バドミントンの試合を観戦したり、実際にプレーしたりしていると、選手たちがコートを入れ替える場面をよく目にします。このコートを交代することを「チェンジエンズ」と呼びますが、初心者の方にとっては「いつ交代すればいいの?」と戸惑うポイントかもしれません。
チェンジエンズのタイミングを正しく理解することは、スムーズに試合を進行させるだけでなく、勝敗を左右する戦術的な意味合いも持っています。特に風や照明の影響を受ける屋内スポーツであるバドミントンにおいて、交代のタイミングは非常に重要です。
この記事では、バドミントンのチェンジエンズの正確なタイミングや関連するルール、さらには試合を有利に進めるための活用法について、詳しく丁寧に解説していきます。ルールをしっかり覚えて、自信を持ってコートに立ちましょう。
バドミントンのチェンジエンズのタイミングと基本ルール

バドミントンの公式ルールでは、チェンジエンズを行うタイミングが明確に定められています。基本的にはゲームの区切りで行われますが、第3ゲーム(ファイナルゲーム)だけは特殊なルールが適用されるため注意が必要です。
【チェンジエンズを行う主なタイミング】
・第1ゲームが終了したとき
・第2ゲームが終了し、第3ゲームを行うとき
・第3ゲーム(または1ゲームマッチ)で、どちらかが11点に到達したとき
第1ゲーム終了後の入れ替え
バドミントンの試合は、通常21点3ゲームマッチの2ゲーム先取制で行われます。最初のゲームである第1ゲームが終了した際、勝敗にかかわらず両方のプレーヤーまたはペアは、必ずコートを入れ替えなければなりません。
第1ゲームが終わると、選手は一度自分の荷物があるベンチへと戻りますが、その後の第2ゲームを始める前に、それまで相手がいた側のコートへと移動します。これが最初のチェンジエンズのタイミングとなります。
このタイミングでの交代は、前のゲームでの勢いをリセットし、新しい気持ちで次のゲームに臨むための区切りにもなります。慣れないうちは、ついつい同じコートで準備を始めてしまいがちですが、審判の指示や相手の動きを見てスムーズに移動しましょう。
第2ゲーム終了後とファイナルゲームの有無
第2ゲームが終了した際にもチェンジエンズが発生しますが、これには条件があります。第1ゲームと第2ゲームを同じ選手が連取した場合は、その時点で試合終了となるため、次のチェンジエンズは行われません。
しかし、ゲームカウントが1対1のタイスコアになった場合は、勝敗を決めるための第3ゲーム(ファイナルゲーム)が行われます。この第3ゲームを開始する前に、両者は再びコートを入れ替えてから試合を再開します。
つまり、第1ゲームが終わって交代し、第2ゲームが終わってまた交代するため、第3ゲームの開始時は「第1ゲームと同じ側のコート」でプレーすることになります。この流れを覚えておくと、試合中の混乱を防ぐことができるでしょう。
ファイナルゲームの11点での入れ替え
バドミントンにおいて最も忘れやすく、かつ重要なのが、第3ゲームの途中で行われるチェンジエンズです。ファイナルゲームでは、どちらかのプレーヤーが11点に到達したタイミングでコートを交代します。
11点になった瞬間、審判から「チェンジエンズ」というコールがかかります。もし審判がいない練習試合などの場合は、自分たちで点数を確認し、11点になったら速やかに反対側のコートへ移動するようにしましょう。
このタイミングでの交代は、試合時間が長くなるファイナルゲームにおいて、コート環境による有利・不利を最小限にするためのものです。後半戦をどちらのコートで戦うかは心理的にも大きな影響を与えるため、非常に重要なポイントとなります。
1ゲームマッチの場合のルール
地域の大会や時間の都合上、21点1ゲームマッチや、15点1ゲームマッチといった短縮ルールで試合が行われることもあります。この場合も、ゲームの途中でチェンジエンズを行う必要があります。
基本的には、そのゲームの半分の点数(端数は切り上げ)に到達した時点でコートを入れ替えます。21点マッチであれば11点、15点マッチであれば8点、11点マッチであれば6点にどちらかが到達したタイミングです。
