条)に基づく判断基準
日本バドミントン協会が定める「競技規則」の第12条には、チェンジエンズに関する規定があります。ここには「選手がチェンジエンズすべき時にしなかったことが発見されたときは、発見されたら直ちに、かつ、シャトルがインプレーでないときにチェンジエンズを行う」と記されています。
「シャトルがインプレーでないとき」とは、ラリーが終了している状態を指します。つまり、プレー中に気づいてもその場ですぐに走り出すのではなく、そのラリーが決着してから交代することになります。これは安全面を考慮した規定でもあります。
また、同条文には「それまでのスコアはそのまま有効とする」とも明記されています。審判員がついている公式戦でも、審判自身が忘れてしまうケースが稀にありますが、その場合もこのルールに従って淡々と試合を再開させることになります。
チェンジエンズを行うタイミングの基本

トラブルを未然に防ぐためには、いつチェンジエンズを行うべきかという基本ルールを完璧に把握しておくことが一番の近道です。バドミントンには大きく分けて3つのタイミングでコートを交代する場面があります。それぞれを整理して覚えましょう。
第1ゲーム終了後と第2ゲーム終了後のタイミング
最も分かりやすいタイミングは、各ゲームが終了した時です。バドミントンは3ゲームマッチで行われるため、第1ゲームが終わった段階で一度コートを入れ替えます。この時、勝った選手も負けた選手も、自分の荷物を持って反対側のコートへ移動します。
第2ゲームが終了し、ゲームカウントが1対1となった場合も、ファイナルゲーム(第3ゲーム)を始める前にチェンジエンズを行います。このタイミングを忘れることは少ないですが、第2ゲームで完勝したり完敗したりして気が緩んでいると、稀に入れ替わりを忘れてしまうことがあります。
ゲーム間の休憩は最大120秒(2分間)認められています。この休憩時間を使って、しっかりと気持ちを切り替えるとともに、正しいコートに入っているかを確認する癖をつけましょう。
第3ゲーム(ファイナルゲーム)での11点到達時
ミスが最も発生しやすいのが、ファイナルゲーム(第3ゲーム)の途中でのチェンジエンズです。バドミントンでは、ファイナルゲームにおいてどちらかのサイドが11点に到達したときに、コートを入れ替える決まりがあります。
11点での交代は、ゲームの途中で行われるため、流れの中に埋もれてしまいがちです。特に接戦で1点1点に集中していると、11点になった瞬間の「区切り」を意識し損ねることがあります。ダブルスであれば、パートナー同士で「次11点だよ」と声を掛け合うことが重要です。
また、この11点でのチェンジエンズの際にも、最大60秒間のインターバルをとることができます。インターバルをとるために一度コートサイドに寄るはずですので、そのタイミングで自然に反対側へ移動する習慣をつけておくと忘れにくくなります。
1ゲームのみで勝敗を決める場合の特殊なタイミング
大会の形式によっては、時間短縮のために「15点1ゲームマッチ」や「21点1ゲームマッチ」など、1ゲームのみで勝敗を決める形式が採用されることがあります。この場合も、ゲームの途中でチェンジエンズが発生します。
基本的には、そのゲームの目標点数の半分に達したタイミングでコートを交代します。例えば、15点マッチであれば「8点」に到達した時、21点1ゲームマッチであれば「11点」に到達した時です。このルールは意外と知られていないこともあるため、試合前のミーティングなどで確認しておくのが無難です。
1ゲームマッチは短期決戦であるため、コートの有利・不利が勝敗に直結しやすい傾向にあります。そのため、タイミングを逃さずにしっかりと交代することが、公平な試合運びにつながります。
【チェンジエンズのタイミング一覧】
| 場面 | タイミング |
|---|---|
| 第1ゲーム終了後 | 第2ゲーム開始前 |
| 第2ゲーム終了後 | 第3ゲーム開始前(1対1の場合) |
| 第3ゲーム途中 | いずれかが11点に到達したとき |
| 1ゲームマッチ途中 | 目標点数の半分(8点や11点)に到達したとき |
忘れてしまった場合に起こりうるトラブルと注意点

チェンジエンズを忘れてそのまま試合を続けてしまうと、単にルールの不備だけでなく、心理的な影響やプレー環境の不平等といった問題が発生することがあります。どのようなトラブルが考えられるのかを理解し、備えておきましょう。
太陽の光や空調の風による有利不利の影響
多くの体育館では、窓からの直射日光や照明の当たり方、さらには空調(エアコン)の風向きによって、コートの左右で条件が異なります。一方が「シャトルが見えにくい」「風でシャトルが流される」という不利な条件(アゲンスト)を持っている場合、チェンジエンズは公平性を保つための生命線です。
