バドミントンのシングルスは、ダブルスとはまた違った魅力と奥深さがあります。広いコートをたった一人で守り、相手と1対1の駆け引きを繰り広げるのは、まさに自分自身との戦いと言えるでしょう。
しかし、いざ試合となると「どこを狙えばいいの?」「どうやって相手を崩せばいいの?」と悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんなバドミントンシングルスで勝つためのコツを、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。基本的な考え方から、具体的な戦術、ショットの使い分け、そして上達に欠かせない練習方法まで、幅広くご紹介します。この記事を読めば、あなたのバドミントンが一段とレベルアップし、試合で勝利を掴むためのヒントがきっと見つかるはずです。
バドミントンシングルスのコツ【基本編】まず押さえたい3つのポイント

シングルスの試合で安定したプレーをするためには、まず基本をしっかりと身につけることが何よりも重要です。ここでは、全てのプレーの土台となる3つの基本的なコツをご紹介します。これらを意識するだけで、動きの質が格段に上がり、試合を有利に進められるようになります。
ホームポジションを常に意識する
ホームポジションとは、コートの中央付近にある「ここに戻れば、コートのどこへでも効率的に移動できる」という基点のことです。具体的には、センターラインとショートサービスラインが交わる少し後ろあたりが目安となります。
シングルスでは、相手にコートを広く使われるため、一打ごとにこのホームポジションに戻る意識を持つことが非常に大切です。打ったら打ちっぱなしになるのではなく、素早くホームポジションに戻ることで、相手の次のショットへの備えができます。これにより、反応が早くなり、厳しいコースに打たれたとしても追いつける可能性が高まるのです。
試合中は、常に自分がホームポジションからどれだけ離れているかを把握し、一打一打、丁寧に戻ることを心がけましょう。この地道な動きの繰り返しが、シングルスで粘り強く戦うための基礎体力と安定感を生み出します。
正しいフットワークを身につける
バドミントンは「足ニス」とも呼ばれるほど、フットワークが重要なスポーツです。特に、コート全体を一人でカバーしなければならないシングルスでは、効率的で素早いフットワークが勝敗を大きく左右します。
フットワークの基本は、コートの前後左右、6方向へのスムーズな移動です。
- 前への動き: 利き足から大きく一歩踏み込みます。頭の位置をなるべく動かさず、低い体勢を維持するのがコツです。
- 後ろへの動き: サイドステップやクロスステップを使い、落下地点に素早く入ります。半身になることで、体重の乗った強いショットが打ちやすくなります。
- 横への動き: サイドステップで素早く移動し、体勢を崩さずに打ち返します。
これらの動きをスムーズに行うためには、常に膝を軽く曲げて重心を低く保ち、いつでも動き出せる準備をしておくことが大切です。 毎日の練習でフットワークを取り入れ、体に覚え込ませることで、無駄な動きが減り、体力消耗を抑えながらラリーを続けられるようになります。
安定したショットを打つためのフォーム
どんなに良い戦術を考えても、それを実行するためのショットが安定していなければ意味がありません。特にシングルスでは、一球のミスが即失点に繋がるため、安定したフォームで正確にシャトルをコントロールする技術が求められます。
重要なのは、毎回同じフォームで打つことです。体の軸を意識し、手打ちになるのではなく、腰の回転や体重移動といった全身の力をラケットに伝えることを心がけましょう。特に、後ろに下がって打つクリアやスマッシュでは、しっかりと半身になってタメを作ることで、力強く安定したショットが打てるようになります。
また、ラケットの握り方(グリップ)も重要です。フォアハンドとバックハンドで握り方をスムーズに変えられるように練習しましょう。正しいフォームを身につけるには、素振り練習が効果的です。鏡の前で自分のフォームを確認したり、指導者にチェックしてもらったりしながら、体に覚え込ませていきましょう。
試合を有利に進める!シングルスの基本戦術

基本的な動きをマスターしたら、次は試合で勝つための「戦術」を学びましょう。シングルスは体力勝負の側面もありますが、頭を使って相手をどう動かすかを考えることで、格上の相手にも勝てる可能性が生まれます。ここでは、初心者でもすぐに実践できる基本的な戦術を3つご紹介します。
相手をコートの四隅に動かす
シングルスの戦術の基本中の基本は、相手をコートの四隅に大きく動かすことです。 人間は前後の動きよりも左右の動きに比較的弱いと言われており、特に対角線上を走らせることは非常に有効です。
例えば、以下のような配球が考えられます。
| 自分のショット | 相手を動かす方向 | 狙い |
|---|---|---|
| クリア(コート奥) | 後ろへ | 相手をコート後方に下げさせ、前方にスペースを作る。 |
| ドロップ(ネット前) | 前へ | 奥にいる相手を前に走らせ、体勢を崩させる。 |
| 左右への揺さぶり | 左右へ | 相手のフットワークを消耗させ、ミスを誘う。 |
このように、相手を前、後ろ、右、左と意図的に動かすことで、相手の体力を奪い、甘い返球を誘うことができます。 相手が疲れてくると、フットワークが遅れたり、ショットの精度が落ちたりするため、そこを狙って決め球を打ち込むのが理想的な勝ちパターンです。スマッシュのような一撃必殺のショットだけでなく、地道に相手を動かす組み立てが勝利につながります。
相手の苦手なコースを攻める
試合序盤は、相手のプレーをよく観察し、苦手なコースやショットを見極めることが重要です。 全ての選手に得意・不得意は必ず存在します。
例えば、
- バックハンド側が苦手そうか?
