バドミントンの試合で左利きの選手と対戦するとき、いつも通りのプレーができずに戸惑った経験はありませんか。多くのプレーヤーが右利きであるため、いざサウスポーを相手にすると、シャトルの軌道や飛んでくる角度が全く異なり、自分のリズムを崩されがちです。
この記事では、バドミントンの左利き対策や効果的な攻め方について、初心者から中級者まで分かりやすく解説します。左利き特有の強みを知り、その裏にある弱点を突く戦略を身につけることで、苦手意識を解消しましょう。適切な配球や意識の持ち方を変えるだけで、試合展開は劇的に変わります。
サウスポーとの対戦は、決して怖いものではありません。むしろ、対策をしっかり立てておけば、相手の意表を突くチャンスにもなります。この記事を通して、左利き選手を相手に主導権を握るための具体的なテクニックを一緒に学んでいきましょう。
バドミントンで左利き対策が難しい理由と基本の攻め方

バドミントンにおいて左利き対策が難しいとされる最大の理由は、右利き同士の対戦で染み付いた「当たり前の感覚」が通用しないからです。普段、無意識のうちに相手のバックハンドを狙っているショットが、左利き相手にはフォアハンドになってしまうといった逆転現象が起こります。
まずは、なぜ私たちが左利きを苦手と感じるのか、そのメカニズムを整理しましょう。その上で、基本となる攻め方の考え方を身につけることが、攻略の第一歩となります。相手のペースに飲まれる前に、まずは冷静にコートの状況を再確認することが重要です。
鏡合わせの構図による視覚的な違和感
バドミントンで左利きの選手と向き合うと、まるで鏡を見ているような状態になります。右利き同士であれば、自分がクロス(斜め方向)に打てば相手のバックハンド側に飛ぶことが多いですが、相手が左利きだとそこには強力なフォアハンドが待っています。
この視覚的なズレは、判断の遅れを招きます。普段なら「ここに打てばチャンスになる」という予測が外れるため、脳が一瞬混乱してしまうのです。この違和感を解消するには、「相手のラケットがどちらの手にあるか」を常に視界の端で捉え続ける意識が欠かせません。
また、左利きが打つシャトルの回転(コルクの回転方向の影響)も、右利きとは微妙に異なります。特にカットやリバースカットの軌道が逆になるため、予測していた落下地点からシャトルが逃げていくような感覚に陥ることがあります。まずはこの「逆の世界」に慣れることが大切です。
左利き特有のクロスカットとドリブンの脅威
左利き選手と対戦する際、多くの右利きプレーヤーが苦戦するのが、相手のフォアハンドから放たれるクロスカットやドリブンです。左利きが打つフォアのクロスは、右利きのバックハンド側、かつサイドライン際へと鋭く刺さってきます。
このコースは、右利きにとって最も反応しにくく、返球が甘くなりやすいポイントです。逆に言えば、左利き選手はこのコースを最大の武器として練習しています。そのため、無防備に相手のフォアハンドに甘い球を上げてしまうと、一気に攻め立てられてしまいます。
対策としては、まず相手の得意な角度を知ることです。左利きは右利きよりも「外側に逃げていくショット」を打つのが得意な傾向があります。この軌道に対して、あらかじめ半歩ほどバック側に重心を置いて構えるなど、守備位置を微調整する工夫が求められます。
「フォアとバックが逆」を逆手に取った意識改革
左利き対策の基本は、相手のフォアハンドとバックハンドの配置を常に頭に叩き込んでおくことです。右利きにとっては「左側がバック、右側がフォア」という固定概念がありますが、対戦相手が左利きの場合はこれが完全に逆転します。
具体的には、相手の右肩側がバックハンド、左肩側がフォアハンドになります。これを意識できていないと、苦し紛れに打った球が相手の得意なフォアハンドの正面に行ってしまい、強烈なカウンターを浴びることになります。
攻め方の基本としては、徹底して相手の右側(バックハンド側)を狙うことが鉄則です。特に、バック側の奥(リアコート)へ高く深いクリアを打つことで、相手は回り込んでフォアで打つか、苦手なバックハンドで返すかの選択を迫られます。この単純なルールを徹底するだけで、ミスを誘いやすくなります。
サウスポーの弱点を突く!具体的なコース取りと配球

左利き選手には共通する「狙い目」となるコースが存在します。もちろん個々の選手のレベルによって差はありますが、基本的には右利きの裏をかく練習をしてきたサウスポーにとって、自分自身の右側を執拗に狙われることはストレスになります。
ここでは、具体的にどのコースを、どのようなタイミングで攻めるべきかを解説します。力でねじ伏せるのではなく、配球の妙で相手の体勢を崩すことを意識しましょう。相手が嫌がるコースを突き続けることで、次第に相手の動きに焦りが生じ、チャンスボールが上がってくるようになります。