もし交代を忘れたまま試合が進んでしまうと、一方の選手だけが長く不利な環境でプレーすることになり、結果に大きな影響を及ぼす可能性があります。特に風がある会場では、風下から風上へ入れ替わるタイミングを逃すと、スタミナの消耗やショットの精度に差が出てしまいます。
気づいた時にすぐ交代すべきなのは、こうした環境的な要因による不公平を最小限に抑えるためでもあります。もし自分が不利な側で忘れていた場合は、気づいた瞬間に正直に申告することが自分のためにもなります。
相手チームとのトラブルを避けるためのマナー
チェンジエンズの忘れは、セルフジャッジ(審判がいない試合)において、相手チームとの不信感につながる原因になり得ます。「わざと交代しなかったのではないか」と疑われるのは、スポーツマンシップの観点からも避けたい事態です。
もし相手が気づかずに自分が気づいた場合は、速やかにプレーを止めて(ラリー終了後に)指摘しましょう。逆に、相手から指摘された場合は、素直に謝罪して交代に応じることが大切です。意固地になって「ルールを知らなかった」などと言い訳をすると、試合の雰囲気が悪くなってしまいます。
バドミントンは紳士のスポーツとも言われます。お互いに気持ちよくプレーできるよう、ルールのミスには誠実に対応しましょう。こうした丁寧な対応が、結果として良い試合展開を生むことも少なくありません。
相手がチェンジエンズを忘れていることに気づいたら、意地悪をせずに「11点なのでチェンジエンズですね」と優しく声をかけてあげましょう。これがスムーズな試合進行のコツです。
メンタル面での動揺がプレーに与える影響
チェンジエンズを忘れていたことに気づくと、多くの選手は「あ、やってしまった!」と動揺します。このちょっとした心の乱れが、その後のサーブミスやレシーブミスといった凡ミスを誘発することがあります。特に接戦の場面では、この動揺が命取りになることもあります。
「ルール通りに交代して、スコアもそのままで良い」ということを知っていれば、必要以上に焦ることはありません。ミスは誰にでもあることだと割り切り、深呼吸をしてから新しいコートでのプレーを再開しましょう。
また、コートを入れ替えることで視界が変わり、リフレッシュできる効果もあります。忘れに気づいた時こそ、一度冷静になって戦略を立て直すチャンスだとポジティブに捉えることが、勝利への近道となります。
審判や相手選手とのスムーズなコミュニケーション

チェンジエンズのミスが発覚した際、どのように周囲とコミュニケーションを取るべきかは非常に重要です。公式戦と練習試合では少し状況が異なりますが、基本となる伝え方を押さえておきましょう。
審判がいる試合での申告方法
主審がついている公式戦でチェンジエンズを忘れた場合、まずは主審の指示を仰ぎます。もし主審も気づいていない様子であれば、ラリーが終わったタイミングで挙手をして「主審、チェンジエンズではないでしょうか?」と冷静に確認しましょう。
主審が間違いを認めた場合、そこから正しいコートへの移動が始まります。この際、スコアの確認も同時に行うのがベストです。主審がコールする得点と、自分たちの認識している得点に齟齬がないか、移動しながらしっかり耳を傾けてください。
審判に対して威圧的な態度をとる必要はありません。「うっかりしていました」という謙虚な姿勢で接することで、審判も冷静に状況を整理しやすくなります。公式戦では審判の判定が最終決定となるため、その指示に従いましょう。
セルフジャッジの試合で相手に伝える言葉
地域の大会や部活動の練習試合など、セルフジャッジで行う場合は、自分たちで解決する必要があります。気づいた側が「すみません、チェンジエンズを忘れていました。今から入れ替わりましょう」と明確に声をかけるのが一番スムーズです。
この時、現在のスコアをお互いに復唱して確認することを忘れないでください。「今14対12で、私たちがリードしている状態での交代ですね」といった具体的な確認をすることで、移動後の混乱を防ぐことができます。
相手が「え、そうなの?」と戸惑っている場合は、11点で交代するというルールを優しく説明しましょう。ルールを共有することで、お互いに納得した状態で試合を再開でき、後味の悪い結末を防ぐことができます。
どちらがサーブ権を持っているか再確認する
チェンジエンズを忘れてドタバタと移動すると、意外と忘れてしまうのが「次はどちらがサーバーか」ということです。コートを移動した瞬間に、本来のサーブ権がどちらにあったかが分からなくなると、再び試合が中断してしまいます。
