バドミントンのラケット選びにはこだわっても、グリップテープの厚さまで意識して選んでいる方は意外と少ないかもしれません。しかし、グリップはプレイヤーとラケットが接する唯一のポイントであり、その厚みが変わるだけでショットの精度や疲れにくさが大きく変化します。
この記事では、バドミントンのグリップテープにおける厚手と薄手の違いを分かりやすく解説します。手の大きさやプレイスタイルに合わせて、自分にぴったりの厚みを見つけるためのヒントをまとめました。グリップ選びで悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
バドミントンのグリップテープにおける厚手と薄手の違いとそれぞれの役割

グリップテープには大きく分けて「薄手」と「厚手」のタイプがあり、それぞれバドミントンのプレイに異なる影響を与えます。まずは、この両者が持つ基本的な性質の違いを理解しておきましょう。
操作性に直結する「薄手」の特徴
薄手のグリップテープは、一般的に「ウェットタイプ」と呼ばれるオーバーグリップに多く見られます。厚みが抑えられているため、ラケットのハンドル部分にある「八角形の角」を指先でダイレクトに感じられるのが最大の特徴です。これにより、繊細なラケットワークが可能になります。
バドミントンでは、瞬時にグリップの握り方を変えるシーンが多々あります。薄いグリップは指の感覚が伝わりやすいため、細かい角度の調整がしやすく、コントロール重視のプレイヤーに好まれる傾向があります。また、元のグリップの太さをほとんど変えずに使用できる点も魅力です。
ただし、クッション性が低いため、強いスマッシュを打った際の衝撃が手に伝わりやすいという側面もあります。手の皮が薄い方や、長時間の練習で手が痛くなりやすい方は、巻き方を工夫するか、後述する厚手タイプを検討すると良いでしょう。
クッション性と安定感の「厚手」の特徴
厚手のグリップテープは、それ自体に厚みがあるタイプや、衝撃吸収材が内蔵されたタイプを指します。一番のメリットは高いクッション性によるホールド感の向上です。握ったときに手に吸い付くような感覚があり、少ない力でもしっかりとラケットを保持できます。
厚みがあることで、打球時の振動が手に伝わりにくくなり、手首や肘への負担を軽減する効果も期待できます。特にパワーヒッターの方は、力一杯スイングした際の衝撃をグリップが吸収してくれるため、怪我の予防にもつながります。握った時のソフトな感触を好むプレイヤーには最適です。
一方で、グリップが太くなる分、指先での細かい操作はやや難しくなる場合があります。ハンドルの角が丸まって感じられるため、面を作る感覚を重視する方は、厚くなりすぎないよう注意が必要です。
そもそも「厚さ」がプレイに与える影響とは
グリップの厚さが変わると、スイングのしやすさや打球感に大きな変化が現れます。グリップを細く(薄く)すると、手首の可動域が広がりやすくなり、素早いラケットワークが可能になります。逆にグリップを太く(厚く)すると、握り心地に安定感が生まれ、パワーを伝えやすくなります。
このように、厚手と薄手の違いは単なる「好み」だけでなく、パフォーマンスに直結する重要な要素です。自分の手が大きいのか小さいのか、力強いショットを打ちたいのか、それとも細かなネット際を制したいのかによって、選ぶべき厚みは変わってきます。
初心者のうちは標準的な厚さからスタートし、練習を重ねる中で「もう少ししっかり握りたい」「もっと指を動かしやすくしたい」といった自分の感覚に合わせて微調整していくのが上達への近道です。
薄いグリップテープを選ぶメリットと向いている人の特徴

薄いグリップテープは、特に操作性を重視する中・上級者や、手のサイズに悩みを持つプレイヤーに多くのメリットをもたらします。どのような場面でその真価を発揮するのか詳しく見ていきましょう。
ラケットの角を感じやすく繊細なタッチが可能
薄いグリップテープを使用する最大の利点は、ラケットハンドルの形状がはっきりと指に伝わることです。バドミントンのラケットは断面が八角形になっており、この「角(カド)」を意識することで、シャトルに対する面の向きを正確に把握できます。
特にヘアピンやクロスネットといった、ミリ単位のコントロールが求められるネット前のプレイにおいて、この繊細な感覚は大きな武器になります。グリップが薄いほど指先での「転がし」や「握り込み」の微調整が効くため、多彩なテクニックを駆使したいプレイヤーには欠かせない選択肢となります。