ラウンド側の奥(バック奥)を徹底的に突く
バドミントンの左利き対策において、最も効果的なのが相手のバックハンド側の奥を狙うことです。左利き選手にとっての右奥(ラウンド側)は、右利きで言うところの左奥と同じく、最も返球が難しいエリアの一つです。
ここに高く深いクリアや、速いドリブンクリアを打ち込むことで、相手をコートの隅へと追い出すことができます。左利き選手は多くの場合、このエリアをフォアハンドで回り込んで打とうとしますが、そうするとコートの左側が大きく空くことになります。
相手をバック奥に釘付けにできれば、返球はクロスへ甘くなるか、ストレートに弱く返ってくる可能性が高まります。そこを待ち構えてプッシュやスマッシュで仕留めるのが、サウスポー攻略の王道パターンです。まずは「困ったら相手の右奥」という意識を徹底しましょう。
センター(ボディ)へのスマッシュで自由を奪う
意外と盲点になりやすいのが、相手の正面、特に利き腕とは逆の肩口(右肩付近)を狙ったショットです。左利きに限らず、トッププレーヤーでもボディへの速いショットは処理が難しく、ラケットワークが制限されます。
特に左利きの場合、右利きからのショットが体に向かってくると、フォアで取るかバックで取るかの判断が一瞬遅れることがあります。ここに鋭いスマッシュやドライブを打ち込むことで、相手のラケットを窮屈にさせ、自由なスイングを許しません。
この攻め方は、特に相手のフットワークが良い場合に有効です。コートの四隅に打っても追いつかれてしまうなら、あえて「体の近く」に打ち込んで相手の動きを止める戦略に切り替えましょう。狙いどころは、相手の右脇腹から右肩にかけてのラインです。
フォア側への揺さぶりと「逆をつく」配球
バック奥を狙うのが基本ですが、そればかりになると相手も予測して待ち構えてしまいます。そこで重要になるのが、あえて相手のフォア側(左側)へ厳しい球を打ち込み、意識を散らさせることです。これを「見せ球」として使います。
例えば、ストレートのクリアで相手を右奥へ押し込んだ後、次の球で対角の左前(フォアのドロップ)を狙います。左利き選手は右奥への警戒を強めているため、逆サイドへの揺さぶりに足が止まりやすくなります。
重要なのは、相手のフォアハンドに打つときは「中途半端な球にならないこと」です。フォアハンドは相手の最大の武器ですから、狙うならネット際に沈めるか、サイドラインぎりぎりの厳しいコースに限定しましょう。相手に気持ちよくフルスイングさせないための工夫が、攻め方の質を高めます。
左利きを攻略するための配球優先順位
- 相手の右奥(バックハンド側)を深く突く
- 相手の右肩口(ボディ)に鋭く打ち込む
- ネット前は相手の右側(バック側)に落とす
- たまにフォアハンド側へ厳しい球を混ぜて揺さぶる
サーブとレシーブから主導権を握る左利き対策のポイント

試合の始まりであるサーブとレシーブは、左利き対策を実践する絶好の機会です。ここで相手に違和感を与え、自分のリズムに引き込むことができれば、その後のラリーを有利に進められます。右利き同士のときと同じ感覚で立っていると、最初の一打でエースを取られかねません。
ここでは、サウスポーを相手にするときのサーブの狙いどころと、レシーブ時の構え方のコツを紹介します。ほんの数十センチの立ち位置の差や、数度の角度の違いが、勝敗を分ける大きな要因になります。
ショートサーブは「センター」か「ワイド」か
左利きへのショートサーブで最も効果的なのは、センターライン(T字付近)を狙うことです。左利きにとってセンターはバックハンド側になるため、レシーブが制限されやすく、強引なアタックを抑えることができます。
逆に、右利きの感覚でサイド(ワイド)へ出すと、相手の得意なフォアハンドのリーチに入ってしまいます。特に左利きはフォアハンドでのプッシュが鋭いため、不用意にサイドへ出すのは危険です。
ただし、相手がセンターを強く意識して内側に寄っている場合は、あえて外側(相手の左側)を狙うのも有効です。この場合、シャトルが外に逃げていくような角度で出すことで、相手の打点を崩すことができます。相手の立ち位置をよく観察し、常にバックハンド側を優先して狙う意識を持ちましょう。
ロングサーブで相手の体勢を崩すコース
ロングサーブを打つ場合も、基本的には相手の右奥(バック奥)を狙います。左利き選手は、右利きからのロングサーブに対してフォアで回り込んで打とうとすることが多いですが、高く遠い球を打てば打つほど、相手の移動距離は長くなります。