移動する前に、必ず「次は〇〇さんのサーブですね」や「こちら側のサーブから再開ですね」といった確認を行ってください。ダブルスの場合は、サーバーだけでなく、レシーバーが誰だったかも合わせて確認しておくと確実です。
もしどうしても思い出せない場合は、直前のラリーの内容を思い返しましょう。誰が決めたのか、得点が動いたのかを確認すれば、必然的にサーバーが決まります。こうした確認を怠らないことが、公平な試合を守るために不可欠です。
試合中にチェンジエンズを忘れないための工夫

ルールを知って対処法を学ぶことも大切ですが、そもそもチェンジエンズを忘れないようにするための予防策を講じるのがベストです。トップ選手も行っている、ちょっとした意識付けのコツをいくつかご紹介します。
スコアシートや得点板をこまめに確認する
最も基本的な予防策は、得点板(スコアボード)を常に視界に入れておくことです。自分たちで得点板をめくる形式の試合であれば、めくるたびに「あと何点で11点だ」と意識する癖がつきます。これは集中力を維持するトレーニングにもなります。
また、主審がいる試合であれば、主審のコール(得点の発声)を毎回しっかり聞くようにしましょう。審判は11点になった時に「インターバル」と宣告し、チェンジエンズを促してくれます。審判の声を聞き漏らさないことも、選手の大切な役割です。
得点板が遠くて見えにくい会場であっても、頭の中でスコアをカウントし続けることは、戦術を立てる上でも有利に働きます。「今、ゲームのどの段階にいるのか」を常に把握することが、ルールの失念を防ぐ最大の防御策です。
ファイナルゲームは「11点」を強く意識する
ファイナルゲームに入った瞬間、多くの選手は「あと21点取れば勝ちだ」と考えがちですが、これを「まずは11点取ってコートを替える」という短期目標に置き換えてみましょう。11点を一つのゴールと捉えることで、チェンジエンズのタイミングを逃しにくくなります。
特にダブルスの場合は、パートナーと「よし、まずは11点でリードして折り返そう!」と声を掛け合うのが非常に有効です。チームとしての共通目標に「チェンジエンズ」を組み込むことで、二人のうちどちらかが必ず気づけるようになります。
11点での交代は、体力の回復や作戦会議のための貴重な時間でもあります。そのメリットを意識していれば、自然と「11点になったら交代だ」という意識が働くようになるはずです。
ペアとの声掛けをルーティン化する
バドミントンは非常にスピーディーなスポーツであるため、一人の力では限界があります。そこで、特定のポイントになったら必ず行う「ルーティン」を決めておくと良いでしょう。例えば、10点になったらパートナーと「次チェンジだよ」とハイタッチをするといった決め事です。
こうした具体的なアクションをルール化しておけば、無意識のうちに交代の準備が整います。また、インターバル中にタオルで汗を拭いたり、水分補給をしたりすることもルーティンに含めると、コート移動の合図として機能します。
「自分は忘れっぽいから」と不安に思う人ほど、こうした外部的なきっかけ(パートナーの声や動作)を利用することをおすすめします。ペア同士の信頼関係も深まり、試合のパフォーマンス向上にもつながります。
インターバルの合図(11点到達)は、ベンチにいるアドバイザーからのアドバイスを受けられるタイミングでもあります。自分のためにも交代を忘れないようにしましょう。
まとめ:バドミントンでチェンジエンズを忘れた時の対処法を覚えて楽しくプレーしよう
バドミントンの試合でチェンジエンズを忘れてしまうことは、初心者からベテランまで誰にでも起こりうることです。大切なのは、忘れてしまったこと自体を悔やむのではなく、その後の対応をいかに正確かつスムーズに行うかです。
もしチェンジエンズを忘れたことに気づいたら、ルールに従って以下の手順で行動しましょう。
1. 気づいた時点(ラリー終了後)で即座に交代する
2. それまでの得点はすべて有効として引き継ぐ
3. 相手や審判に一言伝え、サーバーを確認して再開する
バドミントンの競技規則(第12条)でも、この対処法は明確に定められています。遡ってやり直す必要はないため、落ち着いてプレーを再開してください。また、日頃から「ファイナルゲームは11点で交代」という意識を持ち、パートナーと声を掛け合うことで、こうしたミスを未然に防ぐことができます。
ルールを正しく理解しておくことは、自分たちの権利を守るだけでなく、対戦相手へのリスペクトにもつながります。万が一の時もこの記事の内容を思い出して、冷静に、そして笑顔でバドミントンを楽しんでくださいね。正しい知識を持ってコートに立てば、試合中の不安も一つ減り、もっと自由にプレーできるはずです。