- フットワークは前後の動きと左右の動き、どちらが遅いか?
- 高い球(クリア)と低い球(ドライブ)、どちらの処理が苦手か?
など、相手の弱点を探しましょう。 そして、その苦手なコースを徹底的に攻めることで、相手にプレッシャーをかけ、ミスを誘発させることができます。 特に、多くの選手が利き腕と反対側の「バックハンド奥(ラウンド側)」を苦手としています。厳しいコースを狙えるコントロールがあれば、そこを重点的に狙うのは非常に効果的な戦術です。
緩急をつけた配球で的を絞らせない
常に同じようなスピードやコースにばかり打っていると、相手は次第に慣れてしまい、返球を予測されやすくなります。そこで重要になるのが、ショットに緩急をつけることです。
速いショット(スマッシュ、ドライブ)と遅いショット(ドロップ、クリア)を織り交ぜることで、相手のリズムを崩し、的を絞らせないようにします。例えば、速いスマッシュを打った直後に、ふわりとネット前に落とすドロップを打つと、相手はタイミングを合わせるのが難しくなります。
また、同じクリアでも、高く時間を稼ぐ「ハイクリア」と、低く速い軌道で相手を押し込む「ドリブンクリア」を使い分けるのも効果的です。 このように、様々な球種を組み合わせることで、相手の予測を上回り、試合の主導権を握ることができます。相手に「次は何を打ってくるかわからない」と思わせることが、シングルスの駆け引きの醍醐味です。
得点に繋がる!ショット別のコツと使い分け

戦術を組み立てるためには、様々なショットを正確に打ち分ける技術が必要です。ここでは、シングルスで特に重要となるショットの種類と、それぞれの打ち方のコツ、そして効果的な使い分けについて詳しく解説します。
高く奥へ返す「クリア」
クリアは、自陣のコート奥から相手コートの奥へと、シャトルを高く打ち上げるショットです。 これは守備の基本であり、相手に攻め込まれた際に体勢を立て直したり、ラリーを振り出しに戻したりするために使います。
- ハイクリア: 山なりの高い軌道で、時間を稼ぎたい時に使います。自分がコートの端に振られて体勢が苦しい時、このハイクリアを打つことで、ホームポジションに戻る時間を確保できます。
- ドリブンクリア: 低く速い軌道で、相手をコート奥に押し込みたい時に使います。相手の返球が甘くなった時などに使うと、相手の時間を奪い、攻撃のチャンスを作り出せます。
クリアを打つコツは、シャトルの下までしっかりと移動し、体の正面よりも少し前で捉えることです。肘を高く上げ、体全体を使ってしなやかにラケットを振り抜くことで、楽に遠くまで飛ばすことができます。
ネット際に落とす「ドロップ」と「カット」
ドロップとカットは、コートの奥からネット際にシャトルを沈めるショットで、相手を前に揺さぶるために非常に有効です。
- ドロップ: シャトルを打つ瞬間に力を抜き、シャトルの勢いを殺してネット際に落とします。クリアやスマッシュと同じフォームから打つことで、相手の意表を突くことができます。
- カット: シャトルをラケット面で切るように打ち、回転をかけて落とします。ドロップよりも球足が短く、鋭く沈むのが特徴です。
これらのショットは、相手を奥に追い込んだ後に使うと特に効果的です。 例えば、クリアで相手を後方に下げさせた直後にドロップを打つと、相手は大きく前後に動かされることになり、体力を消耗させることができます。スマッシュと同じフォームから打つことを意識し、相手にショットを読まれないようにすることが成功のポイントです。
決め球の「スマッシュ」
スマッシュは、高い打点から相手コートにシャトルを鋭く叩きつける、最も攻撃的なショットです。 シングルスでは、チャンスボールが上がってきた時に確実に決めるための重要な武器となります。
スマッシュのコツは、インパクトの瞬間にだけ力を集中させることです。 常に全力で打つのではなく、リラックスした状態から、手首のスナップを効かせて打ち込みます。打点をなるべく体の前に置き、体重を乗せて打つことで、より角度とスピードのあるスマッシュが打てます。
