バドミントンのプレーにおいて、ラケットの性能を最大限に引き出すために欠かせないのが「ガット(ストリング)」の選択です。多くのプレーヤーが悩むのが、ガットの太さとそれに伴う打球音の違いではないでしょうか。
「パキーン」という高い打球音に憧れる方もいれば、耐久性を重視して太いガットを選ぶ方もいます。実は、ガットの太さは音だけでなく、シャトルの飛びやコントロール性能、さらには肘や肩への負担にまで大きく影響します。
この記事では、バドミントンのガットの太さが打球音や性能にどのような違いをもたらすのか、初心者の方にもわかりやすく解説します。自分にぴったりのガットを見つけるための基準として、ぜひ参考にしてください。
バドミントン ガットの太さと打球音の違いがプレーに与える影響

バドミントンのガット選びにおいて、太さは性能を決定づける最も重要な要素の一つです。一般的にガットの太さは0.61mmから0.70mm程度の範囲で展開されており、わずか0.01mmの差でも打球感は大きく変わります。まずは、太さが変わることで音や感覚がどう変化するのか、その基本を見ていきましょう。
打球音が高いとなぜ気持ちいい?音の正体と心理的効果
バドミントンをプレーしていて、芯で捉えた時の「高い金属音」は非常に爽快です。この打球音の高さは、主にガットの細さと張力(テンション)によって決まります。細いガットは空気抵抗が少なく、シャトルを弾く際の振動が速くなるため、高音が出やすくなるという仕組みです。
高い音はプレーヤーに「しっかり飛んでいる」という視覚以外のポジティブなフィードバックを与えます。これによりリズムが良くなり、メンタル面でも強気なプレーができるようになる効果があります。特に0.65mm以下の細いガットは、スマッシュを打った際の音が際立ちます。
ただし、音が良いからといって必ずしもスピードが出ているとは限りませんが、音による爽快感はモチベーション維持に大きく貢献します。自分が打っていて気持ちの良い音が出るガットを選ぶことは、上達への近道とも言えるでしょう。
太いガットと細いガットの構造的な違い
バドミントンガットは、芯となる「芯糸(コア)」とその周りを覆う「側糸(ブレーディング加工)」で構成されています。太いガットはこの側糸が厚かったり、芯糸自体が太かったりすることで、摩耗に強く作られています。逆に細いガットは、材料を極限まで削ぎ落として反発力を高めています。
太いガットは表面積が広いため、シャトルとの接触時間がわずかに長くなります。これにより、球を「掴む」ような感覚が得られやすくなります。一方で細いガットは接触時間が短く、瞬時に弾き出す性質を持っています。この構造の違いが、そのまま打球感の違いとして現れるのです。
また、細いガットは表面が滑らかで空気抵抗が少ないため、ラケットの振り抜き自体も軽く感じることがあります。反対に太いガットは、その重厚な構造ゆえに安定感があり、パワープレーヤーに好まれる傾向にあります。
打球感(フィーリング)と音の関係性
「打球感」とは、シャトルがガットに当たった瞬間に手に伝わる感触のことです。打球音が高いガットは、手に伝わる感覚も「硬く、鋭い」ものになることが多いです。これは振動がダイレクトに伝わりやすいため、繊細なタッチを求めるプレーヤーに適しています。
一方で、打球音が低い(鈍い)ガットは、手に伝わる感覚が「柔らかく、重い」ものになります。シャトルの重さを感じながら押し出すような打ち方をする場合、太くて音が落ち着いているガットの方が制御しやすいと感じるでしょう。
このように、音と感触は密接に関係しています。自分が「弾き」を重視したいのか、それとも「ホールド感」を重視したいのかによって、選ぶべきガットの太さと、それに付随する打球音の好みが決まってきます。
ガットの太さによる一般的な特徴の違い
| 特徴 | 細いガット(0.65mm以下) | 太いガット(0.68mm以上) |
|---|---|---|
| 打球音 | 高い・金属音 | 低い・鈍い音 |
| 反発力 | 非常に高い | 標準的 |
| 耐久性 | 低い(切れやすい) | 高い(長持ち) |
| コントロール | 弾きを活かした速い展開 | 安定したコース打ち |
細いガット(0.65mm以下)の特徴とメリット・デメリット