公式の大会だけでなく、部活動やサークル内の紅白戦などでもこのルールは適用されることが多いです。試合を始める前に「何点でチェンジエンズにするか」を相手と確認しておくと、トラブルを避けて楽しくプレーできます。
コート交代が発生する理由と戦術的なメリット

なぜバドミントンではこれほど頻繁にチェンジエンズを行うのでしょうか。それは、バドミントンが非常に繊細なスポーツであり、コートの条件によってプレーの質が大きく変わってしまうからです。ここでは、交代が生むメリットを解説します。
照明や太陽光による視認性の差を埋める
体育館などの屋内施設であっても、照明の配置によっては「シャトルが見えやすいコート」と「シャトルが光に重なって見えにくいコート」が生じることがあります。また、窓から差し込む太陽光が眩しい場合もあります。
片方のコートだけが極端に視界が悪い状態だと、実力差とは関係ないところで勝敗が決まってしまいます。チェンジエンズによって、両者が同じ条件の「見えにくさ」を経験することで、公平な試合環境を作り出しています。
選手は交代した際、新しいコートでの照明の見え方を素早くチェックします。スマッシュを打つ際や、高いロブを見上げる際に、どこにシャトルが来ると見失いやすいかを把握しておくことは、失点を防ぐための重要な戦術になります。
空調の風(空調風)の影響を公平にする
多くのバドミントンプレーヤーを悩ませるのが、体育館内の空調による「風」です。バドミントンではこれを「空調風」や単に「風」と呼び、シャトルの飛行軌道に劇的な変化をもたらします。
追い風のコートではクリアーが飛びすぎてアウトになりやすく、逆に向かい風のコートでは一生懸命打ってもシャトルが飛ばず、相手のチャンスボールになりやすくなります。これらはプレーの難易度を大きく左右する要素です。
チェンジエンズがあることで、一方の選手だけがずっと風下で苦労し続けるといった不平等を防げます。タイミングよく交代することで、風を味方につける時間と、風に耐える時間のバランスが取れるようになっているのです。
心理的なリフレッシュと流れの切り替え
チェンジエンズは物理的な環境を平等にするだけでなく、選手の精神面にも大きな影響を与えます。負けている側にとっては、コートを移動することで「仕切り直し」のきっかけを得ることができます。
同じ場所でミスが続くと、心理的に追い詰められてしまいがちですが、コートが変わることで視界が変わり、気分をリセットしやすくなります。逆に勝っている側は、交代によって集中力が切れないよう注意しなければなりません。
特にファイナルゲームの11点での交代は、試合の最終局面へ向けた「最後の切り替えポイント」です。ここでのチェンジエンズをどう捉え、どう気持ちを立て直すかが、接戦を制するための鍵となります。
チェンジエンズとあわせて覚えたいインターバルの仕組み

バドミントンの試合では、チェンジエンズとセットで「インターバル(休憩時間)」が設けられています。どのタイミングでどれくらいの休憩ができるのかを知っておくと、ペース配分がしやすくなります。
| タイミング | インターバルの時間 | 主な内容 |
|---|---|---|
| どちらかが11点到達時 | 60秒以内 | 水分補給、簡単なアドバイス |
| 各ゲーム終了時 | 120秒以内 | チェンジエンズ、コーチとの相談 |
11点到達時の60秒インターバル
第1ゲーム、第2ゲーム、第3ゲームのいずれにおいても、どちらかの点数が11点になったときに、最大60秒間のインターバルが与えられます。第3ゲーム(ファイナルゲーム)の場合は、このインターバルの間にチェンジエンズを行います。
この60秒という時間は非常に短いため、のんびりしている暇はありません。速やかに水分を補給し、タオルで汗を拭き、必要であればコーチから一言二言のアドバイスをもらいます。この短い休息が、後半のスタミナ維持に大きく貢献します。