ただし、シングルスではスマッシュを打った後の返球(レシーブ)も一人で拾わなければなりません。むやみに連発すると体力を消耗し、カウンターを食らうリスクも高まります。相手の体勢を十分に崩し、「決まる」と判断した場面で使うことが大切です。
ネット前の攻防を制す「ヘアピン」と「ロブ」
ネット際の攻防は、シングルスの試合の流れを大きく左右します。 ここで使われるのが「ヘアピン」と「ロブ」です。
- ヘアピン: ネット際に落ちてきたシャトルを、相手コートのネットすれすれに返す繊細なショットです。 低く、かつ相手コートに近い位置に落とせれば、相手に攻撃的なショットを打たせにくくすることができます。
- ロブ(アゲる): ネット際から相手コートの奥深くまで、高くシャトルを上げるショットです。 相手にネット前に詰められて苦しい状況で、体勢を立て直すために使います。
ヘアピンの応酬になった際は、我慢比べになります。いかに相手よりも低く、厳しいコースに返せるかがポイントです。そして、相手がネット前に詰めてきたと判断したら、意表を突いてロブで奥に上げるなど、緩急をつけた配球が有効になります。
試合の主導権を握る!サーブ&レシーブのコツ

ラリーの始まりであるサーブと、それに対するレシーブは、試合の主導権を握る上で非常に重要な要素です。 ここでの一球の質が、その後のラリー展開を大きく左右します。サーブで相手を崩し、レシーブから攻撃に転じるためのコツを学びましょう。
相手の意表を突くサーブの種類と打ち分け
シングルスのサーブは、相手にスマッシュなどの強い球を打たせないことが基本となります。主に使われるのは以下の2種類です。
- ロングサーブ(ロングハイサービス): コートの奥深くまで、高くシャトルを打ち上げるサーブです。 相手を後ろに下げさせることができるため、攻撃的なレシー-ブを防ぎやすく、シングルスでは最も一般的に使われます。シャトルがエンドラインぎりぎりで、かつ垂直に落ちるのが理想です。
- ショートサーブ: ネットすれすれの低い軌道で、相手コートのサービスライン付近に落とすサーブです。 相手の意表を突くのに有効で、相手がロングサーブを待ち構えている時に使うと、相手の足を止めることができます。
試合では、基本的にロングサーブを主体にし、時折ショートサーブを混ぜることで、相手に的を絞らせないようにするのが効果的です。 常に同じサーブばかりだと相手に読まれてしまうため、コース(センター、サイド)や種類の打ち分けを意識しましょう。
甘いサーブを見逃さないレシーブの構え
サーブレシーブは、相手のサーブに対して最初にシャトルに触れる、非常に重要なプレーです。 ここで主導権を握れるかどうかで、ラリーの有利不利が大きく変わります。
レシーブの構えのポイントは以下の通りです。
- ラケットを立てて構える: すぐにラケットを出せるように、胸の前あたりでラケットを立てて準備します。
- 少し前傾姿勢で重心を低くする: 膝を軽く曲げ、いつでも動き出せるように重心をやや前にかけます。
- 利き手と反対の足を少し前に出す: 右利きなら左足を少し前に出すことで、前後左右への動き出しがスムーズになります。
この構えから、相手のサーブが甘く入ってきたら、すかさず攻撃に転じましょう。特に、中途半端な高さのロングサーブはスマッシュで叩く絶好のチャンスです。 常に攻撃的なレシーブを狙う意識を持つことが大切です。
レシーブから攻撃に繋げる意識
サーブレシーブは、ただ返すだけでなく、「次の一手で自分が優位に立つ」という意識を持つことが重要です。 相手のサーブの種類に応じて、効果的な返球コースを選択しましょう。
- ロングサーブに対して:
- クリア: 相手をさらに奥へ押し込む。
- ドロップ/カット: 奥で待っている相手を前に走らせる。
- スマッシュ: サーブが甘ければ、積極的に攻撃する。
- ショートサーブに対して:
- ヘアピン: ネット際に落とし、相手を前に誘い出す。
- プッシュ: ネットから浮いた甘いサーブは、素早く叩く。