最近のバドミントン界では、反発力を重視した細いガットが主流になりつつあります。特に中級者以上のプレーヤーや、非力な女性・ジュニア層からも支持されています。細いガットが持つ独自の魅力と、使用する際に注意すべき点について深掘りしていきましょう。
鋭い打球音と圧倒的な反発力
細いガットの最大のメリットは、何といってもその「弾き」の良さです。0.61mmや0.63mmといった超極細ガットは、シャトルが当たった瞬間に凄まじい速度で復元し、シャトルを前方に弾き飛ばします。このスピード感は、一度味わうと病みつきになるほどです。
打球音も非常に高く、「キンッ」という鋭い音がコートに響き渡ります。この高音は相手にとってもプレッシャーとなり、ショットの速度以上に速さを感じさせる効果があります。ドライブなどの速い展開において、最小限のコンパクトなスイングでシャトルを飛ばせるのは大きな強みです。
また、反発力が強いため、クリアーが飛ばずに悩んでいる方にとっても、細いガットは大きな助けとなります。力を入れすぎなくても奥までしっかり飛ばせるため、無駄な力みが取れてフォームの改善にもつながるでしょう。
少ない力でシャトルを飛ばせる操作性
ガットが細いと空気抵抗が軽減されるため、ラケットの操作性が向上します。ダブルスの前衛での素早いラケットワークや、レシーブ時の咄嗟の反応において、この「軽さ」は有利に働きます。また、インパクトの瞬間の反発が鋭いため、手首の返し(リストスタンド)だけで十分な距離を出せます。
筋力がまだ未発達なジュニア選手や、女性プレーヤーにとって、細いガットは「楽に飛ばせる」魔法のような存在です。無理に大振りする必要がなくなるため、スタミナの消耗を抑えることができ、試合後半まで安定したショットを打ち続けることが可能になります。
ただし、操作性が良い反面、しっかりと面を作れていないとシャトルがあらぬ方向に飛んでしまう繊細さも持ち合わせています。高い反発性能を制御するための正確なミート力も、同時にもとめられることになります。
耐久性の低さとメンテナンス頻度
細いガットを語る上で避けて通れないのが、耐久性の低さです。文字通り「細い」ため、摩擦や衝撃に弱く、太いガットに比べると格段に切れやすくなります。特に寒い冬場や、ミスショットでフレーム寄りの位置(オフセンター)で打ってしまった際には、一発で切れてしまうことも珍しくありません。
張り替え頻度が高くなるため、コストパフォーマンスの面では太いガットに劣ります。週に何度も練習するハードなプレーヤーであれば、数日から1週間で切れてしまうこともあるでしょう。そのため、予備のラケットを必ず常備しておく必要があります。
また、細いガットは「テンションの維持」も難しい傾向にあります。伸びやすいため、張った直後の良い感覚が長続きしにくいのが難点です。常に最高のコンディションでプレーしたい場合は、切れていなくても定期的に張り替えるメンテナンス意識が重要になります。
太いガット(0.68mm以上)の特徴とメリット・デメリット

細いガットが流行する一方で、トッププレーヤーの中にもあえて太いガットを愛用する人は少なくありません。そこには、太いガットでしか得られない「安定感」と「信頼性」があるからです。ここからは、太いガットが持つ実戦的なメリットを解説します。
重厚な打球音と安定したコントロール性能
太いガットを張ったラケットでシャトルを打つと、「バシッ」という力強く重みのある音がします。この音は、シャトルがガットにしっかりと乗っている証拠でもあります。打球音が落ち着いている分、自分のショットを冷静にコントロールしている感覚を得やすくなります。
コントロール性能の面では、太いガットに軍配が上がります。シャトルが当たっている時間が細いガットよりもわずかに長いため、ヘアピンやクロスドロップといった繊細なタッチが要求されるショットにおいて、意図したコースへ運びやすくなるのです。
また、強打した際にもガットが負けることなくシャトルを受け止めてくれるため、スマッシュの軌道が安定します。「弾きすぎてコントロールしにくい」と感じている方は、あえて太めのガットを選択することで、ショットの精度が劇的に改善することがあります。
ガットが切れにくい抜群の耐久性
太いガットの最大の武器は、その圧倒的な耐久性です。0.70mmのガットは非常に頑丈で、多少のミスショットや激しいスマッシュの連打でも、簡単には切れません。練習量が多い学生プレーヤーや、コストを抑えたい社会人プレーヤーにとって、非常に経済的な選択肢となります。