また、11点での交代がない第1・第2ゲームであっても、選手はコートサイドに寄って一息つくことができます。このタイミングを戦略的に使い、前半のミスを振り返ったり、次の展開をイメージしたりすることが大切です。
ゲーム間の120秒インターバル
第1ゲームと第2ゲームの間、および第2ゲームと第3ゲームの間には、最大120秒(2分間)のインターバルが認められています。このタイミングでチェンジエンズを行い、次のゲームに向けた準備を整えます。
2分間あれば、しっかりとした水分補給やゼリー飲料などでのエネルギー補給、また戦術の練り直しが可能です。コーチがいる場合は、相手の弱点や自分の修正すべき点について具体的な指導を受ける貴重な時間になります。
このインターバルが終わる直前には、審判から「残り20秒」などのアナウンスがあるため、遅れないようにコートへ戻らなければなりません。時間を有効に使いつつ、ルールを守った行動を心がけましょう。
インターバル中にできるアドバイスと水分補給
インターバル中は、コートサイドにいるコーチからアドバイスを受けることができます。以前のルールでは制限がありましたが、現在のルールではインターバル中であれば自由に指導を受けることが可能です。
ただし、コート外に出ることは基本的には禁止されており、水分補給やタオル使用も審判の許可(または決められた場所)で行う必要があります。特にチェンジエンズのタイミングでは、移動と並行してこれらを行うため、慌ただしくなります。
水分補給は、一度に大量に飲むのではなく、一口ずつ含んで体温を下げるように意識すると効果的です。また、交代時に自分のラケットバッグやドリンクを忘れずに移動させることも、試合をスムーズに進めるコツです。
初心者が間違いやすいチェンジエンズの注意点

チェンジエンズのルール自体はシンプルですが、いざ試合になると興奮や緊張でタイミングを間違えてしまうこともあります。ここでは初心者が陥りやすいミスとその対策を紹介します。
初心者のうちは、点数を数えることに必死で「11点で交代」というルールを忘れてしまいがちです。サーブを打つ前に常にスコアを確認する習慣をつけると、チェンジエンズのタイミングにも気づきやすくなります。
交代のタイミングを忘れてしまった時の対処法
もしファイナルゲームで11点になったのにチェンジエンズを忘れ、そのままプレーを続けてしまった場合はどうなるのでしょうか。この場合、間違いに気づいた時点ですぐに交代を行います。
それまでに獲得した点数はすべて有効となります。「入れ替わるのを忘れていたから、今のプレーは無効だ」とはなりません。審判がいる場合は審判が指示してくれますが、セルフジャッジの場合は気づいた側が声をかけましょう。
交代を忘れたままゲームが終了してしまった場合でも、結果は覆りません。しかし、公平性の観点からは望ましくないため、特に10点を過ぎたあたりからは、どちらが先に11点を取るかを意識しておくことが重要です。
ネットの下をくぐらないマナーの遵守
チェンジエンズの際、最短距離で移動しようとしてネットの下をくぐりたくなるかもしれませんが、これはマナー違反とされることが多いです。バドミントンのネットは繊細で、引っ掛けて破損させたり高さを変えてしまったりする恐れがあるからです。
基本的には、ネットの横にあるポスト(支柱)の外側を回って交代するのが正しい動きです。プロの試合を見ても、選手たちは必ず外側を回って移動しています。審判台がある場合は、審判台の反対側を通るようにしましょう。
こうした細かいマナーを守ることは、対戦相手や審判に対する敬意の表れでもあります。美しい立ち振る舞いは、プレー自体の質を高く見せることにもつながるため、初心者のうちから徹底しておきたいポイントです。
相手ペアや審判とのコミュニケーション
チェンジエンズのタイミングで、相手とすれ違う際や審判とのやり取りも大切です。交代時には審判がスコアをアナウンスし「チェンジエンズ」と告げます。この際、軽く会釈をしたり、指示に従ったりすることでスムーズに進行します。