また、不意を突いて相手のフォア側へ速いロングサーブを打つのも一つの手です。左利きは右奥への意識が強いため、反対側に速い球が来ると反応が遅れることがあります。ただし、これはあくまで「奇襲」として使うべき手法です。
安定して攻めるなら、やはりバック奥への高いロングサーブが効果的です。相手のバックハンドを強制的に使わせる、あるいは苦しい体勢でフォアを打たせることで、サービスレシーブからの失点を防ぎ、自分たちの形に持ち込むことができます。
レシーブ時のホームポジションと角度の調整
左利きのサーブを受ける際、いつもの立ち位置だとコートの半分がガラ空きに見えることがあります。これは、左利きが打つサーブの角度が右利きとは逆だからです。レシーブに回る際は、立ち位置を少し調整する必要があります。
具体的には、いつもより半歩から一歩ほど右側に寄って構えるのが一般的です。左利きのサーブは、右利きのバックサイドに食い込んでくるような軌道になることが多いため、あらかじめバックハンドで取りやすい位置に移動しておくと対応がスムーズになります。
また、相手のショートサーブをレシーブする際は、相手の右側(バック側)へヘアピンを置くか、右奥へ押し込むロブを選択するのが無難です。相手のフォアに捕まらないよう、常に「相手の右側半分」を使ってラリーを組み立てる意識を、レシーブの段階から持っておきましょう。
左利きの選手は、右利きが左利きの軌道に慣れていないことを知っています。あえて極端な角度をつけてサーブを打ってくることもあるため、構えの段階で「相手のラケットヘッドの向き」をよく見て、シャトルが飛んでくるコースを予測しましょう。
ダブルスにおける左利きペア・ミックス対策

ダブルスにおいて、ペアのどちらかが左利きの「右・左ペア」を相手にするときは、シングルス以上に複雑な戦術が求められます。しかし、構造的な弱点もはっきりしており、そこを突くことができれば右利き同士のペアよりも崩しやすい面があります。
右利きと左利きが組むと、多くの場合「二人のフォアハンドが中央に集まる」か「二人のバックハンドが中央に集まる」かのどちらかの状態になります。この配置を瞬時に見極め、どちらの隙間を攻めるべきかを判断するのがダブルスでの左利き対策の肝です。
センター攻撃が最大の武器になる理由
左利き対策としてダブルスで最も有効なのは、二人の間、つまり「センター」を狙うことです。特に、二人のフォアハンドがセンターに集まっている場合、どちらが取るか一瞬の迷いが生じ、お互いのラケットが接触する(お見合いする)リスクが高まります。
「センターはフォアで取る」というダブルスの基本原則が、二人ともフォアであるがゆえに衝突を招くのです。ここを鋭いドライブやスマッシュで突くと、相手の連携が乱れます。「迷ったらセンターに打つ」という意識は、対サウスポーペアにおいて非常に強力な武器になります。
逆に、中央が二人のバックハンドになっている場合は、守備が非常に堅くなることがあります。その場合はセンターではなく、サイドのライン際(特に右利き側のバックサイドや左利き側のバックサイド)を狙って、二人を引き離すような配球が効果的です。
フォアが重なる「Vの字」の隙間を攻める
右利きと左利きのペアがサイドバイサイド(横並び)で構えたとき、二人のフォアハンドが中央にある状態を「Vの字」に例えることがあります。この場合、両サイドの端がバックハンドになるため、コートの隅が弱点になります。
このようなペアに対しては、まずセンターに一本速い球を見せておき、相手の意識を中央に集めます。その直後に、両サイドのコーナーへ大きく振るショットを打つと、相手はバックハンドで対応せざるを得ず、体勢を大きく崩します。
戦術の基本は「中央で迷わせ、外側で仕留める」ことです。相手ペアのどちらが左利きかを常に把握し、誰のバックハンドを狙うのが最も効率的かをパートナーと共有しておきましょう。コミュニケーションを密に取ることが、ダブルスでの攻略の鍵です。
ローテーションの乱れを突く配球のコツ
右利きと左利きのペアは、ローテーション(前後交代)の際に移動の軌道が右利き同士とは異なります。特に前後に動く際、利き腕の違いからお互いの動線が交差しやすく、スムーズな交代が妨げられる場面があります。
この乱れを誘うには、ハーフ球(相手の前衛と後衛の中間に落ちる球)を多用するのが効果的です。ハーフに落とされた球に対して、どちらがどの足から踏み出すかが利き腕によって異なるため、一瞬の隙が生まれやすくなります。
また、ロブを上げる際も、相手のバックハンド側(右利きの左奥、または左利きの右奥)へ高く上げることで、無理な体勢でのローテーションを強いることができます。相手の動きがぎこちなくなったタイミングを逃さず、一気に攻撃を畳み掛けましょう。
| ペアの構成 | メリット | 狙いどころ(弱点) |