耐久性が高いということは、ガットの張力が落ちるスピードも比較的緩やかであるというメリットも生みます。一度張れば長期間同じような感覚で練習できるため、感覚のズレが生じにくいのが特徴です。張り替えに行く手間を減らせるのも、忙しい方には嬉しいポイントでしょう。
ただし、長持ちするからといって数ヶ月放置してしまうと、ガットの弾力性(コシ)が失われてしまいます。表面は切れていなくても、中身の繊維が劣化している場合は、早めに張り替えることで本来の性能を取り戻せます。
スマッシュの威力とホールド感(球持ち)
太いガットは、自分の筋力や体重をシャトルに乗せて打ち込むスタイルに適しています。細いガットのような「勝手に飛んでいく」感覚ではなく、自分のパワーがしっかりとシャトルに伝わり、重いスマッシュを放つことができます。
この感覚を「ホールド感(球持ち)」と呼びます。ガットがシャトルを一度包み込み、そこから押し出すようなイメージです。この感触を好むハードヒッターは多く、特にパワーに自信がある男性プレーヤーには0.68mm〜0.70mmの太さが根強い人気を誇ります。
欠点としては、細いガットに比べて「振りの重さ」や「反発の鈍さ」を感じる場面があることです。レシーブ時などの受け身のプレーでは、しっかり振り抜かないとシャトルが飛ばないため、ある程度の筋力やスイングスピードが求められることになります。
自分に合ったガットの太さを選ぶための3つのポイント

ガットの太さによる違いを理解したところで、実際に自分がどの太さを選ぶべきか、その判断基準を整理していきましょう。自分のレベルやスタイルを客観的に見つめ直すことで、最適な選択ができるようになります。
プレースタイル(攻撃型・守備型)で選ぶ
まずは自分の理想とするプレースタイルを考えてみましょう。もしあなたが、後衛からの鋭いスマッシュや、ドライブでの速い攻防を得意とする攻撃的なスタイルなら、0.65mm〜0.66mm程度の中細ガットがおすすめです。攻撃力を損なわず、スピードで相手を圧倒できます。
一方で、正確なレシーブで粘り、相手のミスを誘う守備的なスタイルや、ヘアピンなどのネットプレーで組み立てるタイプなら、0.68mm以上の太めが適しています。安定したコントロール性能が、あなたの堅実なプレーをさらに支えてくれるはずです。
もちろん、攻撃型であっても「とにかくスマッシュに重さを出したい」なら太めを、守備型であっても「レシーブをもっと楽に飛ばしたい」なら細めを選ぶという戦略的な選択もあり得ます。今の自分に足りない要素を補う視点で考えてみてください。
自分の筋力やスイングスピードに合わせる
ガットの太さは、自分の体格やパワーとの相性も重要です。スイングスピードが非常に速い上級者は、細いガットを使うとパワーが伝わりすぎる前に弾いてしまうことがあります。そのため、少し太めのガットに高めのテンションをかけることで、パワーとスピードのバランスを取ることが多いです。
逆に、まだスイングが安定していない初心者や、筋力に自信がない方は、細いガットの反発力を借りるのが得策です。太いガットではシャトルを飛ばしきれず、無理に力んでフォームを崩したり、手首を痛めたりするリスクがあるからです。
もし、現状のラケットで「飛ばすのがしんどい」と感じているなら、一度ガットを一段階細くしてみましょう。それだけで、今まで届かなかったクリアーが楽に奥まで届くようになるかもしれません。自分の力を効率よくシャトルに伝えるための補助ツールとして、ガットの太さを調整しましょう。
経済性と張り替え頻度のバランスを考える
現実的な問題として、お財布事情も無視できません。細いガットは素晴らしい性能を持っていますが、頻繁に切れてしまうと張り替え工賃やガット代がかさみます。学生の方や、練習頻度が非常に高い方は、耐久性の高い太めのガット(0.70mmなど)をメインに使うのが賢明な判断となる場合もあります。
「試合前だけ細いガットにして、普段の練習は太いガットにする」という使い分けをするプレーヤーもいますが、これはあまりおすすめしません。太さが変わると打球感や飛距離が変わってしまうため、肝心の試合で感覚が狂ってしまう原因になるからです。