また、グリップの握り替え(フォアハンドからバックハンドへの切り替え)もスムーズに行えます。ダブルスの速い展開の中で、一瞬の判断を形にするためには、薄いグリップによる高い操作性が有利に働きます。
手のサイズが小さい人やジュニア選手に最適
手のサイズが小さい方やジュニア選手にとって、グリップが太すぎることは大きなハンデになります。手が小さいのに厚手のテープを巻いてしまうと、しっかりと握り込むことができず、スイングの安定性が損なわれたり、ラケットを飛ばしてしまったりする危険があるからです。
薄手のグリップテープを選べば、ラケット本来の細さを活かしたまま使用できるため、無理なく握ることができます。自分の手の大きさに合った太さに調整しやすいのも、薄手テープならではの利点です。市販のラケットが少し太いと感じる場合は、まずは薄手のテープを重なりを少なくして巻いてみることをおすすめします。
適切な太さで握ることは、無駄な握力を使わないことにも繋がります。これにより、前腕の疲れを軽減でき、最後まで精度の高いショットを打ち続けることが可能になります。成長期のジュニア選手には、手の負担を考えた適切な厚み選びが重要です。
軽い握り心地でスイングスピードを維持しやすい
グリップが薄いと、ラケット全体としての重量増加を最小限に抑えられます。わずかな差に思えるかもしれませんが、高速で振るバドミントンのスイングにおいて、手元の重量感は振り抜きの良さに影響を与えます。
また、グリップが細いと「遊び」がある分、手首を柔軟に使いやすくなるというメリットもあります。リストスタンド(手首を立てる形)をキープしやすく、コンパクトな振りで鋭い球を打ちたい場面で効果を発揮します。スイングスピードを重視し、キレのあるショットを目指す方には薄いタイプが向いています。
ただし、滑りやすさを感じた場合はすぐに交換する必要があります。薄手のタイプは耐久性がそれほど高くないものも多いため、常に最高のフィット感を得るためには、こまめなメンテナンスを心がけましょう。
薄いグリップテープがおすすめな人
・ネット前での繊細なラケットワークを重視する人
・手が小さく、太いグリップだと握りにくいと感じる人
・手首を柔らかく使って、速いラリーに対応したい人
厚手のグリップテープが持つ魅力と機能的な効果

一方で、厚手のグリップテープには、身体への優しさやパワーの伝達といった、薄手にはない魅力が詰まっています。ハードな練習をこなすプレイヤーや、力強いプレイを信条とする方には非常に強力なサポートとなります。
手への衝撃を和らげて怪我の予防につながる
厚手のグリップテープを使用する大きな理由の一つに、衝撃吸収性の高さが挙げられます。激しい打ち合いが続くバドミントンでは、インパクトの瞬間に手首から肩にかけて大きな振動が伝わります。厚手のテープはこの振動をクッションのように受け止める役割を果たしてくれます。
特に冬場の寒い時期や、カーボンが硬い上級者向けラケットを使用している場合、手にかかる負担は想像以上に大きくなります。厚手のグリップを選ぶことで、腱鞘炎やテニス肘(バドミントンでも起こります)のリスクを低減させることができます。手の平にかかる圧力が分散されるため、マメができやすい人にも非常に有効です。
長くバドミントンを楽しむためには、パフォーマンス向上と同じくらい「体の保護」も大切です。もしプレイ後に手にしびれや痛みを感じることがあるなら、グリップを厚手のタイプに変えてみる価値は十分にあります。
手が大きい人でもしっかり握れてパワーが伝わりやすい
手の大きなプレイヤーにとって、標準的な細さのグリップは心もとなく感じることがあります。厚手のテープを巻いてグリップを太くすることで、掌全体でしっかりとラケットをホールドできるようになり、安心感が格段に増します。
しっかりと握れるようになると、スイングの力がロスなくシャトルに伝わるようになります。特にスマッシュなどの強打の際、グリップが細すぎると手の中でラケットが微妙に動いてしまうことがありますが、適切な厚みがあればしっかりと固定でき、破壊力のあるショットを叩き込めます。
力いっぱい握らなくてもラケットが安定するため、肩や腕の力を抜いた「脱力」した状態から、インパクトの瞬間だけ力を入れるというバドミントンの理想的な体の使い方がしやすくなるのもメリットです。