|---|---|---|
| 右利き & 左利き | 守備範囲が広く、角度のある攻撃ができる | センターでの衝突、ローテーションの複雑化 |
| 右利き & 右利き | 連携がスムーズで、定番のパターンが使いやすい | バックサイドの徹底攻撃 |
| 左利き & 左利き | 希少性が高く、相手が最も混乱しやすい | 右利きと同じ戦術を「左右反転」して適用 |
対左利き用の感覚を養う効果的な練習メニューと心構え

左利き対策を頭で理解しても、実際のコートで体が動かなければ意味がありません。しかし、身近に左利きの練習相手がいない場合も多いでしょう。そんな環境でも、工夫次第でサウスポーとの対戦感覚を養うことは可能です。
ここでは、右利き同士でもできる「仮想左利き練習」や、試合中にパニックにならないためのメンタルセットについて解説します。普段の練習に少しのエッセンスを加えるだけで、左利き選手への苦手意識を確実に減らしていくことができます。
右利き同士で行う「仮想左利き」シミュレーション
練習相手が右利きであっても、意識設定を変えるだけで左利き対策になります。例えば、普段のパターン練習やノックの際、「コートの左右の役割が逆である」と仮定してプレーする方法があります。
具体的には、本来ならフォアハンドで取るべきコースを、あえて回り込んで「ここがバックハンドだ」と思い込んでレシーブする練習です。また、ノッカー(球出し役)に、左利きの選手が打つような角度(特にクロスカット)を意識して球を出してもらうのも有効です。
このような意識的な不自由さを練習に取り入れることで、いざ本物の左利きと対峙したときの「想定外」を減らすことができます。「右利きなのに左利きのような球を打つ練習」を自分自身でも試してみると、左利きの打点がどこにあるのかをより深く理解できるようになります。
イメージトレーニングと動画分析の活用
現代のバドミントンにおいて、動画分析は非常に強力なツールです。プロ選手の試合動画の中から、左利き選手(リン・ダン選手や桃田賢斗選手など)と右利き選手が対戦しているシーンを重点的にチェックしましょう。
見るべきポイントは、右利きの選手が「どこに打たされたときに失点しているか」と「どこに打ったときに得点しているか」の2点です。トップ選手たちが左利き相手にどのようなコースを選択しているかを観察し、それを自分のプレーに投影します。
また、目を閉じて「左利き相手にサーブレシーブからバック奥へ追い込み、返ってきた甘い球をセンターへ決める」といった成功イメージを繰り返すことも効果的です。脳内でのシミュレーションを繰り返すことで、実際の試合での反応速度が向上します。
「左利きはチャンス」と思えるメンタルを作る
精神的なアプローチも忘れてはいけません。「左利きは苦手だ」と思っているうちは、体が縮こまり、本来のパフォーマンスを発揮できません。まずは、左利き対策を学んでいる自分を信じ、前向きなマインドを持つことが大切です。
「左利き選手は右利きの対策に慣れているが、右利きは左利きの対策をしていない人が多い。だからこそ、自分が対策を徹底すれば、それだけで優位に立てる」と考えましょう。左利き相手に勝つことは、他のプレーヤーができないことを成し遂げるチャンスなのです。
試合中にミスをしても、「軌道が違うから仕方ない、次は修正しよう」と冷静に受け止め、焦らずにバックハンド側を狙う基本に立ち返ってください。冷静さを保ち、学んだ戦術を淡々と実行する姿勢こそが、サウスポー攻略の最大の武器になります。
バドミントンの左利き対策をマスターして勝利を掴もう
バドミントンにおいて、左利きの選手は独特の存在感を放っています。しかし、その強みの多くは「対戦経験の少なさ」からくる違和感に支えられています。今回解説した「相手の右側(バック側)を徹底して攻める」「センターを活用する」「視覚的なズレを意識的に修正する」という対策を実践すれば、苦手意識は必ず克服できます。
左利き対策のポイントを改めて振り返ると、以下の3点が特に重要です。
左利き攻略の3大原則
1. 配球の基本:相手の右側奥(バックハンド側)を深く突き、回り込みを制限させること。
2. 立ち位置の調整:サーブレシーブや守備の際、相手の打角に合わせて半歩右に寄るなど工夫すること。
3. メンタルの切り替え:左利きを「苦手」ではなく「対策を知っている自分に有利な相手」と捉えること。
この記事で紹介した攻め方を意識して、日々の練習や試合に取り組んでみてください。最初は戸惑うこともあるかもしれませんが、繰り返し実践することで、サウスポーの放つショットの軌道が自然に読めるようになってくるはずです。左利き対策を自分の武器にして、より高いレベルのバドミントンを楽しんでいきましょう。