理想は、年間を通じて使い続けられる「コストと性能のバランス点」を見つけることです。例えば、耐久性と反発力のバランスが良い0.68mm付近のガットから試してみて、自分の切れる頻度を確認しながら太さを微調整していくのが、最も効率的な探し方です。
ガットのテンション(張力)と太さの組み合わせ術

ガットの太さを決めるのと同時に考えなければならないのが「テンション(張力)」です。太さとテンションは掛け算のような関係にあり、この組み合わせ次第で、ラケットの性格は180度変わります。ここでは、初心者が失敗しないための組み合わせ例をご紹介します。
細いガット×高テンションの相性
上級者に多いのが、細いガット(0.65mm以下)を高いテンション(26ポンド以上)で張る組み合わせです。これは極限まで「弾き」と「音」を追求したセッティングです。金属を叩くような高い打球音と、触れた瞬間にシャトルが飛んでいく超高速のレスポンスが得られます。
しかし、この組み合わせはスイートスポット(芯)が非常に狭くなり、芯を外した時の衝撃が腕にダイレクトに伝わります。さらに、ガットへの負担が最大になるため、非常に切れやすくなるというリスクも伴います。
高い技術とパワーを兼ね備えたプレーヤーにとっては強力な武器になりますが、初心者の方が真似をすると、シャトルが飛ばないばかりか怪我の原因にもなりかねません。憧れの設定ではありますが、自分のレベルに合わせて慎重に検討しましょう。
太いガット×中テンションの扱いやすさ
多くのプレーヤーにとって最も扱いやすく、バランスが良いのが「太めのガット(0.68mm〜0.70mm)を20〜24ポンド程度で張る」組み合わせです。ガットが持つ耐久性と、適度なテンションによる「たわみ」が、シャトルをしっかり運ぶ感覚を生み出します。
このセッティングの良さは、ミスショットに対する許容範囲の広さです。芯を少し外してもガットが衝撃を吸収してくれるため、安定してシャトルを返すことができます。また、打球音もマイルドで、自分の打球を落ち着いて確認しながらプレーを組み立てるのに適しています。
まずはこの標準的な組み合わせからスタートし、「もっと弾きが欲しい」と感じたらガットを細くする、「もっと硬い打球感が欲しい」と思ったらテンションを上げるといった具合に、一つずつ変えていくのが自分好みの設定を見つけるコツです。
初心者がまず試すべき太さと強さの目安
「結局、どれを張ればいいの?」と迷っている初心者の方には、以下の目安を参考にすることをおすすめします。これはいわゆる「王道のセッティング」であり、ここを基準にすることで、自分の好みがどちらに寄っているかを判断しやすくなります。
初心者への推奨設定:
・ガットの太さ:0.68mm 〜 0.70mm
・テンション:18ポンド 〜 22ポンド
最近は初心者の方でも細いガットを選ぶ傾向がありますが、まずは「シャトルを遠くまで飛ばす感覚」を身につけることが先決です。そのためには、耐久性があり、適度なホールド感がある太めのガットの方が、基礎技術の習得に役立ちます。
半年から1年ほど練習を続け、自分のスイングが固まってきたと感じたら、0.66mmなどの少し細めのガットに挑戦してみましょう。その時に感じる「打球音の違い」や「飛び方の変化」こそが、自分の成長を実感できる瞬間でもあります。
まとめ:バドミントン ガットの太さと打球音を知って理想の1本へ
バドミントンのガットの太さは、打球音だけでなく、あなたのプレーそのものを左右する重要な要素です。細いガットは、高い金属音と鋭い反発力をもたらし、スピード感あふれるプレーをサポートしてくれますが、耐久性が低いという側面もあります。一方、太いガットは、重厚な打球音と安定したコントロール性能、そして抜群の長持ちさを誇り、パワープレーや安定した組み立てを支えます。
自分のプレースタイルは攻撃的なのか守備的なのか、今の筋力で無理なく飛ばせているか、そして張り替えのコストをどう考えるか。これらのポイントを総合的に判断して、ガットを選んでみてください。最初は標準的な0.68mm〜0.70mmから始め、徐々に自分に合った「音」と「感触」を探っていくのがおすすめです。
ガット選びに正解はありません。自分にとって一番気持ちよく、自信を持って振り抜ける太さと打球音を見つけること。それが、バドミントンをもっと楽しく、もっと上達させるための第一歩です。次の張り替えの際は、ぜひいつもと違う太さを試して、その違いを肌で感じてみてください。