吸水性が高く長時間の練習でも滑りにくい
多くの厚手グリップテープは、素材自体に厚みがあるため、水分を蓄えるキャパシティが大きくなっています。汗をかきやすい季節や、ハードな練習メニューをこなす際でも、汗を素早く吸収し、表面のドライ感を保ってくれるのが強みです。
薄手のテープだと、汗をかきすぎると吸収しきれずに表面がヌルヌルと滑ってしまうことがありますが、厚手のタイプ(特にタオルグリップや厚手の不織布タイプ)はその不安を解消してくれます。滑りを気にせずプレイに集中できることは、メンタル面でも大きなプラスになります。
また、厚手タイプの中には凸凹(デコボコ)加工が施されたものもあり、これが指に引っかかることでさらなる滑り止め効果を発揮します。汗っかきでラケットが手の中で回ってしまうことに悩んでいる方は、吸水性と厚みのあるタイプを試してみてください。
プレイスタイルや悩み別に合わせた厚さの選び方

「薄手と厚手、どちらが良いか」に唯一の正解はありません。自分の現在のプレイスタイルや、抱えている悩みに合わせて最適なものを選ぶことが大切です。ここでは具体的なケースに分けた選び方のガイドラインを紹介します。
ネット前のテクニック重視なら薄めがおすすめ
ダブルスの前衛でトリッキーなショットを打ちたい、あるいはシングルスで正確なカットやヘアピンを武器にしたいという方は、薄めのグリップを優先的に選びましょう。指先のセンサーを研ぎ澄ませるためには、ラケットのシャフトから伝わる情報を遮断しすぎないことが重要だからです。
具体的には、厚さ0.5mm〜0.6mm程度のウェットタイプのオーバーグリップが定番です。これを、重なりを少なめにして巻くことで、ハンドルの形状を最大限に活かせます。もし、それでも少し太いと感じる場合は、元グリップを剥がしてアンダーラップ(薄いスポンジ状のテープ)を少量巻き、その上から直接オーバーグリップを巻く方法も検討してみてください。
操作性を突き詰めるプレイヤーの中には、あえてかなり細く仕上げる人もいます。ただし、細すぎると今度は手が疲れやすくなるため、自分の限界点を見極めるのがコツです。
強力なスマッシュを打ちたいなら適度な厚みが必要
後衛からパワフルなスマッシュでエースを取りたいという方や、シングルスで力強いクリアを飛ばしたい方は、ある程度の厚みを持たせた方が有利です。グリップに適度なクッション性があると、握り込んだ時の「タメ」が作りやすくなり、インパクトのパワーを最大化できるからです。
おすすめは、厚さ0.7mm以上のものや、凸凹がついたタイプです。また、薄手のテープを巻く際に、あえて重なる部分を多くして厚みを出すという手法も有効です。こうすることで、全体的にソフトな握り心地になり、フルスイングしても手が痛くなりにくくなります。
パワー重視の場合でも、あまりに太すぎて指が回らないようでは逆効果です。親指と中指が軽く触れるか、少し隙間が空く程度の太さを目安に、グリップテープの厚みで調整してみてください。
練習量が多くて手のマメや痛みが気になる場合の対策
毎日部活動で練習している学生や、週に何度もコートに立つ熱心なプレイヤーにとって、手の痛みやマメは深刻な悩みです。この場合は、迷わず厚手のグリップテープ、もしくはクッション性の高い組み合わせを選択しましょう。
痛みの原因の多くは、グリップが硬すぎることや、滑りやすいグリップを無理な力で握りしめていることにあります。厚手のテープに変えるだけで、手にかかる摩擦と圧迫が劇的に軽減されます。特に、タオルグリップなどは汗を吸うと柔らかくなり、マメの防止に高い効果を発揮します。
また、グリップテープをこまめに交換することも重要です。古くなってカチカチに固まったグリップテープはクッション性がゼロになり、手に大きな負担をかけます。「少し滑るな」「クッションがへたってきたな」と感じたら、我慢せずに巻き替えるのが手の健康を守るポイントです。
| プレイスタイル | 推奨する厚み | 得られるメリット |
|---|---|---|
| テクニシャン・前衛 | 薄手(0.6mm以下) | 操作性・タッチ感の向上 |
| パワーヒッター・後衛 | 厚手(0.7mm以上) | ホールド感・パワー伝達 |
| 手の痛み・マメ対策 | クッション・タオル | 衝撃吸収・負担軽減 |
グリップの厚さを自分でカスタマイズする具体的な方法