- ロブ: 相手が前に詰めてくるのを読んで、奥へ上げる。
シングルスで勝つための練習方法

ここまで解説してきたコツや戦術を試合で実践するためには、日々の練習が不可欠です。ここでは、シングルスの実力を効果的に向上させるための具体的な練習メニューを3つ紹介します。
1対1のノック練習
ノック練習は、特定のショットやフットワークを反復して体に覚え込ませるための基本的な練習です。 シングルスの上達には、様々なパターンのノックが効果的です。
- パターンノック: 「フォア奥→フォア前→バック奥→バック前」のように、あらかじめ打つコースを決めて行います。これにより、特定のフットワークやショットのフォームを固めることができます。
- フリーノック: ノッカー(球出し役)にランダムなコースへシャトルを出してもらい、それを打ち返します。試合中のような予測不能な状況への対応力や判断力を養うことができます。
ノック練習のポイントは、常に本番の試合を意識して行うことです。一球一球、打った後は必ずホームポジションに戻ることを徹底し、フットワークを意識しながら取り組むことが重要です。
フットワーク強化トレーニング
シングルスで最後まで戦い抜くには、粘り強い足腰が欠かせません。フットワークは、シャトルを使わなくてもできる非常に重要なトレーニングです。
- 6点フットワーク: コートの四隅と両サイドの計6点に、順番に移動する練習です。これにより、コート全体をカバーするための基本的な足運びを習得できます。
- シャトル置き: コートの各所に置いたシャトルを、フットワークを使って拾い集め、また元の場所に戻すトレーニングです。ゲーム感覚で楽しみながら、持久力と俊敏性を鍛えることができます。
- ラダートレーニング: ラダー(縄ばしご状のトレーニング器具)を使って、ステップワークの正確性や敏捷性を高めます。
これらのトレーニングを継続することで、コートカバーリングの範囲が広がり、今まで追いつけなかったシャトルにも追いつけるようになります。
試合形式での実践練習
技術や戦術を学んだら、最後はやはり実践練習が最も重要です。練習仲間と積極的にゲーム形式の練習(シングルスのパターン練習や試合)を行いましょう。
- 条件付きゲーム: 「スマッシュは禁止」「クリアは2回まで」など、特定の条件をつけてゲームを行います。これにより、苦手なショットを克服したり、戦術の幅を広げたりすることができます。
- 半面シングルス: コートの半面のみを使ってラリーを行います。ラリーが続きやすくなるため、配球の組み立てや相手との駆け引きを集中して練習するのに効果的です。
試合形式の練習では、勝ち負けだけでなく、常に課題を持って取り組むことが大切です。例えば、「今日は相手を前後に動かすことを意識する」「バックハンド側を積極的に使う」といった目標を設定することで、練習の質が格段に向上します。
まとめ:バドミントンシングルスのコツを掴んで勝利を目指そう!

この記事では、バドミントンシングルスで勝つためのコツを、基本から戦術、ショットの使い分け、練習方法まで幅広く解説しました。
シングルス上達のポイントをまとめると以下のようになります。
- 基本の徹底: 常に「ホームポジション」を意識し、正しい「フットワーク」と安定した「フォーム」を身につける。
- 戦術的な思考: 相手を「四隅に動かす」ことを基本に、相手の「苦手なコース」を攻め、「緩急をつけた配球」で的を絞らせない。
- 多彩なショット: クリア、ドロップ、スマッシュ、ヘアピンなど、各ショットの目的を理解し、状況に応じて打ち分ける。
- 主導権を握る: サーブとレシーブで先手を取り、ラリーを有利に進める意識を持つ。
バドミントンのシングルスは、一朝一夕で上達するものではありません。しかし、今回ご紹介したコツを意識して日々の練習に取り組むことで、あなたのプレーは必ず進化します。まずは一つでも二つでも構いませんので、自分の課題を見つけて練習に取り入れてみてください。そして、試合では積極的にチャレンジし、駆け引きを楽しみながら勝利を目指しましょう。