ダブルスの場合は、パートナーと声を掛け合いながら移動しましょう。「次、あっちのコートだよ」「11点になったから交代だね」と確認し合うことで、ケアレスミスを防ぐことができます。
また、セルフジャッジの試合では、相手プレーヤーとの合意が不可欠です。「11点なのでチェンジエンズですね」と一言添えるだけで、お互いに気持ちよくコートを入れ替えることができ、トラブルを未然に防げます。
試合を有利に進めるためのチェンジエンズ活用術

チェンジエンズは単なるルール上の移動ではなく、戦略の一部です。コートごとの特徴を理解し、交代のタイミングをどう活かすかで、勝率をグッと高めることが可能になります。
【戦略的なチェックポイント】
・どちらのコートがシャトルが飛びやすいか(風の向き)
・背景の色や照明でシャトルが見えにくい方向はないか
・交代後に相手が苦手なショットを意識的に打たせる
良い方のコート、悪い方のコートを見極める
バドミントン会場には、多くの場合「勝ちコート(良いコート)」と「負けコート(悪いコート)」が存在します。これは風向きや視認性などの条件が良く、プレーがしやすい方のコートを指します。
例えば、追い風でアウトになりやすいコートはコントロールが難しいため「悪いコート」とされます。試合前の練習時間や第1ゲームの最中に、どちらのコートが自分にとって有利・不利かを冷静に分析しておきましょう。
「今は悪いコートにいるから、少しミスをしても耐えどきだ。次のチェンジエンズで良いコートに移ったら一気に攻めよう」といったプランを立てられるようになると、試合運びが格段に上手くなります。
得点差を考慮したファイナルゲームの戦い方
ファイナルゲームの11点でのチェンジエンズは、最大の見せ場です。もし自分が「悪いコート」からスタートした場合、11点になるまでをなんとか最小限の点数差で食い下がることが重要になります。
逆に「良いコート」からスタートした場合は、交代する11点までの間に、できるだけ大きなリードを奪っておきたいところです。交代した後は条件が悪くなることが分かっているため、貯金を作っておくという考え方です。
このように、交代のタイミングを「ターニングポイント」として捉え、点数の推移を予測しながら戦うことで、精神的な余裕が生まれます。コートの利不利を味方につける戦略こそが、上級者への第一歩です。
チェンジエンズの隙間時間での作戦会議
チェンジエンズを伴うインターバルは、ダブルスにおいて作戦を練る絶好のチャンスです。移動中の数秒間だけでも、パートナーと次の展開について話し合うことができます。
「相手のバックハンドを狙おう」「もう少し前に詰めよう」といった具体的な指示を共有することで、交代直後の失点を防げます。コートが変わると、シャトルの飛び方が変わるため、その調整についても確認しておくのが理想的です。
また、一人で戦うシングルスの場合でも、交代での移動中に深く呼吸を整え、前半の反省を頭の中で整理します。物理的な移動というアクションを挟むことで、悪い流れを断ち切る儀式として活用しましょう。
バドミントンのチェンジエンズのタイミングとルールまとめ
バドミントンのチェンジエンズは、試合の公平性を保ち、選手が最高のパフォーマンスを発揮するために欠かせないルールです。タイミングをしっかり把握しておくことは、競技者として必須の知識と言えるでしょう。
基本となるのは、「各ゲーム終了時」と「ファイナルゲームの11点到達時」という2つのポイントです。このリズムを体で覚えておけば、どのような試合形式であっても慌てずにプレーに集中できます。
また、チェンジエンズの背景にある「風」や「照明」の影響を理解することで、単にコートを動くだけでなく、戦術的な駆け引きを楽しむ余裕も生まれてきます。自分にとって有利な環境、不利な環境を素早く見極める目を養いましょう。
マナーを守ったスムーズな交代は、周囲からの信頼にもつながります。今回ご紹介したタイミングや注意点を参考に、ぜひ日々の練習や試合でチェンジエンズを正しく、そして戦略的に活用してみてください。