市販のグリップテープをそのまま巻くだけでなく、少し工夫を加えるだけで自分専用の究極の握り心地を作ることができます。ここでは、厚みを調整するためのテクニックをいくつか紹介します。
アンダーラップを巻いて太さをミリ単位で調節する
多くのトッププレイヤーも実践しているのが、「アンダーラップ」を活用した調整術です。アンダーラップとは、怪我のテーピングの下に巻く薄いスポンジのようなテープのことです。これをラケットの木製ハンドルの上に巻くことで、グリップの太さを自由に変えられます。
アンダーラップを巻く最大の利点は、「少しだけ太くしたい」という絶妙な要望に応えられる点です。2周巻くのと3周巻くのでは、握り心地がはっきりと変わります。また、スポンジ状なので非常に軽量で、太くしてもラケットが重くなりすぎないというメリットもあります。
この上に好みの薄手のグリップテープを巻けば、自分にとって「細すぎず、太すぎない」ベストな太さが完成します。一度巻いてみて違和感があれば、アンダーラップを剥がして巻き直すだけなので、初心者の方でも気軽に挑戦できます。
重ね具合(ラップの幅)を変えて好みの握り心地を作る
特別な道具を使わなくても、グリップテープを巻く際の「重ねる幅」を意識するだけで厚みは変わります。通常、グリップテープは前の周の端に少し重ねて巻いていきますが、この重なる面積を多くすれば厚手に、少なくすれば薄手に仕上がります。
例えば、グリップの下側(エンドキャップ側)はしっかり握りたいので重なりを多めにして厚くし、上側(シャフト側)は操作性を出すために薄めに巻く、といったカスタマイズも可能です。自分の手のひらがどの部分に強く当たっているかを分析し、場所によって厚みを変えてみるのも面白いでしょう。
ただし、あまりに重ねすぎるとテープが足りなくなってしまうことがあります。長い距離を巻く必要がある場合は、ロングサイズのグリップテープを選ぶか、2本のテープを繋げて使うといった工夫が必要になります。
元グリップを残すか剥がすかによる違い
ラケットを購入した際に最初から巻かれている「元グリップ(リプレイスメントグリップ)」をどう扱うかも、厚み調整の大きなポイントです。元グリップを残したままオーバーグリップを巻くと、当然ながらグリップは太くなります。クッション性は高まりますが、細かい操作性はやや低下します。
一方、よりダイレクトな感触を求めるプレイヤーは、思い切って元グリップを剥がしてしまいます。木製ハンドルに直接アンダーラップを巻き、その上からグリップテープを巻くことで、市販の状態よりも細く、かつ角を立たせたグリップを作ることができます。
一度剥がしてしまうと元に戻すのが少し大変ですが、ラケットを自分の道具として「育てる」楽しさがあります。細めのグリップを試してみたい方は、ぜひ元グリップを剥がすカスタマイズも視野に入れてみてください。
元グリップを剥がすと、ハンドル内の木材に汗が染み込みやすくなります。アンダーラップを巻くことで、汗の侵入を防ぎ、木材の腐食を防止する効果もあるので、必ず併用するようにしましょう。
バドミントングリップテープの厚手・薄手の違いを活かしてスコアアップ
バドミントンのグリップテープは、単に汚れを防ぐためのものではなく、あなたのパフォーマンスを引き出すための重要なパーツです。今回解説した「厚手」と「薄手」の違いを整理すると、操作性重視なら薄手、安定性と体への優しさ重視なら厚手というのが基本の考え方になります。
自分に合う厚みを見つけるためには、まず自分が現在のプレイで何に困っているかを振り返ってみてください。「スマッシュが浮いてしまう」「レシーブが間に合わない」「手がすぐに疲れる」といった悩みは、グリップの厚みを変えるだけで解決することがあります。まずはいつもと違う厚みのテープを一種類買ってみることから始めましょう。
また、季節によって厚みを変えるのも賢い方法です。乾燥して手が滑りやすい冬はフィット感のある厚手、汗を大量にかきやすい夏は吸水性の高いタオルグリップや薄手のウェットタイプをこまめに替えるなど、環境に合わせた選択も重要です。
グリップテープは消耗品ですが、だからこそ何度でも試行錯誤が可能です。自分にとっての「魔法の太さ」を見つけ出すことができれば、今まで届かなかったシャトルに手が届き、決まらなかったショットが鋭く突き刺さるようになるはずです。ぜひ色々な厚みを試して、最高のバドミントンライフを楽しんでください。




